Analysis of vesicular traffic involving systemic RNAi
Project/Area Number |
20H03422
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48020:Physiology-related
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
三谷 昌平 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90192757)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥16,120,000 (Direct Cost: ¥12,400,000、Indirect Cost: ¥3,720,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
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Keywords | 小胞輸送 / 線虫 / 全身性RNAi / RNA干渉 / 全身性RNA干渉 / 亜鉛輸送体 / Rab GAP / 亜鉛濃度 / 開口放出 / C. elegans |
Outline of Research at the Start |
本研究では、RNA干渉(RNAi)が細胞間で伝播する現象に焦点を当て、それに関わる小胞輸送分子の機能解析を行う。線虫で最初に見つかった全身性RNAi(ある組織でRNAiが起こると別の組織に同様の効果が伝播すること)の分子細胞メカニズムとその生理学的意義の解明を目指している。申請者は、線虫の順遺伝学を用いてこの現象に関わる新規分子を多数発見している。本申請ではその中でも2種の遺伝子(亜鉛トランスポーターとRab GAPタンパク質)に焦点を当て、その作用の分子メカニズムに至るまで線虫遺伝学を用いて解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、RNA干渉(RNAi)が細胞間で伝播する現象に焦点を当て、それに関わる小胞輸送分子の機能解析を行う。線虫で最初に見つかった全身性RNAi(ある組織でRNAiが起こると別の組織に同様の効果が伝播すること)の分子細胞メカニズムとその生理学的意義の解明を目指している。dsRNAのような生体高分子の開口分泌とエンドサイトーシスに依存する可能性が高い。我々はこの現象に関与する新たな分子を多数発見しているが、その中で亜鉛トランスポーターとRab GAPタンパク質に焦点を当てて、線虫遺伝学を利用して作用メカニズム解析をしている。(テーマ1) 亜鉛トランスポーター変異体がEri表現型(RNAi増強)を呈することから、亜鉛による制御を受ける分子でどのような表現型を持つかを調べた。培地への亜鉛の添加により、RNAi効果は減弱し、他のイオン(カルシウム、マグネシウム、マンガン、鉄)では抑制効果は見られず、亜鉛に特異的であった。(テーマ2) 我々は、順遺伝学スクリーニングで全身性RNAiが減弱する分子を見出した。そのうちの1つは、TBC-3(Rab GAP活性を持つ)であり、別の新規分子(線虫特異的なタンパク質をコード)をREXD-1と名付けた。これらの変異体では、腸管からのdsRNAの放出が低下するが、他の組織でのdsRNAの取り込みは正常である。卵細胞への卵黄の取り込みも正常に行われることから、腸管からの卵黄タンパク質の放出は正常であることが分かった。神経伝達物質の放出が正常である(運動などが正常に起こる)など、機能としては、dsRNAの分泌に特化していることが示された。Rexd-1、tbc-3、sid-5(既報の腸管からの分泌に関与する分子)の三重変異体では、全身性RNAiが全く起こらなくなることから、3種類の経路が冗長的に働いてdsRNAの放出に関与していることが解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNA干渉の際のdsRNAが細胞内外でどのように輸送されているかは断片的な理解しかできていない。亜鉛輸送体の作用については、RSD-3という全身性RNAiに関わり、変異体でRNAiが減弱する株のサプレッサーをスクリーニングして分離した。遺伝学解析によって機能的に相互作用する分子がとても多数見つかり、亜鉛との関連もより核心に近づきつつある。亜鉛輸送体の系は、細胞内での移動や細胞外からの取り込みに関わっており、亜鉛の標的候補が複数存在するので、今後はその分子細胞レベルのメカニズムの解明が期待される。亜鉛輸送体の同定の研究は国際誌に採択され、近日中に公開される予定である。 TBC-3というRab GAPタンパク質の系は分泌に関わっており、かつ、RNA干渉に特異的なシステムであることが解明されつつある。重要な点は、TBC-3、REXD-1、SID-5が3つの独立した分泌経路の必須分子であることが分かったことから、RNAiの分泌経路がそれぞれの経路として詳細に解明できる状況に至ったことである。ヒトのsmall RNAの放出経路は複雑であり、例えば血漿中のsmall RNAの分泌経路などの相互関係は解明の途上である。これまで小胞輸送に関わっているかどうか分かっていない分子もRNAi関連の小胞輸送分子として見出され、既知の小胞輸送分子との相互作用により、小胞輸送に関わる仕組みが解明できる点である。この分野での重要な貢献となると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
我々はdsRNAの取り込みと放出に関わる分子や分子メカニズムの解明に成功しつつある。新たに見出した分子群は、予想通り、分子間相互作用や局在などから細胞内の小胞輸送に関連したものである。重要な点は、分泌に関しては、三重変異体などで少なくとも線虫ではRNAiがほぼ起こらなくなる遺伝経路が解明できたことである。これらの遺伝材料を用いることで、それぞれの経路に関わる分子の全貌が解明されることが期待される。分子メカニズムなどが明らかになったものについては、ヒト細胞でも同様の仕組みが使用されているか、相同分子の機能を解析することで進めたい。 亜鉛輸送体の成果は近日中に論文となるが、その関連分子も多数見出しているので、引き続き分子メカニズムの解明を進めたい。一方、亜鉛輸送体の変異体がEri表現型を呈することから、例えば、この亜鉛輸送体に対する阻害剤を見出すことで、RNAiを増強する化合物を同定できることが期待される。同様に変異体がEriとなるような分子はRNAi効果を増強するインヒビターの標的候補になり得る。個体の生存によって検出可能であるを全身性RNAiの実験系を用いて、化合物ライブラリーのスクリーニングを行う計画である。RNA干渉は発見された当初は治療にも有用との期待があったが、現状での大勢は細胞へのsiRNAの投与による実験に使用されている例が多く、癌や感染症などの致死的な疾患の治療にはあまり使われていない。RNAi増強化合物の探索は医学生命科学全般への作用が期待される。
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Report
(3 results)
Research Products
(17 results)