Project/Area Number |
20H05645
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section B
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
立松 健一 国立天文台, 野辺山宇宙電波観測所, 教授 (40202171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 南美 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (70533553)
酒井 剛 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20469604)
小川 英夫 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 客員教授 (20022717)
徳田 一起 九州大学, 理学研究院, 特任助教 (60802139)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥205,400,000 (Direct Cost: ¥158,000,000、Indirect Cost: ¥47,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,440,000 (Direct Cost: ¥8,800,000、Indirect Cost: ¥2,640,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,440,000 (Direct Cost: ¥8,800,000、Indirect Cost: ¥2,640,000)
Fiscal Year 2022: ¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2021: ¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2020: ¥148,200,000 (Direct Cost: ¥114,000,000、Indirect Cost: ¥34,200,000)
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Keywords | 星形成 / 分子雲コア / 始動条件 / 重水素 |
Outline of Research at the Start |
星形成がどのように始動するかは、わかっていない。安定な星なしコアが、不安定になって星形成を開始するメカニズムとしては、乱流の散逸、磁場の散逸、質量の降着、コアの振動によるエネルギー散逸、などの可能性が指摘されているが、どれが正しいかは、まだ不明である。星形成に至るコアのサンプルを集め、その進化を追うことが喫緊の課題である。角運動量は、連星系誕生の頻度、惑星の誕生の仕方を決める重要な物理パラメーターである。周知のように恒星の半分以上は連星であり、また、惑星系の誕生の仕方は生命居住可能(ハビタブル)惑星との関連で重要である。分子雲コアの年代測定を基に、比角運動量の進化(減少の様子)を研究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究で製作した野辺山45m電波望遠鏡用の新7ビーム3帯域両偏波受信機は、順調に開発が進み、8月2日に無事、野辺山45m電波望遠鏡に搭載した。9月3日には、天体からの信号の初受信に成功した(ファースト・ライト)。その後、受信機の調整ならびに試験観測を進め、天球上でのビーム位置の精密測定、ビーム幅の測定、主ビーム能率の測定、月能率の測定、ビームパターンの測定、など行い、受信機の基本的な性能出しが終了した。 11月からは科学観測を開始し、オリオン座分子雲での重水素を含む分子の観測、おうし座分子雲での重水素を含む分子の観測、天の川銀河系の銀河面の広域観測などを行った。オリオンA分子雲∫フィラメントでは、DCO+はOMC-3に局在、DNCは細長いフィラメント状でOri KL近くまで続くことが明らかになった。オリオン座KL付近では温度が高く、重水素比(D/H比)が低くなっているらしい。本観測は、「重水素を含む分子」のマッピング観測としては過去最大規模(5分角×30分角)であり、新受信機の国際的な競争力を確認できた。オリオン座の星なし分子雲コア個別観測では、DCO+とH13CO+の輝線強度分布の比較を行った。両者の分布は、大きくは違わないが、星形成により近い分子雲コアでは、星なしコアの進化に伴う「重水素を含む分子」の分布の変化をとらえた。 野辺山45m電波望遠鏡に搭載された旧受信機FORESTを用いで、星形成の始動条件を探るために最適な分子雲コアの候補を、質量降着運動の検出によって調査した。アルマ望遠鏡、上海65m電波望遠鏡などを用いて、オリオン座分子雲に対して観測的研究を進めた。 新受信機による試験観測並びに科学観測の結果は、3月に行われた日本天文学会にて4件の発表として報告された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、新7ビーム3帯域両偏波受信機(愛称は7BEE)を完成させ、2022年8月2日に野辺山宇宙電波観測所45m電波望遠鏡に搭載し、2022年9月3日に天体からの電波の初受信に成功し(ファースト・ライト)、試験観測をもとに、期待している性能が出せていることを確認できた。天球上のビームの相対位置、ビーム幅、主ビーム能率、月能率、ビームパターン、などの受信機性能は、当初想定していた、満足できるレベルにあることが確認できた。 また、予定通り、新7ビーム3帯域両偏波受信機を用いて初期的な科学観測を開始した。観測対象は、オリオン座およびおうし座の領域である。初期成果として、オリオン座の観測においては、星なしコアの進化に伴う「重水素を含む分子」の分布の変化の兆候という大変興味深い結果が得られ始めている。今後の詳細観測により、星形成の始動条件の解明を十分に目指せると期待している。 試験観測の結果、および初期科学観測の結果を合計4件、2023年3月開催の日本天文学会春季年会にて発表した。 また、新7ビーム3帯域両偏波受信機の光学系に関する査読論文が受理され、電子出版された(巻号はまだ確定していない)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、観測するライン数をふやし、また、重水素比を算出するために必要なS/N比にするために観測時間を増やして、研究の精度を高めていきたい。重水素比を得るために観測輝線としては、DNCとHN13Cのペア、DCO+とH13CO+のペア、N2D+とN2H+のペアを考えている。DNCとHN13Cのペアは強度的にも有利であり、低温の分子雲コアの良いトレーサーであるので、第一優先で進めたい。N2D+とN2H+のペアは、星間塵への吸着などによるdepletion の影響を最も受けにくいペアであるので、ベストのトレーサーであるが、強度的には観測が難しいことが予想されるので、全体的を俯瞰した最終的研究完成度のトレードオフを検討しながら、どのペアの観測を行うかの観測時間の配分の最適化を図りたい。また、天の川銀河面の観測では、低密度分子ガスの分布も捉えるために12CO,13CO,C18O輝線の観測も併せて行う。 星形成の様子が異なる、オリオン座、おうし座、ペルセウス座、赤外線暗黒星雲を含む天の川銀河面、の比較研究を行い、星形成の多様性の謎を追求する。オリオン座においては、オリオン座A分子雲の中心部にある∫フィラメント領域と、これまでの予備観測から興味深い観測対象としてリストアップした個別の星なし分子雲コア18個を重点対象として、観測を進める予定である。 これらの観測的研究を通じて、星なし分子雲コアが物理的・化学的にどのように進化して星形成に至るかをつまびらかにし、星形成の始動メカニズムは何であるのかという、究極の謎の解明を図りたいと考えている。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A-: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, the expected progress in research has been made on the whole though a part of it has been delayed.
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