Project/Area Number |
20H04327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63010:Environmental dynamic analysis-related
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
大藪 幾美 国立極地研究所, 先端研究推進系, 特任研究員 (20758396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 賢二 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (90431478)
青木 周司 東北大学, 理学研究科, 学術研究員 (00183129)
森本 真司 東北大学, 理学研究科, 教授 (30270424)
阿部 彩子 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (30272537)
吉森 正和 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (20466874)
大石 龍太 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (90436600)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
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Keywords | メタン / 氷床コア / 完新世 / 温室効果ガス / 気候変動 / グリーンランド / 南北差 / ボックスモデル / 南極 |
Outline of Research at the Start |
過去数十万年のメタン濃度は北半球の夏期日射量と同調して変動し、過去3回の間氷期においては日射量の低下に伴ってメタン濃度も低下した。ところが、約1万年前から現在まで続く間氷期では、日射量が低下したにも関わらず約5000年前からメタン濃度が上昇した。これが人間活動の影響であるとする説や、南半球の日射の増大のためであるとする説などが提案され、論争が続いている。本研究は、両極の氷床コアを分析しメタン放出源の緯度分布の変化により生じる南北の濃度差を精密に復元する。さらに気候・植生モデルで過去1万年の気温や降水量、植生分布を再現し、データとモデルを組み合わせ過去1万年のメタン濃度の変動要因の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
・データ取得 2022年度はグリーンランドのNEEM氷床コアの過去1万年間のメタン濃度のデータセットを完成させた。割れやクラックが多く氷の質が悪い深度帯(ブリットルゾーン)の試料で高濃度が検出された深度については、残りの試料で再測定を行った。また、南極のドームふじ氷床コアからCH4濃度, N2O濃度, CO2濃度, δ15N-N2, δ18O-O2, δO2/N2, δAr/N2, 空気含有量のデータを取得し、全試料数の8割程度(214試料)の測定を行った。
・年代統合と南北差の計算 まず、メタン濃度の南北差を正確に計算するため、両極コアの年代軸を完新世の年代が最も正確である西南極のWAIS Divideコアに統合する作業を行った。南極内陸は涵養量が小さいため、ドームふじコアの気泡に封じられる空気はWAIS Divideコアのそれよりも大きな年代幅を持つ。そのため、先行研究で求められたドームふじコアの気泡の年代分布を用いて、WAIS Divideコアのメタン濃度にスムージングをかけ、ドームふじコアのメタン濃度と同程度の解像度にした。このデータセットを用いて、メタン濃度の特徴的な変化をマッチングさせ年代同期を行った。NEEMコアの気泡の年代分布はWAIS Divideコアと同程度であるため、取得したデータを直接用いてWAIS Divideの年代と同期させた。 次に、ドームふじの気泡の年代分布を用いてNEEMコアのメタン濃度にスムージングをかけ、ドームふじコアのメタン濃度と同程度の解像度にし、ドームふじコアのメタン濃度との差(南北差)を計算した。その結果、先行研究と整合的な南北差を得た。具体的には、5000年前の南北差が最も大きく、完新世後期に向かって南北差は小さくなったことが明らかとなった。さらに、南北半球間のメタン収支を調べるためのボックスモデルの構築に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で述べた通り、NEEMコアのメタン濃度データセットを完成させた共に、ドームふじ氷床コアのメタン濃度データの8割を取得を終えた。また、予備的な解析として、NEEMコアとドームふじコアの年代軸を、西南極のWAIS Divideコアの年代軸に統合し、南北差を計算したほか、先行研究を参考に、ボックスモデルの構築に着手しており、計画が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ドームふじコアの気体データの取得を完了させ、最終データセットを用いてWAIS Divideコアの年代に統合する。グリーランドコアについては、他の研究機関が取得したNEEMコア以外ののメタン濃度のデータが公開されているため、本研究で取得したNEEMコアのメタン濃度と合わせ、より時間分解能の高いコンポジットデータを作成し、南北差の計算を行う。その後、構築したボックスモデルを用い、完新世のメタン濃度の変動要因を考察する。
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