海藻の生育を支える海藻-微生物相互作用の全体像の解明
Project/Area Number |
20H03118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
伊藤 通浩 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (80711473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 照子 琉球大学, 農学部, 教授 (30433098)
田中 厚子 琉球大学, 理学部, 助教 (40509999)
岩崎 公典 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (50347134)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
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Keywords | オキナワモズク / 海藻-微生物相互作用 / 微生物叢 / 細胞壁多糖 / メタボローム / メタゲノム / トランスクリプトーム / 海藻 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、野外で採取したオキナワモズクと室内で培養したオキナワモズク幼体を用いて、1)微生物叢の構造と機能、2)藻体の遺伝子発現、および3)藻体の生体成分(細胞壁多糖・有機酸・ビタミン・金属)を検討して照らし合わせ、オキナワモズクと共存微生物の相互作用の全体像を把握するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
オキナワモズク (以下モズク) の養殖では、陸上水槽において“タネ”(幼体)を養殖網に付着させた後、「苗床」と呼ばれる天然海域の漁場に養殖網を設置し、藻体長が数cm程度に達するまで生育させる。その後、「本張り」と呼ばれる漁場に養殖網を移設し、藻体のさらなる成長を促す。沖縄県本部町備瀬の地先のモズク漁場では、直線距離にしてわずか数十mしか離れていないにも関わらず、養殖網に最終的に生育するモズクの総量(収量)が比較的大きくなることが知られている苗床Gと、収量が比較的小さくなることが知られている苗床Pがある (Sato Y, Nagoe H, Ito M et al. Phycological Res (2021) 69:159-165)。前者では、後者と比べてモズクの生育が促進される要因があると考えられる。 この収量の違いにモズク微生物叢が関与する可能性を検討するため、両苗床に試験用養殖網を設置してモズクを養殖し、両苗床のモズク微生物叢の菌種組成を比較した。その結果、苗床間で特定微生物種の割合に有意差があった。続いて、本張りに移設後の養殖網の菌種組成を調べたところ、移設前に設置されていた苗床に応じた菌種組成の違いは見出されなかった。以上から、苗床GとPの環境の差異がモズク微生物叢の菌種組成に影響を与えるが、この影響は本張りへの移設後には消失することが考えられた。 一方、本張り移設後のモズクをメタボローム解析したところ、移設前に設置されていた苗床に応じたメタボロームの差異が見出された。このことから、苗床の違いが本張りへの移設後にまでモズクに影響を及ぼすことが示唆された。時系列でモズクの細胞壁多糖を詳細に分析した結果、収穫期の後期になるにつれ、藻体の硬さが増し、それに伴って細胞壁多糖の成分も変化することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、天然海域におけるオキナワモズク養殖試験を実施して苗床間での微生物叢の比較を行い、同一漁場内のきわめて隣接した苗床間でモズク微生物叢に違いがあることを初めて見出した。本野外実験は、2021年度から次年度にまたがって再度実施しており、本知見の再現性を検討している。 前年度に難航したオキナワモズクのメタボローム解析においては、技術的困難を克服してデータが得られるようになった。このことで、オキナワモズクの生育する苗床が異なるとメタボロームにも差異が生じる可能性が初めて浮上した。 オキナワモズクのトランスクリプトーム解析も実施中である。前年度に構築したオキナワモズクの全RNA抽出法により、順調にRNA試料が得られており、次年度にはオキナワモズクトランスクリプトームのデータの集積が見込まれる。 細胞壁多糖成分の分析は順調に進行している。オキナワモズクは粘性や食感が収穫時期により異なることが知られていたが、本研究から、細胞壁多糖の成分が変化することにより、藻体の硬さが増し、それに伴って細胞壁の成分も変化することが判明した。 以上、本年度は、本研究の目的であるモズクと微生物の相互作用の全体像の解明に向け、残っていた技術的困難を概ね克服できたとともに、個別データの集積が順調に進んだ。野外実験におけるモズクの生育が想定より遅れており、そのためにデータの取得・解析の日程が後ろ倒しになっているものの、実験自体は遂行することができている。よって、概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
野外実験において採取した時系列のオキナワモズク試料を用いて、微生物叢解析(菌種組成解析およびメタゲノム解析)、トランスクリプトーム解析、メタボローム解析および細胞壁多糖分析の解析を進める。次年度には二か年にわたる微生物叢解析、トランスクリプトーム解析およびメタボローム解析のデータが得られる。これらの個別データを用いて、オキナワモズクとオキナワモズク微生物叢の相互作用に焦点を当てた統合的な解析を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)