Project/Area Number |
20H05648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section B
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西村 俊二 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 先任研究員 (90272137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 博恒 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, チームリーダー (50321534)
LIANG HAOZHAO 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50729225)
西村 信哉 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (70587625)
福田 直樹 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 技師 (80360634)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥190,320,000 (Direct Cost: ¥146,400,000、Indirect Cost: ¥43,920,000)
Fiscal Year 2024: ¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥22,360,000 (Direct Cost: ¥17,200,000、Indirect Cost: ¥5,160,000)
Fiscal Year 2022: ¥43,030,000 (Direct Cost: ¥33,100,000、Indirect Cost: ¥9,930,000)
Fiscal Year 2021: ¥71,760,000 (Direct Cost: ¥55,200,000、Indirect Cost: ¥16,560,000)
Fiscal Year 2020: ¥34,320,000 (Direct Cost: ¥26,400,000、Indirect Cost: ¥7,920,000)
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Keywords | 重元素合成 / β崩壊 / 質量 / 機械学習 / 原子核データ / 連星中性子星合体 / r過程 / 中性子星 / 超新星爆発 / 中性子過剰核 / 連星中性子星衝突 / 原子核理論 / 崩壊測定 / 質量測定 / 原子核理論計算 / rプロセス |
Outline of Research at the Start |
中性子星衝突(GW170817)直後の電磁波放射現象・キロノバ観測からランタノイド元素合成の証拠が捉えられた。爆発的元素合成・r-プロセスで生成されるランタノイドは、質量数165近傍に特徴的なピーク構造をもつが、その形成メカニズムは謎に包まれている。本研究は、①鍵を握る中性子過剰核の崩壊と質量測定、②深層学習法を導入した原子核理論計算、③最新のr-プロセス元素合成計算を連携させ、ランタノイド元素起源とされる「変形起因説」の検証を目指す。仮に変形起因説に否定的な結果が得られた際には、第2の仮説「アクチノイド非対称的核分裂」の間接的な証拠となり、金・白金を含めた総合的な重元素合成へと発展させる。
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Outline of Annual Research Achievements |
①崩壊測定:本研究計画で開発した粒子識別用検出器と崩壊測定装置を導入することにより希土類領域に加え、もう一つの目標であった中性子魔法数N=126領域の崩壊測定を成功に導いた。これにより、国際共同研究BRIKENプロジェクトを予定通り完了させることができ、約200種もの中性子過剰核の半減期、遅発中性子放出に関する崩壊データの収集に成功した。励起状態からのγ崩壊の解析により新核異性体に関する論文を出した。かつてない高統計・高精度測定を実現できた。昨年度は中性子魔法数N=82領域に加え、希土類領域の遅発中性子放出と半減期の報告を行った。N>82領域においては、遅発中性子放出がr過程の元素組成パターンに大きな影響を及ぼすことに着目した研究成果を報告し、プレス発表を行った※1。② 質量測定:RIBF実験で別の研究グループが捨てていた不安定核ビームを再利用するためにRI捕獲用ガスセルに打ち込み、高性能質量分析装置に輸送することにより質量測定プロジェクトZD-MRTOFの調整を行った。