Project/Area Number |
20H04412
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
陶 徳民 関西大学, 東西学術研究所, 客員研究員 (40288791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 茂稔 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20312720)
高木 智見 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (30211999)
二ノ宮 聡 北陸大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (50735016)
高田 時雄 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (60150249)
石 暁軍 姫路獨協大学, 人間社会学群, 教授 (60330479)
村田 雄二郎 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70190923)
錢 鴎 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (70298701)
山田 智 静岡大学, 教育学部, 准教授 (90625211)
玄 幸子 関西大学, 外国語学部, 教授 (00282963)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
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Keywords | 内藤湖南 / 内藤文庫 / 大正日本 / 日中関係 / 文化交渉 / 大正期 / 中国研究 / 東西関係 / 文人交流 / 敦煌学 / 東西交渉 / 東洋史論 / 清末民国初期政治・社会論 / 中国文明・文化論 |
Outline of Research at the Start |
大正期(1912年-1926年)は内藤湖南の生涯における知的生産の最盛期であり、中国の歴史、現状と文明に関する主要論点と論理はほぼこの時期に出揃っている。本研究は、このような湖南の学術造詣と政治・外交思想の形成結晶における東西思想交渉の実態を、関西大学・京都大学・大阪市立大学所蔵の内藤文庫中の大正期資料に基づき、第一次世界大戦前後に激変した世界情勢というコンテキストのなかで系統的に解明することを目指している。
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Outline of Annual Research Achievements |
1)関西大学内藤文庫所蔵資料を継続調査し、調査結果を反映した『内藤湖南の人脈と影響-還暦祝賀及び葬祭関連資料に見る』と『内藤湖南自用印譜』などの資料集、「内藤湖南中国絵画題跋に関する再考察―関西大学内藤文庫所蔵資料を中心に」など多数の論文、及び「内藤湖南研究文献目録 (中国語・英語)」を出版した。 2)2021年11月6日、7日関西大学で開かれた国際シンポジウム「内藤湖南と石濱純太郎ー近代東洋学の射程」の発表内容を『国際シンポジウム論文集 内藤湖南研究の最前線』として出版した。なお、発表内容の一部は同会議の共催者で分担者でもあった関西大学研究拠点形成支援経費「内藤文庫および石濱文庫所蔵資料の調査と整理に関する共同研究」の代表、玄幸子により別途編集出版された。そして、2022年7月31日に、胡適著『章實斎先生年譜』(1922年)の出版と内藤湖南への寄贈百周年を記念するため、京都大学人文科学研究所と国際シンポジウム「近代日本・中国における章学誠研究熱の形成とそのインパクト―内藤湖南、胡適および20世紀中国学の諸相」を共催した。 3)内藤湖南を主人公とする二つのテレビ番組の製作者による関西大学図書館、京都大学人文科学研究所及び内藤が晩年を過された恭仁山荘(関西大学の施設)での取材に協力し、高田時雄と陶徳民が番組に出演した。2022年3月16日(水)にNHK BSプレミアムで放送された教養番組「千年のまなざしで中国をみよ 内藤湖南が描いた日本と中国」(「英雄たちの選択」シリーズ。次週水曜日に再放送)。2022年9月24日(土)秋田テレビで放送された「ふるさと秋田再発見シリーズ 秋田人物伝~内藤湖南~」。番組の中には、本科研プロジェクトの調査研究成果の一部が反映されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトが着実に進展し、特に調査研究成果の発信という方面で当初の計画以上に実績を上げている。 例えば、国内外の協力者も含む第一線の研究者の論考14編を収録した『国際シンポジウム論文集 内藤湖南研究の最前線』(2023年3月)は、新しい研究分野を開拓し新しい問題意識を示している。同書の第1部「内藤湖南における学問と政治」に、「内藤湖南の中国研究における「内在的理解」について」(黄東蘭)、「内藤湖南と〈アジア主義〉の時代」(山田智)、「内藤湖南の1912 年奉天訪書と清室古物問題」(村田雄二郎)、「王羲之的仆人 熊希齢的顧問―従1913年内藤湖南的自我定位看其中国観的特征―」(陶徳民)、「1917年内藤湖南的中國訪問與羅振玉」(錢鴎)及び「試論内藤湖南與章太炎(林少陽)などの論文6編が含まれている。第2部「内藤湖南の学術・芸術とその周辺」には、「従羅王書信看早期甲骨学的形成」(羅こん<王+昆>、羅振玉の孫娘で中国古代史研究者)、「内藤湖南の東洋史論の特質とその史学史的意義」(小嶋茂稔)、「内藤湖南中国絵画題跋に関する再考察―関西大学図書館内藤文庫所蔵資料を中心に―」(石暁軍)、「関西大学内藤文庫所蔵『内藤湖南宛廉泉書簡』について」(朱琳)及び「内藤湖南和羅振玉対智永《真草千字文》的推崇和研究」(石永峰)などの論文5編が含まれている。第3部「内藤湖南の儒教思想と仏教観・神道観」に、「内藤湖南と梁啓超―東アジア文明を支えてきたもの―」(高木智見)、「内藤湖南の仏教観の形成―大内青巒との出会いと影響―」(二ノ宮聡)及び「内藤湖南的神道觀」(呉偉明)などの論文3編が含まれている。 なお、「内藤湖南研究文献目録(中国語・英語)」や「京都帝国大学の東洋学―アジアの再発見」など切磋琢磨による共編目録と共著論文もこれからの内藤研究にとって不可欠な参考文献になるだろうと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)関西大学内藤文庫所蔵資料に関するこれまでの調査でいくつかの重要発見があった。例えば、高名なフランス人東洋学者ポール・ペリオが1935年来日の際、内藤湖南一周忌法事に参列する前日、五万余冊の書籍を収蔵している恭仁山荘の書庫を見学時に書いた賛辞「巡禮の如く尋ね來た内藤教授の文庫訪問記念に 1935年6月23日」(高田時雄の訳)など。また、村田雄二郎と銭鴎が内藤関連の筆談資料を網羅的に収集し解読を進めている。そのほか、内藤宛て書簡と葉書も多数残っており、検討が必要である。 2)2022年7月31日に京都大学人文科学研究所の研究班「清代~近代における経学の断絶と連続:目録学の視角から」と共同開催した国際シンポジウム「近代日本・中国における章学誠研究熱の形成とそのインパクト―内藤湖南、胡適および20世紀中国学の諸相」における発表内容と関連情報を、勉誠社出版の月刊《アジア遊学》特集号(論文18編、コラム10本より構成)として編集し、2023年秋出版する予定である。 3)研究を推進するために、研究史と研究現状の把握が不可欠である。その意味で、関西大学『東アジア文化交渉研究』第16号(2023年3月)に掲載された「内藤湖南研究文献目録(中国語・英語)」(陶徳民・銭婉約)と、北京大学国際漢学家研修基地が発行する『国際漢学研究通訊』第26期(2023年夏)に掲載予定の「内藤湖南研究中日英文献聯合目録(1934ー2022)」(日本語の研究文献も追加)が、これからの内藤研究にとって重要な道標になる。 4)陶徳民と村田雄二郎が、内藤湖南を中心にした共著論文「京都帝国大学の東洋学―アジアの再発見」を集英社創業95周年記念企画『アジア人物史』(全12巻)の第9巻『激動の国家建設 19~20世紀』に寄稿した。同論文は、2024年2月に出版される予定である。
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