Project/Area Number |
20H05625
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Specially Promoted Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
三部 勉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (80536938)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 瑞樹 九州大学, 先端素粒子物理研究センター, 准教授 (20401317)
近藤 恭弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 主任研究員 (40354740)
早坂 圭司 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40377966)
飯沼 裕美 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (60446515)
佐々木 憲一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 教授 (70322831)
飯嶋 徹 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 教授 (80270396)
大谷 将士 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (90636416)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥636,220,000 (Direct Cost: ¥489,400,000、Indirect Cost: ¥146,820,000)
Fiscal Year 2024: ¥70,460,000 (Direct Cost: ¥54,200,000、Indirect Cost: ¥16,260,000)
Fiscal Year 2023: ¥91,780,000 (Direct Cost: ¥70,600,000、Indirect Cost: ¥21,180,000)
Fiscal Year 2022: ¥143,130,000 (Direct Cost: ¥110,100,000、Indirect Cost: ¥33,030,000)
Fiscal Year 2021: ¥237,250,000 (Direct Cost: ¥182,500,000、Indirect Cost: ¥54,750,000)
Fiscal Year 2020: ¥79,950,000 (Direct Cost: ¥61,500,000、Indirect Cost: ¥18,450,000)
|
Keywords | ミュオン / 異常磁気能率 / 電気双極子能率 / 超精密測定 / 長精密測定 |
Outline of Research at the Start |
多くの実験事実と、数学的な整合性を基盤に築き上げられた素粒子標準理論は、様々な素粒子現象を定量的に説明する極めて堅牢な理論である。しかしながら、近年の研究により必然的に素粒子標準理論を超える新しい物理法則(新物理)の存在が要請される。ミュオン異常磁気能率(g-2)は素粒子標準理論よりも大きな値を持つことが示唆されており、新しい測定が求められている。本研究ではJ-PARCの大強度陽子ビームの特徴を最大限に生かし、新しい実験技術と組み合わせることにより、従来とは異なる研究手法によりミュオンg-2および電気双極子能率(EDM)の超精密測定を行い、素粒子標準理論と比較することで新物理の存在に迫る。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ミュオンを冷却・加速することにより世界初の低エミッタンスビームを実現し、3次元らせん入射・コンパクトな蓄積磁石・高安定度飛跡検出器を用いて従来と全く違う手法を用いて、g-2とEDMの超精密測定を行う。これによりg-2に新物理の効果が見えているのかに決着をつけるとともに、EDMを世界最高精度で探索することが目的である。本研究は現在建設中のJ-PARCの物質生命科学実験施設(MLF)のミュオンビームライン(Hライン)にて行う。陽子加速器から取り出された3 GeVの陽子ビームがミュオン生成標的に照射されると、標的中でパイオンが生成・静止し、その2体崩壊によって100%偏極した運動エネルギー4 MeV (運動量約30 MeV/c)の正電荷を持つミュオン(表面ミュオン)が生成される。これを捕獲ソレノイドとビームラインによって輸送し、ミュオニウム生成標的で静止させる。ここでミュオンは熱エネルギー程度まで減速され、電子を捕獲しミュオニウムとなり、標的外へ放出される。共鳴イオン化レーザー(122 nm/355 nm)を用いてミュオニウムから電子を解離すると、熱エネルギー(25 meV)程度の超低速のミュオンができる。これを直線加速器で運動エネルギー212 MeVまで3段階に分けて加速することで非常に指向性の良い(pT/p~10-5)「低エミッタンスミュオンビーム」が得られる。ビームエミッタンスは通常のミュオンビームに比べて1/1000程度小さい。このビームを3 Tの超伝導蓄積磁石へ入射する。均一度が極めて高い蓄積磁場でミュオンビームを蓄積し、崩壊で生成した陽電子をシリコン飛跡検出器で測定することにより、ミュオンのスピン歳差運動を測定し、g-2とEDMを精密測定する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミュオンビームの冷却する実験装置の設計・製造を行い、2023年2月からビーム冷却の実証試験を開始することができた。関連するミュオン冷却に関する論文を出版した。ミュオンを4 MeVまで加速するための高周波加速空洞(IH-DTL)を製作し、その特性の評価を完了した。ミュオンを10 MeVまで加速する空洞(DAW-CCL)の設計と要素試作と評価を行い、製作方法を確立した。加速後のミュオンを蓄積磁石へ入射するためのビームラインの設計を完了し、電磁石の製作・評価を行なった。加速ミュオンの診断装置を開発した。実験で要求される仕様を満たすミュオン蓄積磁石の設計を完了した。また、磁場の調整のための磁場測定プローブの開発と磁場調整手法の実証を行い、要求される一様性が得られることを示した。陽電子飛跡検出器に用いる専用のASICの開発を完了し、量産を行なった。試験モジュールを製作し陽電子を用いて評価を行い、要求される性能が満たされることを確かめた。ASICを全数検査し、品質保証するシステムの構築を行なった。検出器の組み立てラボを立ち上げ、プロトタイプの製作を行ない、組み立て方法を確立した。世界初の冷却ミュオンの高周波加速の実証を開始する準備が整った。また、磁場測定装置と陽電子飛跡検出器は要素部品の開発と評価を終え、プロトタイプ製作の段階へ進む準備を整えた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、ミュオン冷却、ミュオン加速、3次元らせん入射技術による「高輝度ビーム」を完成させるとともに、超高感度磁場測定装置と極めて安定に動作する陽電子秘跡検出器の製作やデータ収集・解析システムの構築を行い「超高精度測定器」の開発を完了し、新しい手法による実験を完成させる。本研究で取り組む技術開発目標のうち、低エミッタンスビームの実現、超精密磁場測定手法の開発、飛跡検出器と飛跡再構成の開発、については別途整備が進んでいる基盤設備の全体を必要としないため、当初の計画通りの成果が得られる予定である。
|
Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
B: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, progress in research has been delayed. Further efforts are required in future.
|