Activation of unreactive molecules through the metal-group 14 element bonds of the base metal complexes
Project/Area Number |
20H02751
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
砂田 祐輔 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70403988)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
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Keywords | 鉄 / 金属─14族元素反応場 / 不活性分子変換 / 触媒 / 金属ー14族元素反応場 / 普遍金属 / 水素発生 / 有機ゲルマニウム化合物 / 金属ー配位子反応場 / 配位不飽和 / 14族元素 / 結合活性化 / 触媒的変換 / 不活性結合変換 / 金属―配位子反応場 / 不活性結合 / 不活性分子活性化 / 配位不飽和錯体 / 金属錯体触媒 |
Outline of Research at the Start |
遷移金属化合物を触媒とする物質変換は、現代の科学技術において重要な方法論のひとつとなっている。従来法では、触媒として貴金属化合物が多用されているが、これらは希少資源であるため高価であり、また生体毒性を示すことから、貴金属化合物に依存しない触媒的物質合成法の開発が強く望まれている。本研究では、鉄などの普遍金属を触媒とし、単純アルカンやアレーンなどの不活性な分子を原料とする触媒的な物質変換法を開発し、資源・環境・エネルギー問題の解決に資する新しい化成品合成法を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで、ケイ素やゲルマニウムなどの第14族元素から構成される有機配位子が遷移金属中心に対し強い電子供与性を示し、かつ高いトランス影響を示すため、これらの第14族元素を金属上に導入した錯体を合成することで、高度に電子豊富かつ配位不飽和な高反応性錯体の効率的な構築が可能であることを見いだしてきた。 今年度は、鉄中心に対し2つの有機ゲルマニウム配位子を導入した錯体を鍵活性種とする、ゲルマニウム水素化物からの水素発生ならびに逆反応である水素付加反応を開発した。まずゲルマニウム水素化物であるPh2GeH2を、鉄錯体[Fe(mesityl)2]2とN-ヘテロ環カルベン存在下で撹拌することで、室温下でPh2GeH2からの定量的な脱水素化反応が進行し、5員環構造を持つ有機ゲルマニウム化合物Ge5Ph10が定量的に生成することを見出した。そこで、Ph2GeH2と1等量の鉄錯体[Fe(mesityl)2]2との反応を、2等量のN-ヘテロ環カルベン存在下で行ったところ、鉄上に2つの有機ゲルマニウム配位子が導入された錯体trans-Fe(NHC)(GeHPh2)2が得られた。この錯体は、先述のPh2GeH2からの脱水素化反応における触媒としても機能することを併せて見いだしている。さらに、本反応における他の2種の中間生成物の単離・同定を行い、Ph2GeH2からの鉄触媒による脱水素化反応の詳細な反応機構を明らかにした。一連の反応において、Fe-Ge結合を反応場として、Ph2GeH2におけるGe-H結合の活性化が進行していることが示唆された。さらに同様の鉄化合物を触媒として用いることで、Ge5Ph10への水素化も常温・常圧の水素雰囲気下で達成できることを見出した。本反応は、鉄触媒によるPh2GeH2からの常温下での水素発生、ならびに脱水素化後に生成するGe5Ph10への鉄触媒による水素化、であり、ゲルマニウム化合物を用いた初の可逆な水素発生・水素付加反応である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、鉄をはじめとする普遍金属中心上に第14族元素配位子を導入することで、金属―14族元素結合を反応基質の捕捉・活性化サイトとして活用可能な、高反応性錯体の開発と、多様な結合活性化反応の開発を行うことを目的としている。 これまで本研究では、シリルアニオンもしくはゲルミルアニオンを配位子前駆体として用いた手法に立脚した、鉄やマンガンを中心金属として有する一連の錯体合成と、水素分子などの活性化を経る変換反応の開発を行ってきた。加えて今年度は、鉄上に有機ゲルマニウム配位子を導入した錯体を、鉄前駆体と”Ge-H”結合を持つ基質であるPh2GeH2との反応から構築できることを見出し、得られた鉄錯体が、Ph2GeH2からの効率的な水素発生や、逆反応である水素付加に対し触媒活性を示すことを見出した。また本反応でも、鉄―ゲルマニウム結合が、基質捕捉・活性化サイトとして機能していることも明らかにした。 これらの成果より、本研究における研究基盤となる錯体構築法の開発と、得られた錯体における金属ー14族元素反応場を活用することで高反応性の発現が可能であることを実証しており、本研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引きつづき、ベースメタルである鉄やマンガン、コバルトなどの活用に立脚し、これらの中心金属上への有機ケイ素・ゲルマニウム・スズ配位子の導入を鍵とする結合活性化・変換反応の開発を行う。 まず、鉄―ゲルマニウム結合間による”Ge-H”結合や”H-H”結合の捕捉・活性化が可能であることに立脚し、他の基質活性化・変換への展開として、”Si-H”結合を有する有機ケイ素化合物や、”Sn-H”結合を有する有機スズ化合物の結合活性化を経る反応開発へと展開する。併せて、より簡便に変換反応を達成可能な反応系の開発の試みとして、FeBr2などの入手容易な前駆体を活用し、反応活性種を反応系中で発生・活用することで、より操作性の高い変換反応の開発へと展開する。その後、より結合活性化が困難な反応基質を用いて、金属―14族元素結合上での基質捕捉・活性化を鍵過程とする一連の変換反応の開発へと展開する。
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Report
(3 results)
Research Products
(40 results)