病原細菌エフェクターによるNF-κB経路を標的とした感染機構の解析
Project/Area Number |
20H03198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43020:Structural biochemistry-related
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
水島 恒裕 兵庫県立大学, 理学研究科, 教授 (90362269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 一寿 三重大学, 医学系研究科, 産学官連携講座教授 (20541204)
Kim Minsoo 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50466835)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
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Keywords | 蛋白質 / エフェクター / 構造解析 / ユビキチン |
Outline of Research at the Start |
NF-κBは免疫反応において中心的役割を果たす転写因子である。これに対し、病原細菌は病原性タンパク質(エフェクター)を宿主細胞に分泌することにより、宿主の防御反応を阻害し感染している。本研究ではNF-κB経路の活性化を阻害する病原細菌エフェクターと標的となる宿主タンパク質の複合体構造を決定することにより病原細菌の感染メカニズムの解明、治療薬開発のための基盤構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
病原細菌はエフェクターと呼ばれる病原性タンパク質を宿主細胞に分泌し、宿主の防御応答を妨げることにより感染する。病原細菌は多数のエフェクターを持ち、宿主の炎症応答・細胞接着・オートファジー等、さまざまな防御応答の経路を阻害している。本研究では防御応答の中心的な役割を担う転写因子NF-κB経路を阻害するエフェクターの分子機構の解明を目指した。 赤痢菌エフェクターIpaH1.4とIpaH2.5はNF-κB経路の活性化に働くLUBAC複合体(HOIL-1L, HOIP, SHARPINから構成)を標的とする。これまでの研究により決定したIpaH1.4とIpaH2.5のLUBAC認識部位の構造をもとに、基質に対するIpaH1.4の認識機構を解析し、LUBAC複合体のHOIPを認識する部位とHOIL-1L、SHARPINを認識する部位が異なることを明らかにした。また、IpaH1.4はHOIL-1LとSHARPINのUBL領域を認識していることを示すと共に、IpaH1.4によるHOIL-1LのUBL認識における結合親和性を解析した。 エフェクターの一つであるCifはNEDD8のGln40を脱アミド化修飾することによりGlu40に変換し、宿主の細胞周期の進行を阻害する。これまで存在が報告されていないLegionellaにおいてCif様のタンパク質を見出し、結晶化に成功していた。そこで、LegionellaのCif様タンパク質結晶を用い、X線回折データ収集を行い、野生型の結晶構造を決定した。その結果、LegionellaのCif様タンパク質はこれまでに立体構造既知なBurkholderia属のCifとは異なる構造的な特徴を持つことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「IpaH1.4/2.5の基質認識および反応機構の解析」において、IpaH1.4が異なる領域でLUBAC複合体のサブユニットHOIPとHOIL-1LまたはSHARPINを認識していることを明らかにした。さらに、HOIL-1LとIpaH1.4の結合親和性を解析した。また、IpaH1.4と基質であるLUBAC複合体の構造解析を目指し、完全な状態のLUBACの精製条件検討を行った。「脱アミド化活性を持つエフェクターによるNF-κB活性化経路阻害機構の解析」では、基質認識に関わると考えられる部位が一般的なCifとは異なるLegionella由来のCif様タンパク質の結晶構造解析を行い、立体構造既知なCifと構造を比較した。また、これまで赤痢菌で報告されていたUbc13の脱アミド化酵素OspIの類似タンパク質が他の病原菌にも存在することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画であげた「IpaH1.4/2.5の基質認識および反応機構の解析」において、IpaH1.4によるLUBAC複合体認識機構の解析は順調に進行し、基質認識領域を明らかにすると共に、細胞内でのNF-κB活性化経路阻害に関する解析を進めた。今後の研究として、複合体構造が未知なIpaH1.4の基質認識領域とSHARPINの構造解析を行う。また、Cryo電子顕微鏡解析によるIpaH1.4-LUBAC複合体の構造解析を目指し、完全なLUBAC複合体の精製条件の検討を行うと共に、負染色を用いた電子顕微鏡画像の測定により、複合体タンパク質の状態を解析する。 研究計画「脱アミド化活性を持つエフェクターによるNF-κB活性化経路阻害機構の解析」ではユビキチンやNEDD8に対する脱アミド化活性を持ったLegionella由来のCif様タンパク質の構造に基づいた機能解析を進める。また、OspI様タンパク質の構造、機能解析を行う計画である。
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Report
(3 results)
Research Products
(11 results)