Project/Area Number |
20J00697
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
村上 悠 近畿大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ゲノム編集 / メダカ / マダイ / 呈味向上 / 水産育種 / ノックアウト / CRISPR/Cas system / イノシン酸 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は旨味成分イノシン酸を多量に含む「呈味向上魚」を作出することである。具体的には、ゲノム編集技術によってイノシン酸分解酵素の分解活性を抑制することで目的の達成を目指す。主な実験材料には養殖魚のモデルとしてメダカを使用し、実験魚としての長所(近交系の樹立・短い世代期間・周年繁殖など)を活かしながら基礎的知見を効率的に集積する。
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Outline of Annual Research Achievements |
健康志向の高まりや人口の増加により水産物の需要は世界的に増大している。一方、かつて水産立国と評された我が国の水産養殖業は衰退の一途を辿っている。そうした状況の中、ゲノム編集技術CRISPR/Cas systemは、これまでマダイ等の養殖魚において育種期間の劇的な短縮を実証してきた。水産物の品種改良は農作物や畜産物と比べて圧倒的に立ち遅れているため、未だに遺伝的改良の余地が大きく残されている。しかし現時点では同技術によって魚類育種を促進できる遺伝子は少数に限られているため、新たな候補遺伝子の同定、さらには当該遺伝子の改変による有用形質の模索が切望されている。 本研究ではCRISPR/Cas systemを魚類へ適用し、旨味成分として広く知られるイノシン酸(IMP)の増量を試みている。具体的にはイノシン酸分解酵素をノックアウト(KO)することによって通常魚よりもIMPを多く含む「呈味向上魚」の作出を目指している。メダカは多産・周年繁殖・近交系の樹立などを含め、モデル魚として優れた特性を有しており、遺伝学的な解析を迅速に実施できる利点がある。そこで本研究ではメダカを用いてIMP分解に関わる基礎的知見を効率的に集積し、最終的にマダイなどの養殖魚へ応用することを構想している。すなわち本計画を完遂すれば、呈味を向上した水産物の生産が可能となり、国内水産業の活性化に貢献できると考えている。本年度はI)イノシン酸分解酵素の特定(メダカ)、およびII)候補遺伝子のKO系統の樹立(メダカおよびマダイ)に注力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
I)については、比較ゲノム解析によって選定した計10種の候補遺伝子のクローニングを完了した。さらに単離した各遺伝子をメダカ胚体内で過剰発現させた結果、IMP分解を促進する遺伝子の特定に成功した。 II)については、メダカにおいて候補遺伝子をKOした系統を樹立した。本実験ではI)においてIMP分解活性を示した遺伝子から優先的にKOを実施した。さらにマダイにおいても標的遺伝子座において高頻度に変異を有する親魚(G0)を作出済みである。また、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたATP関連化合物の定量系を構築し、KOメダカは屠殺数日後の時点で野生型よりもIMPを有意に多く蓄積していることを証明した。さらにKOマダイについても同様の実験を行ったところ、モザイク状に変異を有する変異導入世代であるのにも関わらず、KO個体のIMP含量は増加傾向を示した。 I)はクローニングが当初よりも遅れたが、II)は順調に進行したことを加味し、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
Ⅰ)については、発現解析が実施できていない候補遺伝子があるため、引き続きメダカ胚を用いた既存の実験系を駆使して各遺伝子のIMP分解との関連を明らかにしていく。 Ⅱ)についても、メダカにおいてKO系統を樹立できていない候補遺伝子があるため、Ⅰ)の結果を参考にしながら引き続きKO個体の作出に取り組む。マダイについては全身で均一な変異を有する次世代(F1)の作出を急ぎ、当該魚においてIMPの増量化の成否を判定する。仮説通りに進行すれば、変異体のIMP含量は野生型よりも多くなることが見込まれる。
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