Project/Area Number |
20H04355
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64010:Environmental load and risk assessment-related
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
勝見 尚也 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40769767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 洋平 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80436899)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥18,330,000 (Direct Cost: ¥14,100,000、Indirect Cost: ¥4,230,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥13,650,000 (Direct Cost: ¥10,500,000、Indirect Cost: ¥3,150,000)
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Keywords | マイクロプラスチック / 農耕地 / 水田 / 重金属 / 土壌 / 被覆肥料 / ナノプラスチック / 顕微FTIR |
Outline of Research at the Start |
マイクロプラスチック(MP)による海洋汚染の拡大を防ぐためには陸域発生源に対して対策を講じることが重要である。我々のこれまでの予備調査から、農耕地が海洋MPの発生源の一つとなっていることが明らかになった。しかし、粒径100μm以下の微小なMPについては分析手法が障壁となり、土壌中濃度、発生源、農耕地における収支などの実態解明が困難だった。そこで本研究は、先端技術を導入することで土壌中の微小なMPを分析する新たな手法を確立し、ミクロとマクロな視点から流域環境におけるMPの環境濃度・収支を明らかにする。それらの成果を統合し、農耕地から海域への流出モデルの開発やインベントリ作成に資する成果を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は農耕地で使用される被覆肥料(プラスチックでコーティングした肥料)に由来する一次マイクロプラスチック(被膜殻)に着目し、農耕地からの流出プロセスと流出量を精査した。 慣行栽培を実施している水田において被膜殻の排出量の推移を調査したところ、代かきと移植時の落水によって年間総排出量の6~9割が排出されていた。それ以外には中干時の落水や降雨により水田の水位が上昇した際にも排出されていたが、その量は代かきや移植時の落水に比べて少なかった。さらに、非灌漑期における降雨では被膜殻の排出がほとんど無かった。よって、代かきと落水時の排出を抑えることが負荷量の削減に効果的と言える。 これまでの調査で得られた排出原単位から、日本国内の水田から排出される被膜殻の総量を推定した。その結果、国内の水田から年間81~2366トン(中央値800トン)の被膜殻が排出されていると見積もられた。Nihei et al. (2020) の試算によると、日本の河川から海洋へ流出するマイクロプラスチックの総流出量は年間210~4776トン(中央値 1,310トン)であり、それらの値(中央値)と比較すると、国内総排出量の約6割に相当する量のマイクロプラスチックが水田から排出されていることとなる。 これまで農用地に施用した被覆肥料に由来する被膜殻の総量と既に流出した量の差から、国内の農耕地における被膜殻の総蓄積量を推定した。その結果、日本国内の農用地には10万トン以上の被膜殻が既に蓄積していると見積もられた。この量は日本国内の水田からの年間総排出量の125倍に相当する。そのため、今すぐに被覆肥料の使用を制限しても、慣行の水稲栽培を続ける限り既に土壌に蓄積した被膜殻が長期間にわたり流出し続ける可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、被覆肥料に由来するマイクロプラスチックの流出時期やその量を明らかにすることができたためおおむね順調に進展していると判断した。 本年度は被覆肥料に由来するマイクロプラスチックの動態解析を中心に実施したが、それと並行して微小なマイクロプラスチックを抽出する際の前処理の最適化を行った。その結果、昨年度まで鉱物の除去が不十分だった黒ボク土の分析が可能になった。一方、有機物含量が極端に多い試料(例えば、森林のリター層)の分析は依然として実現していない。近年、泥炭土壌に含まれるマイクロプラスチックの分析手法が検討され、夾雑物(泥炭)の分解にNaClOが用いられた(Hagelskjare et al. 2023)。NaClOは一部のアルカリに弱いマイクロプラスチックまでも分解する可能性があるものの、検討する価値はあると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降も、引き続きマイクロプラスチックの分析を進める。特に、これまで前処理の問題で分析がストップしていた試料を中心に分析を進めることで、土地利用と汚染の関係や景観レベルでの濃度分布などを精査し、農耕地土壌の汚染実態を明らかにする。なお、2023年度が最終年度であるため、これまでの成果をとりまとめ、国際誌に発表する。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)