ライトフィールド投影を用いた錯視の誘発によるシミュレーテッドリアリティの実現
Project/Area Number |
20H04230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61020:Human interface and interaction-related
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
天野 敏之 和歌山大学, システム工学部, 教授 (60324472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 孝弘 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (00396904)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
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Keywords | 空間型拡張現実感 / ライトフィールド / シミュレーテッドリアリティ / 錯視 / ミラーワールド |
Outline of Research at the Start |
本研究課題では,インターネットの次に来る技術を,現実世界のすべてが一対一でデジタル化された「ミラーワールド(鏡面世界)」と考え,鏡面世界と現実世界を結びつける空間型拡張現実感によるシミュレーテッドリアリティの実現を試みる.具体的には, ライトフィールドの操作によって我々の物体知覚をどこまで騙すことができるか?, 知覚メカニズムを考慮することで光学限界をどの程度超えることができるか?を核心をなす学術的な問とし,「ドーム型ライトフィールド投影装置を用いた高品位な見かけのBRDF操作」と「錯視の誘発による光学限界を超えるシミュレーテッドリアリティ」について取り組む.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,現実世界がデジタル化された「ミラーワールド」と現実世界を結びつける技術を空間型拡張現実感と捉え,空間型拡張現実感によるシミュレーテッドリアリティの実現を試みている.具体的には,ライトフィールドの操作によって私たちの物体知覚をどこまで騙すことができるか,知覚メカニズムを考慮することで光学限界をどの程度超えることができるかを核心となる学術的な問いとして研究を行っている. この研究を行うに当たり,本研究では,まず,複数のプロジェクタとアレイ状に配置した鏡を用いた4自由度の光線場投影装置を製作し,この装置を用いて「錯視の誘発による光学限界を超えるシミュレーテッドリアリティ」と「マルチミラー型ライトフィールド投影装置を用いた高品位な見かけのBRDF操作」に取り組んでいる. 「錯視の誘発による光学限界を超えるシミュレーテッドリアリティ」では,これまでに装置の校正方法と光線場の生成方法を確立し,算出された光線場を光線場投影装置を用いることで,装置のステージ上で点光源や平行光源,拡散光源などの照明環境を仮想的に再現する手法を確立した.2022年度には光線場投影装置に鏡とプロジェクタを追加し,天頂角の範囲を40度から75度に拡大し,また,天頂角が大きい水平方向の投影において12の方位角からの投影を可能に,これにより,日照変化などの大きな光線方向の変化の再現を実現している. 「マルチミラー型ライトフィールド投影装置を用いた高品位な見かけのBRDF操作」では,これまでに鏡面反射を仮定して各視方向に所望の色彩を提示するための光線場の生成を行うことで,アルミの外装のノートパソコンや金属の装飾品,ガラスの器などの鏡面反射を有する物体表面の配光分布を操作して所望のBRDFの色彩に変化させる質感提示技術を実現している.2022年度はこの技術による質感提示結果の解析と評価を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度には,錯視の誘発による光学限界を超えるシミュレーテッドリアリティでは,光線場投影の天頂角の拡張と方位角の角度分解能の向上により,日照変化などの大きな光線方向の変化の再現を実現した.また,光線場投影を用いた高品位な見かけのBRDF操作においては,投影結果の予備的な評価でBRDFで表される質感が知覚できることが確認された.さらに,これらの研究成果はVRやARに関する国際会議であるEuroXRにて発表され,学術論文も投稿できた.したがって,現在までの進捗状況は概ね順調と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
BRDF提示では,物体の形状情報を利用しないため,視点移動や物体表面の法線変化による色彩の変化が正確に表現されない理論的制約があるが,2022年度には,BRDFによって表現される質感が知覚可能であることが予備的な評価により確認された.また,色彩情報がない場合であっても,異なる表面粗さを持つ金属の光沢を提示することが可能であることも確認された. 2023年度には,色彩変化が正確に表現されない場合でも,質感が知覚されるメカニズムの解明に取り組む.また,評価実験によって,提案手法の有効性を評価する予定である. 光学限界を超えるシミュレーテッドリアリティについては,2022年度に鏡とプロジェクタを追加して,天頂角の範囲を40度から75度に拡大し,天頂角が大きい投影において,12の方位角からの投影を実現した.2023年度には,この拡張された装置を使用し,より高度な仮想照明環境の再現に取り組む予定である.さらに,2023年度には,光線場投影装置に交流電源により制御可能な拡散フィルムを導入して指向性の制御を実現する.これにより,BRDF提示ではマットな物体の質感表現を試みる.また,仮想照明環境では,無指向性の影が生じない照明環境の再現を試みる.
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Report
(3 results)
Research Products
(43 results)