Project/Area Number |
20H02690
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
手老 龍吾 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40390679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸澤 譲 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90363267)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
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Keywords | 脂質二重膜 / イオンチャネル / 原子間力顕微鏡 / 無細胞合成 |
Outline of Research at the Start |
細胞内外の情報伝達・物資輸送を担う、脂質二重膜と膜タンパク質が構成する分子集合体がどのように形成され、その機能が決まるかを明らかにすることを目的とする。人工脂質二重膜系と無細胞合成系を用い、生き物に頼らずにイオンチャネルの4量体を形成して①支持脂質二重膜への再構成と原子間力顕微鏡による分子像観察、②無細胞合成系での4量体形成、③電位印加下での分子構造と薬剤応答のその場観察の3つの課題に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
脂質二重膜と膜タンパク質が構成する分子集合体は、細胞膜を通しての細胞内外の情報伝達・物資輸送を担っている。本研究では、膜内分子集合体を人工脂質二重膜系と無細胞タンパク質合成系を用いて組み立て、その働く機構を明らかにすることを目的とする。hERGチャネルを対象として、支持脂質二重膜(SLB)への再構成と分子像観察、無細胞合成系での4量体形成、活性構造と薬剤応答の観察の3つの課題に取り組む。2022年度は、前年度までに見出した膜融合サイトとして働く多価不飽和脂質ドメインの膜融合速度依存性、天然物由来の脂質によるSLB形成、AFM観察の条件再検討および無細胞合成の条件検討に取り組んだ。 フォスファチジルコリン(PC)、フォスファチジルエタノールアミン(PE)およびコレステロール(Chol)からなる三成分SLBにおいて多価不飽和PEが誘起する微小脂質ドメインはが、膜融合サイトとして働くことを前年度までに見出した。このドメインはイオンチャネルのAFM観察や電流計測などにおいてチャネルタンパク質を再構成する際のプロテオリポソーム(PL)の融合に必須である。この膜融合効率速度について、多価不飽和PEの不飽和度依存性をSLBへのベシクル融合速度を指標として調べた。SLBとベシクルをそれぞれ緑、赤の蛍光標識脂質でラベルし、SLBにベシクルを添加した後にSLBからの赤の蛍光強度を計測した。ベシクルの多価不飽和度が高いほど融合が速く進行し、その速度を定量的に評価することができた。人工脂質二重膜系への膜タンパク質再構成におけるボトルネックを解消するための知見としても有用である。 hERGチャネルの発現は従来通りコムギ胚芽抽出物を用いた無細胞合成で行うが、4量体形成の効率を向上するために用いる脂質の種類も含めて発現と精製の条件を再度検討し直した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に記述した2つの実験課題について、上述の通り順調に研究成果を挙げることができている。学会等における成果発表および論文発表も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、SLB内に再構成したhERGチャネルの分子像とその会合状態について原子間力顕微鏡観察を行う。PC+PE+Chol-SLB系についてはSLB形成の脂質組成依存性やPL融合の条件が確立されつつある。一方、無細胞合成では良好な結果が得られた大豆由来の粗精製脂質については、SLB作製の再現性や作製後のSLB上に残る夾雑物の除去など解決すべき点が残されており、引き続き条件検討を進める。これまで用いてきたベシクル融合法によるSLB作製に加えて、バイセルを用いたSLB形成の取り組みを始めており、こちらも条件検討を進める。無細胞合成時にコシャペロンの共合成を行い、AFMによる分子像観察の結果から得られる会合体の存在比を明らかにする。得られた結果をフィードバックして、hERGチャネルの発現量やコシャペロン存在比などPL合成の反応条件を最適化する。膜タンパク質を含むSLBの作製においては、PLからSLBへの再構成過程に依存して膜タンパク質の配向が変化すると考えられる。無細胞合成hERGチャネルの単量体および4量体について、細胞外側・内側の膜外領域の大きさから分子配向を評価し、その制御が可能か、またバイセルで作製したSLBでも同様の配向制御が可能かを検討する。
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