上皮形態形成における組織形状と細胞分化の調和機構の解明
Project/Area Number |
20H03258
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 武史 京都大学, 生命科学研究科, 研究員 (60565084)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
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Keywords | 上皮形態形成 / 細胞運命決定 / 形態形成フィードバック / 1細胞RNA-seq / イメージング |
Outline of Research at the Start |
機能的な器官の構築には、適切な細胞分化と秩序立った形態形成の両者の調和が必要である。本研究では、ショウジョウバエ気管形成における細胞分化と形態形成の調和制御をモデルとして、そのメカニズムを明らかにすることを目的とする。ショウジョウバエ遺伝学を基盤に、ライブイメージングや1細胞RNA-seqの手法を駆使して、(1)細胞・組織変形、(2)細胞分化状態、(3)ゲノムワイドな遺伝子発現、の時系列変化に関する定量的な情報を取得し、その関係性を解析する。そしてその知見を基に、上皮組織の形態形成に依存した細胞分化を規定する遺伝子制御プログラムの解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
機能的な器官の構築には、適切な細胞分化と秩序立った形態形成の両者の調和が必要である。本研究では、ショウジョウバエ気管形成をモデルとして、ライブイメージングや1細胞RNA-seqの手法を駆使してその調和メカニズムを明らかにすることを目的としている。前年度までに、時系列1細胞RNA-seqによる気管細胞分化ダイナミクスの解析を進め、気管の複数の分岐のうち、最も表皮に近い場所に位置するSpiracle branch (SB)が、他の気管細胞とは異なるタイミングとメカニズムで分化すること、さらにこのSB細胞の分化過程では気管マーカー遺伝子と表皮マーカー遺伝子の発現がダイナミックに変動し、両遺伝子を同時に発現する中間状態の細胞が存在することも示唆された。当該年度ではこの結果をさらに検証するために、Llama-tagシステムを用いて、陥入運動に異常を示す変異体における表皮マーカー遺伝子(ab遺伝子)のタンパク質発現のダイナミクスをライブイメージングにより解析した。その結果、正常胚と同様にAbは原基周辺で発現が開始したのち、陥入の程度によらず表面にとどまった細胞全てでその発現を開始することが明らかになった。さらに、多重蛍光in situハイブリダイゼイーション解析によりtrh mRNAとab mRNAの発現パターンを同時に解析することで、気管系譜領域と表皮系譜領域の境界部分には両遺伝子を同時に発現する中間状態の細胞が実際に存在することも明らかになった。また、このような細胞は陥入完了後には観察されないため、陥入運動中に一過的に存在するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Llama-tagを用いたイメージングにより、形態形成運動の異常に対応した細胞分化ダイナミクスの情報を得ることができている。また、1細胞RNA-seqから推定された中間状態細胞を実際に捉えることにも成功した。これらは、形態形成に依存した細胞運命決定機構を強く支持する結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに取得してきた正常胚および陥入に異常を示す変異胚における、1細胞RNA-seqによるトランスクリプトームデータ・イメージングによるTrh発現および表皮遺伝子発現のダイナミクスデータと組織形状変化の時空間的な前後関係性を統合的に解析し、文献情報も加味することで、組織形状に依存した分化制御に関わる転写因子群やその上流の情報伝達系を推測し、気管原基細胞の分化制御において中心的な機能を担うと予想される候補遺伝子を絞り込む。次に、それらの機能を欠失した変異体をイメージング技術やin situハイブリダイゼイーション技術等を用いて調べることにより、気管形成におけるその役割を検証する。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)