Project/Area Number |
20H04496
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90110:Biomedical engineering-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横澤 宏一 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (20416978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207)
齊藤 卓弥 北海道大学, 大学病院, 特任教授 (20246961)
豊巻 敦人 北海道大学, 大学病院, 助教 (70515494)
柳生 一自 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (90597791)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | コミュニケーション / ハイパースキャニング / 脳磁計 / 脳間相関 / 言語 / 音楽 / 気分 / アバター / 情動 / 非言語 |
Outline of Research at the Start |
コミュニケーションとは複数人の認知→予測→運動が相互にフィードバックするプロセスである。高い時間分解能と空間分解能を併せ持つ脳磁計を2台用いてコミュニケーション中の脳活動を同時記録(ハイパースキャニング)し、2つの脳の機能領野間の相関・因果関係を解析する。さらに、情報端末を用いたコミュニケーションでは情動処理が欠落するという仮説に基づき、相関・因果関係に与える情動(快/不快)の影響を調べる。これにより、対人コミュニケーションの神経基盤(脳間相関)と、情報端末を用いた現代のコミュニケーションがもたらす対人コミュニケーション障害・困難のメカニズムを明らかにしようとする研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
コミュニケーションは特に人類において発達した社会的行動の基礎をなす。本研究の第1の目的は、その神経基盤を明らかにすることである。このため、ミリ秒レベルの時間分解能と数ミリメートル程度の空間分解能を併せ持つ脳磁計を2台、光ファイバーで連結したDual MEGを用い、コミュニケーション中の脳活動の同時記録(ハイパースキャニング)を実施してきた。音響・映像機器により2人の実験参加者は仮想的に対面でき、自然なコミュニケーションが可能である。 初年度(2020年度)は主に非言語コミュニケーションに着目した研究を実施し、たとえ会話等の明示的な相互作用がなくても、実対面している場合に特異な脳活動が右前頭脳領域に無意識下に生じることを見出した。2年目(2021年度)は、より明示的なコミュニケーションである相互発話と音楽的対話に伴う神経基盤の描出を実施した。相互発話では相手の発話内容が予測しやすい条件と、予測しにくい条件を比較し、相手の心的状態を予測する、いわゆるメンタライジングに関連する脳領野の活動を見出した。また、音楽的対話では、役割(リーダ/フォロワー)によって活動する脳領野が異なることを見出した。3年目となる2022年度は、相互発話課題について、直前に気分誘導文を読ませることで気分(Mood)を変調させることを試みた。また、音楽的対話課題について脳間相関の解析に着手した。さらにアバターがコミュニケーションに与える影響についての研究も実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの蔓延で一般化したオンラインコミュニケーションではアバターを使うことも多い。アバターは表情を読み取って動作するが、表情の誇張や改変も可能であり、コミュニケーションと情動との関係を考える上で欠くことのできない課題である。そこで、アバターがコミュニケーションに与える影響についての研究を実施した。その結果、人の顔に対して応答するとされていた脳部位が、動物型アバターに対してより強く応答することを見出した。これは当初予期していなかった成果である。2022年度には当初からの計画に沿って視線解析装置を導入したため、これも活用してその理由を探っている。 気分(Mood)変調させた直後に相互発話課題を実施した課題では、意外にもPositiveな気分のほうがメンタライジング関連脳領野の活動が低下することを見出した。音楽的対話課題についての脳間相関の解析は、相関係数が予想外に低く、これをどう解釈するか検討中である。2022年度は別予算により、HEC Montrealの共同研究者を招へいし、主にこの課題について意見交換を行った。2023年度には再び学会で本テーマに関わるシンポジウムを開催することが決定しており、招待講演の依頼もある。 以上の状況から当初の計画以上に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2023年度は、本研究の第2の目的であるコミュニケーションに与える情動(快/不快)の影響についての検討を本格化する。情報端末を介したコミュニケーションでは、リアルタイム性のみならず情動情報が多く欠落している。コミュニケーションと情動との関係についての知見は、情報端末を介したコミュニケーションが人に与える影響を検証するための基盤となる。このため、気分(Mood)を統制した言語コミュニケーション課題を継続し、報告できる形にまとめる。アバター研究については視線追跡装置を用いた計測を本格化させる。脳間相関の解析は、音楽的対話課題で得られる相関係数が予想外に低く、これをどう解釈するかが課題となっている。そこで、相互発話課題についても並行して脳間相関を解析し、比較検討して進める。脳間相関の研究例は非常に限られており、従来の脳内の相関係数に比べて低いのが当然である可能性もあるためである。相関のみならず因果解析も実施する。実験は引き続き北海道大学のメンバーが実施する。これまで得られた成果は速やかに論文化する。
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