不安定核ビームを利用したシステム調整であったが、ZD-MRTOF装置を利用した物理成果を報告し、プレス発表を行った※2。さらに、関連した技術論文を報告できた。③ 原子核理論:新たに得られた質量情報を原子核理論に取り込む試みを開始した。ZD-MRTOF実験で得られた新質量データ、原子核理論、機械学習の共同研究を始めることができた。④ 重元素合成計算:最新の崩壊データに関するデータベースの構築を行った。r過程に関する研究会を開催した。 ※1 :「加速器実験によるr過程の同位体比の再現に成功」-宇宙初期と太陽系のバリウムは中性子星合体が起源か?- ※2 : 「チタン・バナジウム中性子過剰同位体で新魔法数の消失を観測」- 精密質量測定による原子核構造のより深い理解に期待 -
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① 崩壊測定:半減期、遅発中性子放出確立のデータ収集を完了し、順調に解析が進んでいる。中性子魔法数N=82領域に続き、質量数 90-125領域の90種もの中性子過剰核の遅発中性子放出確立、半減期の解析が終了したところである。この領域は、原子核の変形が大きく関わっており、r過程で合成されるストロンチウムからカドミウムの元素合成への影響に着目した研究を開始している。さらに重い金や白金などの元素合成に関わる中性子魔法数N=126領域の中性子過剰核の崩壊データの解析も順調に進んでおり、約10種の新半減期、約20種の新遅発中性子放出確立、新核異性体に関する研究成果が期待できる。② 質量測定:本研究の目標の一つである中性子魔法数N>82領域と希土類領域の質量測定実験ZD-MRTOFを提案し、無事に承認された。安定したRI捕獲用ガスセルの運用、質量測定装置MRTOFの分解能が鍵を握る。現在、ZD-MRTOF装置の調整が順調に進んでいる。RIBF加速器の故障により、実験ができない状況にあるが、2023年度秋に向けて準備を行っている。本研究計画で提案していた質量測定と崩壊測定を両立させた高レート崩壊測定プロジェクトを本格的に立ち上げた。ZD-MRTOF装置・ガスセル内部に1.5mm角のピクセル化したプラスチックシンチレータを配置し、位置検出型光電子増倍管を組み合わせた高速β線検出器GARiを製作した。さらに、遅発中性子の分光研究を行うために高時間分解能飛行時間型中性子検出器TOFUを製作・導入した。質量とβγn核分光の同時測定を可能とするシステム構築も順調に進んでいる。③ 原子核理論:最新の質量データを原子核理論と機械学習の組み合わせたデモンストレーションを行い、希土類元素の起源に関する成果を報告した。④ 重元素合成計算:中性子星衝突で観測されたキロノヴァとの関連性を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
① 崩壊測定:BRIKENプロジェクトにより大量に得られた実験データを取り込んだ重元素合成の計算を行い、変形原子核が果たす役割に関して議論を行う。得られた研究成果を論文としてまとめ、国際会議で報告する。② 質量測定: 2023年秋にZD-MRTOF&崩壊測定の本実験を実施する。本研究計画で導入した高速フラッシュADCをZD-MRTOF装置に導入することにより、質量測定中の時間ドリフト現象を補正する高速データ収集システムを開発・導入する。さらに、MRTOFから引き出した不安定核の崩壊を測定し、質量測定との時間相関により、質量測定で問題となるバックグラウンド(安定な原子核・分子)と不安定核との識別を可能とするモニターシステムを構築する。質量測定装置ZD-MRTOF直後に高レート不安定核ビームに対応した崩壊測定装置(β線検出器GARi、飛行時間型中性子検出器TOFU、γ線検出器:LBC,LaBr3(Ce),Ge検出器)を配置する。以上、ビームラインの粒子識別測定、質量測定、崩壊測定を一括収集することにより、効率的な測定方法を実現させ、本実験に望む。得られた質量データ、崩壊データの相互の系統性を調べることにより、原子核理論へのフィードバック、中性子過剰な原子核の核構造に関する研究を行う。③ 原子核理論:得られた質量データ、β崩壊データを取り込んだ包括的な原子核データベースの構築を始める。④ 重元素合成計算:RIBF実験で得られた結果、原子核理論班が構築しつつある原子核データベースをもとに、元素合成の計算を行う。 以上、崩壊測定、質量測定、原子核理論、r過程計算の連携をとることにより、r過程で形成される第2ピーク成分(質量数A~130)、希土類元素成分、第3ピーク成分(質量数A~195)の再現を行い、r過程の起源の謎に迫る。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, the expected progress has been made in research.
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