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視線入力インタフェース技術を用いた乳児の原初的道徳性の解明

Research Project

Project/Area Number 20H04495
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

Allocation TypeSingle-year Grants
Section一般
Review Section Basic Section 90030:Cognitive science-related
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

鹿子木 康弘  大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (30742217)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 高橋 英之  大阪大学, 基礎工学研究科, 特任講師(常勤) (30535084)
松田 剛  関西大学, 社会学部, 准教授 (70422376)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2022)
Budget Amount *help
¥18,200,000 (Direct Cost: ¥14,000,000、Indirect Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2020: ¥11,830,000 (Direct Cost: ¥9,100,000、Indirect Cost: ¥2,730,000)
Keywords乳児 / 道徳 / 実験 / 視線 / 第三者罰 / 認知発達 / アイトラッキング
Outline of Research at the Start

本研究では,視線入力インタフェース技術を用いた独自の参加型認知実験パラダイムを構築し,今まで方法論的な限界により検証不可能であると考えられていた乳児の他者に対する道徳的ふるまいを明らかにすることを目的とする。本研究により,従来研究から漠然と示唆されていた乳児の道徳性の 実証が可能になるとともに,乳児の行動そのものを測るという乳児研究手法のコペルニクス 的転回が実現できると期待している。また,乳児の道徳的行動を直接観測することで,分断 が叫ばれる現代社会に横たわる様々な問題の背後に存在する道徳性や暴力性の発達的要因の解明がより進むことも期待される。

Outline of Annual Research Achievements

近年の発達科学の研究から,乳児であってもいじめを止める正義の味方を選好するなどの原初的道徳観を有していることが報告されている (Kanakogi et al., 2017, Nature human behavior)。しかし従来の受動的な観察にもとづく乳児の研究手法では,間接的にしか原初的道徳性の存在は示唆されていなかった。つまり,乳児が真に道徳的に振舞うのか,乳児自身の道徳的行動そのものに着目した研究は現状では皆無であった。
そこで本研究では,視線入力インタフェース技術を用いた独自の参加型認知実験パラダイムを構築し,今まで方法論的な限界により検証不可能であると考えられていた乳児の他者に対する道徳的ふるまいを明らかにすることを目的とした。
令和2年度,3年度を通して,実験・論文執筆を行い,視線入力インタフェース技術を用いた独自の参加型認知実験パラダイムを構築に成功し,その成果をハイインパクトジャーナルであるNature human behaviorに掲載するまでに至った(2022年4月終わりか,5月初旬ごろに発表予定)。これは,学術的には①乳児は道徳的判断だけでなく道徳的行動も行うことを実証したこと,②より一般的には今までは計測できなった乳児の“意思決定を伴う行動”を計測できたという2点において非常にインパクトが高い成果だといえる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度(令和3年度)は,道徳的行動に伴う乳児感情の推定を行う予定であったが,コロナ禍の状況下で身体接触を必要とする生理指標を嫌うような感情が実験参加者の養育者にあったため,最終年度に行う予定であった以下の乳児との接触を伴わない実験課題を優先した。
令和2年度の成果によって明らかにされた道徳行動は,「他者に罰を与える」という報復的正義の文脈であるが,正義には「他者を助ける」といった回復的正義もある (Riedl et al., 2015) 。そこで,本研究課題では,悪いエージェントに罰を与える行動ではなく,攻撃された犠牲者のエージェントを慰めるような道徳的ふるまいを示すかどうかの検証を行った。これは,上述した実験の随伴イベントを「罰を与えるイベント」から,「報酬を与えるといったポジティブなイベント」に変更することによって検証可能であると考えた。
しかし,昨年度に多くの実験を行ったが,「報酬を与えるといったポジティブなイベント」がうまく機能する証拠は得られなかった。これは,どのようなイベントが乳児にとってポジティブなのかが明白でないことに起因すると考えられる。そのため,考えられる限りの問題点を修正し,数種類のバリエーションで実験を行ったが,どれもうまく機能しなった。今後も試行錯誤を繰り返し,手探りで研究を探索的に進めていくしかない。

Strategy for Future Research Activity

本年度(令和4年度)は,エージェントにプレゼントをあげるというようなポジティブなイベントに見切りをつけ(昨年度,数種類のバリエーションを試したがどれも機能せず),エージェントの目標指向性を助けるような文脈(他者が目標を達成しようとしているが達成できないときに助けようとする)を採用し,その効果を問う予定である。すでに大まかなスクリプトはできているため,プログラムでそれらを実装し,今年度の予算が執行できる状態になり次第,乳児実験を開始する予定である。
またコロナの状況次第であるが,可能であれば(親御さんの心理的抵抗が少なくなれば),令和3年に遂行できなかった道徳的行動に伴う乳児感情の推定課題を行いたい。本研究課題では,令和2年度の成果によって明らかとなった視線による他者を罰するような行動が,どのような情動状態によっておこなわれているかを明らかにすることを目的とする。具体的には,乳児が攻撃者を罰する際に,快の情動(悪者を楽しんで罰する)が生起しているのか,不快の情動(悪者を怖がって罰する)が生起しているのかを,乳児に適用可能である心拍変動 (Waters et al., 2014) といった生理指標を用いて検証する。これにより,乳児の道徳行動の背後にある価値判断メカニズムを明らかにし,視線による道徳的な行動が乳児の道徳性を真に反映しているかどうか検証をする予定である。

Report

(2 results)
  • 2021 Annual Research Report
  • 2020 Annual Research Report

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Published: 2020-04-28   Modified: 2022-12-28  

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