Project/Area Number |
20H05621
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Research Category |
Grant-in-Aid for Specially Promoted Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿波賀 邦夫 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (10202772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 一之 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70261542)
内橋 隆 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, グループリーダー (90354331)
土射津 昌久 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (70362225)
桝 飛雄真 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80412394)
白旗 崇 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (40360565)
山口 明 兵庫県立大学, 理学研究科, 准教授 (10302639)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥554,450,000 (Direct Cost: ¥426,500,000、Indirect Cost: ¥127,950,000)
Fiscal Year 2024: ¥85,800,000 (Direct Cost: ¥66,000,000、Indirect Cost: ¥19,800,000)
Fiscal Year 2023: ¥86,450,000 (Direct Cost: ¥66,500,000、Indirect Cost: ¥19,950,000)
Fiscal Year 2022: ¥104,000,000 (Direct Cost: ¥80,000,000、Indirect Cost: ¥24,000,000)
Fiscal Year 2021: ¥94,250,000 (Direct Cost: ¥72,500,000、Indirect Cost: ¥21,750,000)
Fiscal Year 2020: ¥183,950,000 (Direct Cost: ¥141,500,000、Indirect Cost: ¥42,450,000)
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Keywords | 強等方性構造 / 幾何学的トポロジー / バンドフィリング制御 / 蓄電デバイス / 固体電気化学 / 強等方性 / 立体π共役分子 / 光電子分光 / バンド分散 / ラジカル分子 / 分子結晶 / 電子物性 / 金属有機構造体 / 強等方性物質 / 分子性物質 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、数学的に『強等方性格子』として特徴付けられているHoneycomb、DiamondおよびK4格子を、分子結晶や金属有機構造体 (MOF)、共有結合性有機構造体 (COF)などにおいて『自在合成』し、電気化学的Band Filling 制御などを通じて、そのトポロジーに起因する『電子機能』を探求する。さらに、強等方性格子が共通にもつ巨大比表面積や巨大内部空間を活かし、電子とイオン輸送の協奏する『電気化学機能』を実現する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、分子性強等方性構造をもつ物質探索とともに、その電子機能および電気化学機能開拓を重点的に行った。 実施項目1「分子性強等方性物質の自在合成」においては、昨年後に引き続き、強等方性格子をもつ分子性結晶、MOF/COFおよび二次元単層膜の作製を行った。その中でも、低温で反強磁性転移を示す、キラルなGyroid構造をもつMOFの磁気構造は、ノンコリニアかつノンコプラナーな反強磁性体であることを、単結晶中性子回折によって明らかにした。また、磁場下における磁気測定および比熱測定から、中心金属の磁気異方性に由来するフラストレーションが存在することを見いだした。C3対称性をもつトリプチセン分子を配位子とした2DハニカムMOFについては、中心金属であるCo周りが理想的な三角柱形配位構造が実現しており,弱い一軸的な磁気異方性が確認された。この構築手法は,トリプチセン骨格を有する架橋配位子に広く応用できると考えられ,磁気異方軸のそろった三角柱形の金属錯体結晶の作製を可能とすることが期待される。一方、二次元分子単層膜については、Pb(111)基板上にトリプチセン分子の単層膜を成長させることで、キラルハニカム構造を大きなドメインとして得ることに成功した。 この結果を踏まえ、電子バンド構造の観測のために、実施項目2「分子性強等方性物質の電子機能」において、スピンおよび角度分解光電子分光システムの改造および立ち上げを行い、比較のために不活性な基板上のトリプチセン分子の分子構造を測定した。また実験と平行して、Gyroid MOFの磁気構造についての理論的な研究も行った。 実施項目3「分子性強等方性物質の電気化学機能」においては、ハニカム構造をもつCOFの空孔内で導電性ポリマーを作製し、ある一定の濃度を超えると伝導度が大きく向上することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況を以下に記す。 実施項目1「分子性強等方性物質の自在合成」においては、昨年後に引き続き、物質探索を行ったが、キラルな3次元周期構造であるGyroid MOFが、近年、物性物理で注目されているキラル、ノンコリニアかつノンコプラナー反強磁性体のであることを見いだし、金属の磁気異方性に由来するフラストレーションが存在することを提案したことは、当初の予定を大きく上回る成果である。またさらに、トリプチセン分子を用いた二次元単層膜の研究については、Ag(111)上でキラルなハニカム構造の形成をSTM実験によって明らかにしているが、ストライプ構造や1次元鎖など他の構造が共存していたことが問題であった. 再度、基板選定や蒸着条件の最適化を行い、ようやくPb(111)基板上でハニカム構造が大きなドメインとして観察される条件を得た。今後は、実施項目2「分子性強等方性物質の電子機能」および実施項目3「分子性強等方性物質の電気化学機能」における電子バンド構造の観察とバンドフィリング制御へと飛躍的に進むと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目別に記載する。 研究項目1. 分子性強等方性物質の自在合成: 今年度も分子性強等方性物質の自在合成を行い、構造トポロジーに起因した特異な電子物性の探索を総括する。前年度にGyroid構造をもつMOFがキラルノンコリニアノンコプラナー反強磁性体であることおよび金属中心の磁気異方性に由来したフラストレーションが存在することを明らかにしている。次年度は、磁場下における磁気構造の変化や、中心金属を変えることによる磁気異方性、磁気的相互作用と格子の対称性が磁気構造に与える影響を調べる。 研究項目2. 分子性強等方性物質の電子機能: 分子性強等方性物質がもつDirac ConeやFlat Bandなどの特異なバンド分散を実験的に直接観測するためのスピン角度分解光電子分光(SARPES)測定システムにて、電子バンド構造および3次元スピン情報を調べる。具体的には、鉛基板上のトリプチセン誘導体がハニカム格子を形成していることを走査トンネル顕微鏡による予備的な実験において明らかにしていることから、その電子バンド構造を測定し、電子構造及びスピン情報についての知見を得る。 研究項目3. 分子性強等方性物質の電気化学機能: 項目1で得られた分子性強等方性物質は、周期的巨大ナノ空孔をもつことから、イオン吸着によって巨大な蓄電容量とスムーズなイオン輸送に寄与することが期待される。分子性ハニカム構造にアルカリ金属や小分子などをドーピングし、バンドフィリング制御に挑戦する。また電気化学的な手法によって、スーパーキャパシタや2次電池の電極材料としての機能を評価する。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, the expected progress has been made in research.
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