Project/Area Number |
20H02712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32020:Functional solid state chemistry-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中田 聡 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (50217741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 雅晴 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20314289)
北畑 裕之 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (20378532)
伴野 太祐 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (70613909)
末松 信彦 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (80542274)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2020: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
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Keywords | 非線形科学 / 非平衡系 / 自己駆動体 / 自己組織化 / パターン形成 / 非線形 / 自己駆動 / 非平衡 / リズム / パターン / 分岐 / 振動 / 膜・界面 / 時空間発展 / 振動現象 |
Outline of Research at the Start |
微小空間における欠陥検知や標的への物質輸送等、生物は生命活動を維持するために、環境を感じ、特徴的な運動を使って応答する。このような生物特有の運動を再現するために、自己駆動体の研究が盛んに行われている。本研究は時空間発展する駆動体の構築を目的とする。具体的には、1.分子構造と反応拡散に応答して多彩な運動様相を示す駆動体、2.可逆的走化性を示す系、及び 3.非平衡の維持により持続的な駆動体を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究実績の概要を以下の1-3に示す。 1.多様な運動様相を発現するための自己駆動体の構築:界面張力差を駆動力とした自己駆動体について、サリチル酸エチル(SE)20個とサリチル酸ブチル(SB)20個の液滴を界面活性剤水曜的に浮かべて実験した。その結果、自己駆動しながら、逐次的かつ選択的に異種の液滴が融合することを見い出した。その原因として、界面張力差、接触角、ラプラス圧を測定した結果、異種液滴間の界面ポテンシャル差であることを明らかにした。逆に同種液滴間では界面ポテンシャル差が生じないことから融合しないと考察した。その他、Briggs-Rauscher反応系を用いた液滴の運動モードスイッチングの条件を見い出した。 2.表面張力差の反転を用いた走化性と脱出機能発現:クマリンとクマリン誘導体(4-methylcoumarin, 6-methylcoumarin)の円板を自己駆動体として水面に浮かべ、リン酸ナトリウム円板を化学刺激として水槽の中心底面に置いて実験した。その結果、リン酸ナトリウム密度に依存して、連続運動、正と負の化学走性の繰り返し、リン酸ナトリウム円板上での振動運動の運動モード分岐が観察された。またこの運動モード分岐が自己駆動体と塩基との加水分解反応速度(UVとNMRにより測定)、自己駆動体の水への溶解速度、及び表面張力の駆動体濃度依存性によって決定した。 3.非平衡の維持による持続的な自己駆動体の構築:樟脳自己駆動体で非平衡開放系が維持される仕組みを理解するための実験を行った。まず球体水面を微小重力下で発現し、境界のない場での実験を行ったところ、1個の自己駆動体では等速回転運動、2個の場合は同調運動が生じることを見い出した。またマランゴニ流効果について水相の深さと樟脳自己駆動体の並進運動速度の関係を表面張力の時間変化と樟脳分子膜の展開の可視化に基づいて解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では次の1-3について実施した。 1.多様な運動様相を発現するための自己駆動体の構築:界面張力差を駆動力とした自己駆動体について、サリチル酸エチル(SE)20個とサリチル酸ブチル(SB)20個の液滴を界面活性剤水曜的に浮かべて実験した。その結果、自己駆動しながら、逐次的かつ選択的に異種の液滴が融合することを見い出した。その原因として、液滴間の界面ポテンシャル差が重要であることを明らかにした。また両親媒性分子による自己駆動体の運動制御については、新規両親媒性分子を合成し、特徴的な運動様相が発現することを見い出した。光応答両親媒性分子についても実施しており、特徴的な運動が得られている。 2.表面張力差の反転を用いた走化性と脱出機能発現:クマリンとクマリン誘導体の円板を自己駆動体として水面に浮かべ、リン酸ナトリウム円板を化学刺激として水槽の中心底面において実験した。その結果、リン酸ナトリウム密度に依存して、連続運動、正と負の化学走性の繰り返し、リン酸ナトリウム円板上での振動運動の運動モード分岐が観察された。またこの運動モード分岐が自己駆動体と塩基との加水分解反応速度、自己駆動体の溶解速度、及び表面張力によって決まることが判明した。 3.非平衡の維持による持続的な自己駆動体の構築:樟脳自己駆動体で非平衡開放系が維持される仕組みを理解するための実験を行った。まず球体水面を微小重力下で発現し、境界のない場での実験を行ったところ、1個の自己駆動体では等速回転運動、2個の場合は同調運動が生じることを見い出した。またマランゴニ流効果について水相の深さと樟脳自己駆動体の並進運動速度の関係を明らかにした。加えて化学反応系をフィードバックさせた自己駆動体についても研究を進めた。 以上について、多くの研究が論文として成果報告ができ、それ以外の成果についても論文としてまとめる方向に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については次のように推進していく予定である。 1.化学反応が運動様相にフィードバックする自己駆動体の構築:化学反応によって得られる生成物が駆動力源となり、反応プロセスにおいて駆動力の強さにフィードバックされる系を構築する。これにより化学反応とカップリングしたより自律性の高い系となると考えられる。 2.両親媒性分子で制御される運動様相:両親媒性分子と自己駆動体の相互作用が運動様相に反映される実験系を構築する。これにより分子レベルから運動様相を発現することが実現する。 3.変形を伴う自己駆動体と集団運動:化学反応とカップリングさせて油滴の変形を導く系を構築する。さらにこれらを複数個カップリングさせることにより、ミクロからマクロに発展する系を構築する。 4.非平衡度の維持:より持続的なシステムとして、非平衡度を自律的に維持する系を構築する。これにより更に効果的なエネルギー変換が行えると考えられる。 5.数理モデルの数値計算:反応拡散方程式と運動方程式から構築された数理モデルにより、これまで構築してきた実験系の運動様相を再現することにより、それらの運動機構を解明する。さらに得られた数値計算に基づいて新たな実験系の構築を行う。加えて、分子レベルからマクロに発展する系について理論と実験の両輪から構築する。
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