"Unstructural biology" of alpha-synuclein, an intrinsically disordered protein related to the pathogenesis of Parkinson's disease
Project/Area Number |
20H03232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
藤原 悟 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 専門業務員 (10354888)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2020: ¥10,790,000 (Direct Cost: ¥8,300,000、Indirect Cost: ¥2,490,000)
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Keywords | 天然変性蛋白質 / シヌクレイン / パーキンソン病 / 中性子散乱 / 蛋白質重水素化 / X線小角散乱 |
Outline of Research at the Start |
α-シヌクレイン(αSyn)と呼ばれる蛋白質の線維状異常凝集体(アミロイド線維)形成は、パーキンソン病発症と密接に関連する。本研究では、αSynのアミロイド線維形成の分子機構解明を目指して、中性子散乱の新しい測定・解析法を開発し、天然変性蛋白質であるαSyn単量体のふるまいの詳細な特徴づけ、即ち、構造分布の導出、そしてその分布を生み出す蛋白質の分子内運動の定量的評価という、いわばαSynの「非構造生物学」を構築する。アミロイド線維のなりやすさが異なる様々な条件での解析結果を比較することで、線維化のカギとなるふるまいを特定し、線維化の分子機構解明への手掛かりを得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、パーキンソン病発症と深く関係する蛋白質α-シヌクレイン(αSyn)のアミロイド線維形成の分子機構解明を目指し、アミロイド線維のなりやすさが異なる様々な条件下でのαSynのふるまいを明らかにすることを目的としている。研究成功のためには、試料調製技術の高度化、即ち中性子散乱において決定的に重要な蛋白質重水素化技術の高度化、並びに高収率での蛋白質精製法の確立が不可欠である。蛋白質重水素化については初年度に確立した重水素化緑藻ペプトン調製法に基づき、安定して重水素化蛋白質発現が可能な蛋白質重水素化法を確立した。さらに、本研究の中心である特定アミノ酸残基を「軽水素化」した重水素化蛋白質の調製法も確立した。また、同時に、高純度かつ高収率でαSynが得られる蛋白質精製法も確立した。こうした試料調製法の確立は、本研究の目的である中性子散乱実験実施の基盤となる重要な成果である。 本研究では、小角散乱と中性子準弾性散乱を併用して、αSynの構造及びダイナミクスを明らかにすることを目的とするが、本年度は、中性子準弾性散乱実験を実施した。通常の軽水素化αSyn及び重水素化αSynに加えて、繊維化において独自の役割を持つといわれている3つの領域(N末端領域、NAC領域、C末端領域)のそれぞれに主として存在するアミノ酸残基のみを軽水素化した重水素化αSynを調製し、それらの中性子準弾性散乱実験を実施した。これらの試料により、それぞれの領域からのシグナルを強調したスペクトルを得ることができる。得られたデータを解析した結果、それぞれの領域によりダイナミクスの特徴が異なることが示された。特に、アミロイド線維のなりやすさが異なる溶液条件の変化に対するダイナミクス変化が異なることが明らかとなった。これは線維化開始のカギとなるふるまいの特定につながる重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究成功のためには、基盤技術である蛋白質重水素化技術の高度化並びに効率的な試料調製法の確立が、本質的に重要である。本年度までの研究でこうした基盤技術を確立したことは、研究の順調な進展につながる重要な成果である。本年度は、こうした技術を駆使して、繊維化において独自の役割を持つとされるαSynの3つの領域のそれぞれに主として存在するアミノ酸残基のみを軽水素化した重水素化αSynを調製し、それぞれの試料の中性子準弾性散乱実験を実施した。得られたスペクトルの解析の結果、領域ごとにダイナミクスの特徴が異なることが明らかとなった。これは、本研究において開発した手法の有効性を示すとともに、この手法により、繊維形成機構のカギとなるふるまいを特定できる可能性を示す重要な成果である。このように、目的とする実験を実施し重要な成果が得られているので、研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において目的とする実験は、特定のアミノ酸残基を軽水素化した重水素化蛋白質の中性子小角散乱(SANS)及び中性子準弾性散乱(QENS)実験である。本年度において、これまでに確立した重水素化技術並びに蛋白質精製法を用いて、QENS実験が実施できたので、次年度では、残りのSANS実験を実施する。原子炉中性子源によるSANS測定装置のマシンタイムは確保してあるので、実験実施に問題はない。また、QENS実験のデータを詳細に解析すると同時に、SANS実験のデータ解析法を確立し、アミロイド線維のなりやすさが異なる様々な条件下でのαSynのふるまいを明らかにする。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)