Project/Area Number |
20H04449
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80030:Gender studies-related
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Research Institution | Saitama University (2021-2023) Meiji Gakuin University (2020) |
Principal Investigator |
菅野 摂子 埼玉大学, その他部局等, 准教授 (60647254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二階堂 祐子 国立民族学博物館, 超域フィールド科学研究部, 外来研究員 (40831269)
齋藤 圭介 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (60761559)
石黒 眞里 明治学院大学, 社会学部, 実験助手 (60833126)
柘植 あづみ 明治学院大学, 社会学部, 教授 (90179987)
佐野 敦子 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任研究員 (00791021)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥10,920,000 (Direct Cost: ¥8,400,000、Indirect Cost: ¥2,520,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 人工妊娠中絶 / 医療者 / 出生前検査 / 産婦人科医 / 海外事例 / リプロダクティブ・ヘルス&ライツ / 医療情報ネット / フェミニスト / アイルランド / NIPT / 初期中絶 / 中期中絶 / 同意書 / 妊婦健診 / 羊水検査 / ドイツ / 母体保護指定医 / リプロダクティブ・ヘルス/ライツ / インタビュー調査 / 女性 |
Outline of Research at the Start |
日本の中絶は、刑法堕胎罪における禁止と母体保護法(旧優生保護法)による容認の二つのスタンダードによって行われてきた。この二つの調整は、中絶の現場においては母体保護指定医である産婦人科医によってなされてきた。なかでも、胎児の障がいによる中絶は、母体保護法の中絶要件に書かれおらす、規定の条件に読み替えることで実施されてきたが、近年精度の高い出生前スクリーング検査が広がる中で、こうした読み替えが果たして有効なのかが課題となっている。妊婦との関係や他の医療職とのかかわり、自身の考え方も含めて医師による医療実践としての中絶を捉え直し、出生前検査のある社会における中絶の新たなフレイムを構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1.国内の産婦人科医への調査と分析:昨年からの追加で3名の産婦人科医にインタビューを行った。3名とも女性の産婦人科医で、すべて病院勤務であったが、地域や病院の規模によって抱えている課題は異なることがわかった。年度内に原稿の確認が終わったのは2名であったため、学会発表では12名を対象に、各研究者のテーマで、国際ジェンダー学会のRTD、NWEC(国立女性会館)の催しで発表した。 2.アイルランドは二階堂と柘植の2名で調査を行ったが、2021年度の課題は二階堂が行い、22年度の課題は柘植が担当した。3月中旬に実施したため、まだ業績としてまとまったものは出されていないが、フェミニスト活動家などを中心に合わせて11名にインタビューを行った。現在とりまとめをしているところである。 3.母体保護指定医師の医療情報ネットを用いた全国調査:研究協力者である武内今日子氏と三枝七都子氏、後半から研究班の石黒が加わって全国の医療情報ネットを検索し、中絶の情報の掲載状況を取りまとめた。その結果は国際ジェンダー学会誌に資料報告として掲載された。この他、中絶問題の研究および情報発信をしている任意団体の研究会でも報告した。日本医師会経由の都道府県の母体保護指定医師の調査は、3都道府県から変わっておらず、紹介を取り持ってくれた医師の都合もあり今後の遂行は難しいと思われる。 4.女性への調査:2022年度は女性への調査はリクルートの難しい状況が続いており、実施できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の産婦人科医への調査は、スノーボールサンプリングで行っているため、1人終わって、また一人、という状況が続いており、多くの産婦人科医を調査することができないが、紹介されて断られることもないため、当初の予定よりも人数は少ないものの多様な医師にインタビューができている。 海外調査については、予想外に航空運賃やホテル代が高騰しており、アイルランドの旅費は予算を大幅に超過した。秋の時点で分配金の残金の多い研究者から差し戻してもらい、テープ起こしの費用も含め何とか賄うことができた。大規模予算のありがたみを噛みしめた。オーストラリアは、2023年度の世界社会学会(ISA)がメルボルンで開催されるため、学会との抱き合わせで実施できることも想定して、次年度に回した。もともと2021年度に実施するはずだったドイツを繰り越して今年度に移動したので、合わせて海外調査2ヵ所という慌ただしさだったが、昨年度繰越分でドイツについては調査論文を公表し、アイルランドの調査の方も、3月に実施したためまだ成果は出せていないが、テープ起こしのチェックなどを予定通り進めることができた。 母体保護指定医師の医療情報ネットでの調査は、件数が非常に多いため、全国調査ができるとは思っていなかったが、研究協力者の2名が非常に優秀であったため、短期間で集計を終え、資料報告という形ではあるもののまとまった成果を出すことができた。このことは想像以上であり、両氏には大変感謝している。 女性への調査は当初より2022年度に積極的なリクルートを行う予定はなかったため、想定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度となるため、積み残した作業を研究成果を出すことが目標となる。 実施を予定しているのは、オーストラリアでの海外調査とNIPTの認定外施設だった医療機関へのインタビューである。オーストラリアは、担当研究者の斎藤が以前派遣研究者として滞在していたアデレードを中心にリクルートを行い、齋藤の研究テーマである男性の生殖も視野に入れたインタニューを行う予定である。 また、医師へのインタビューはこれまで行ってこなかったNIPTの認定外施設として検査を実施してきた医療機関にリクルートを始める。産婦人科医は少なく、メディアや産婦人科医の学会(日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会など)も多かっため、調査に応じてくれるかどうかは未知数だが、それができれば「NIPTのある時代の人工妊娠中絶のありよう」を模索する、という当研究班のミッションは達成でき、研究内容としても大幅に前進するので、知り合いのメディア関係者などとも連絡を取りながら、慎重にリクルートしていきたい。 また、成果の取りまとめとしては、アイルランドとオーストラリアでのインタビューの調査をもとにした調査論文の発表、そして本研究班全体の報告書を作成する。産婦人科医のインタビューをまとめたもの、それぞれのテーマに即した小論を掲載し、海外調査については行動記録を残す。海外調査のインタビュー内容については別冊として作成し、研究班の内部でのみ共有する予定である。 また、世界社会学会は、二階堂と菅野が入っている別グループの研究班と合同でRTDにエントリーし、採択された。二階堂、齋藤、佐野、菅野の4名で参加および発表する予定である。この他に、日本社会学会での自由報告へのエントリーを計画している。
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