地下圏における炭素循環:微生物によるリグニン様物質からのメタン生成プロセスの解明
Project/Area Number |
20H03314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
石井 俊一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 副主任研究員 (10556913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 志野 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10557002)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
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Keywords | 地下圏微生物 / 水溶性天然ガス田 / メタゲノム / メタトランスクリプトーム / メタン菌 / 天然ガス鉱床 / Bathyarchaeota / メタン生成 |
Outline of Research at the Start |
地下圏環境における炭素循環の最終生成物であるメタンは、微生物群集が協調し、リグニンやフミン酸といった難分解性有機物が多段階で分解することで生成される。本研究では、天然ガス田湧出地下水中の微生物群を対象として、網羅的メタオミクス解析、難分解性有機物とその中間代謝産物の分解微生物群集の取得、主要微生物の単離、それらの分解特性解析を行い、知見を統合することで地下圏に普遍的にみられる難分解性有機物からのメタン生成プロセスの解明を目指す。この微生物プロセスは、メタンハイドレートや天然ガス鉱床形成においても重要な役割を果たすと考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
嫌気環境における炭素循環の最終生成物であるメタンは、微生物群集が協調し、有機物が多段階で分解することで生成される。中でも地下圏においては、地質学的時間の中で、リグニンやフミン酸といった難分解性有機物が、炭素源・エネルギー源となると推定される。この微生物代謝が介する一連のメタン生成反応は、地球の炭素循環はもとより、メタンハイドレートや天然ガス鉱床形成においても重要な役割を果たすと考えられているが、その反応が地下深部で起こること、地下圏には未知の微生物系統群が多く存在することから、理解が未熟である。そこで本研究では、地下圏に普遍的にみられる難分解性有機物からのメタン生成プロセスの解明を目指す。 本年度は、地表の天然ガス田湧出地下水中および分離槽に形成されるバイオフィルムの微生物群を対象としたDNAシーケンスデータを用いたメタゲノム解析を行い、5つのガス田に生息する地下圏微生物のMetagenome-assembled genomeを作成した。その結果、何個かの天然ガス田では、その湧出地下水中にメタン生成微生物が見られた。地上湧出後に形成される分離槽のバイオフィルムには、メタン菌はメタン生成遺伝子が見られるものもあったが、嫌気的メタン酸化古細菌(ANME菌)が見られるサンプルもあった。空気層と接する部分に形成されるバイオフィルムには、好気的なメタン酸化微生物が見られた。 また、地下圏におけるリグニン由来の難分解性有機物分解微生物の候補であるBathyarchaeotaを多く含む集積系に関しては、さらなる集積と分離培養のプロセスを進めた。具体的には、シリンガ酸、バニリン酸を唯一の炭素源として、異なる電子受容体での培養を行った。シリンガ酸とバニリン酸の分解挙動を追いつつ、Bathyarchaeotaが多く存在する培養系のDNAseqとRNAseqを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、地表の天然ガス田湧出地下水中の微生物群を対象とした網羅的メタオミクス解析を進め、南関東ガス田の異なる層準、異なる位置から採掘されている5つのガス田における、湧出地下水中および分離槽のバイオフィルムのメタゲノム解析を行った。それらの環境中から高品質のものを含む微生物ゲノムを多数同定する事ができ、本項目に関しては当初の予定通りである。 さらに、リグニン由来の難分解性有機物中間代謝産物として、シリンガ酸、バニリン酸を基質とした集積培養系で見られた芳香族メトキシ化合物を分解すると考えられている古細菌(Bathyaechaeota)について、培養および解析を進めた。本培養系で、芳香族メトキシ化合物が分解している事を明らかにする事ができると共に、安定的な継代培養が可能である事が分かった。これにより、地下圏における主要な未培養系統の一つであるBathyarchaeotaの理解に向けた次のステップが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
南関東ガス田の異なる層準から天然ガスを採取している5個の異なる井戸に生息している、湧出地下水中の地下圏微生物群と井戸壁面に形成されたバイオフィルム中の地下圏微生物群中の優占微生物のドラフトゲノム(Metagenome assembled genome; MAG)を対象として、RNAseqを用いたメタトランスクリプトーム解析を行う。これにより、それらの微生物が、各環境中でどのような代謝機能を果たしているのかを明らかにし、それらの地下圏微生物の生理・生態を解明していく。 並行して、シリンガ酸・バニリン酸を用いた集積培養中の未培養系統門Bathyarchaeotaに属する微生物種の単離を試みる。本年は、抗生物質を用いて、硫酸やマグネタイトを用いた培養系にて古細菌以外の除去を行う。同時にメタオミクス解析を行い、Bathyarchaeotaの遺伝子発現解析から、どのように芳香族メトキシ化合物を分解しているのかを推定すると共に、培養系中に存在する他の微生物とどのような共生関係を結んでるのかを明らかにする。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)