Theoretical Modeling of Surfactant Aggregation Behavior
Project/Area Number |
20H02696
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
甲賀 研一郎 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (10315020)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥15,990,000 (Direct Cost: ¥12,300,000、Indirect Cost: ¥3,690,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | 疎水効果 / 界面活性剤 / 自由エネルギー / 理論モデリング / ミセル / 疎水性相互作用 / 塩析効果 / 自由エネルギー計算法 |
Outline of Research at the Start |
ミセルの安定化は凝集体成長促進力と拮抗力のバランスにより実現する.しかし,それぞれの主要因子の正確な同定はなされていないため,ミセル化の現象論は凝集体形成挙動の定性的描像を与えるが,特定の界面活性剤のミセル化挙動とその温度応答性・溶媒組成依存性を予測することはできない.本研究は,凝集体形成自由エネルギーに寄与する複数の因子を分子シミュレーション・自由エネルギー計算法に基づき評価し,凝集体成長の促進力と拮抗力の実体を解明する.解析により得られるミセル形成駆動力の定量的知見を基に,ミセル化の理論モデルを構築する.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的はミセル形成を説明する既存の現象論的理論モデルを検証し,現実的な界面活性剤分子モデルを用いた分子動力学シミュレーションにより,ミセル形成自由エネルギーの構成要素を明らかにし,その結果に基づいて第一原理的に界面活性剤分子についてミセル形成自由エネルギーを与え,定量的なテストに耐えうる理論モデルを構築することである.本年度は第一に,界面活性剤を含む水溶液の大規模分子シミュレーションを実行し,界面活性剤分子間の静電相互作用エネルギー及び分散力によるエネルギー,界面活性剤分子と溶媒(水)との間の静電相互作用エネルギー及び分散力によるエネルギーを計算した.これにより,ミセル形成自由エネルギーの構成要素をエネルギー面から明らかにした.第二に,ミセル形成自由エネルギーの構成要素の一部である疎水性相互作用および疎水性部位の溶解度について詳細に調べた.溶液中の疎水性溶質の溶媒和自由エネルギーに対するイオン添加およびpH効果を統合的に理解するための計算を実施し,溶解度に対する塩添加効果の尺度であるセチェノフ係数Ksと疎水性相互作用に対する塩添加効果の尺度である浸透第2ビリアル係数Bのイオン濃度微分係数CIの相関関係を確かめた.この成果は2023年度中にまとめ,投稿する計画である.第三に,疎水性溶質分子間に働く有効相互作用が,溶質分子サイズと共にどのように変化するのかを明らかにする目的の研究を実施した.大規模分子シミュレーションを実行し,水中のメタン型分子間に働く疎水性相互作用および単純液体中のメタン型分子間に働く有効相互作用を,平均力ポテンシャルw(r)および浸透第2ビリアル係数Bとして評価した.溶質分子サイズ依存性の計算を行った.その結果,水溶液中ではBが負の値をとり,その絶対値が溶質分子直径σの6乗に比例して大きくなることを見出した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題ではミセル形成の駆動力を解明することを主目的とするが,そのために第一にミセル形成自由エネルギーの構成要素をエネルギー面から明らかにすることができた.さらに,ミセル形成自由エネルギーの構成要素である疎水性相互作用および疎水性部位の溶解度について理解を深めることができた.具体的には,溶液中の疎水性溶質の溶媒和自由エネルギーおよび疎水性相互作用に対するイオン効果を数値計算により明らかにすることができた.これは理論式の検証のために重要な結果である.一方で,ミセル形成の駆動力を調べる上で必要となる様々なサイズのミセルの形成自由エネルギー計算は完了していない.これは系の有限サイズ効果の検討に時間がかかるためである.来年度は大規模計算を集中的に行い,自由エネルギー計算を完了させる予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は最終目的であるミセル形成駆動力の理論構築に向けて研究を推進する.第一に,本年度明らかにした界面活性剤分子間の静電相互作用エネルギー及び分散力によるエネルギー,界面活性剤分子と溶媒(水)との間の静電相互作用エネルギー及び分散力によるエネルギーと,様々なサイズのミセルの形成自由エネルギー計算の結果を照合し,微視的構成要素からミセル形成自由エネルギーを与えるモデルの構築を検討する.共同研究者であるShchekin教授とはメールでの研究打ち合わせを定期的に行い,理論構築のために議論を継続する.第二に,ミセルを形成する界面活性剤分子とミセルを形成せずミクロ相分離構造を与えるアルコールとの比較を行い,ミセル形成に必要な微視的因子を同定するための分子シミュレーション及び自由エネルギー計算を実施する.理論モデリングは研究代表者が行う.分子シミュレーションの実行と結果解析大学院生3名が行う.パデュー大学Ben-Amotzグループにおいてはアルコール水溶液の不均一性およびミセル形成の理論モデリングに関して議論を行い,共同研究を推進する.
|
Report
(3 results)
Research Products
(14 results)