Project/Area Number |
20J01560
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38060:Applied molecular and cellular biology-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
江面 健太郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | トマト / 転写因子 / 色素体 / 果実 / BLH / シグナル伝達 / 遺伝子発現 |
Outline of Research at the Start |
葉緑体に代表される色素体は植物に特有の細胞小器官であり、光合成や植物ホルモンの代謝など植物の生育において重要な役割を担う。花や果実などの一部の器官においてカロテノイド類を蓄積する特殊な色素体(有色体)が分化する植物は少なくない。一方、器官ごとで異なる色素体の分化を可能にする詳細な分子制御機構は明らかとなっていない。本研究では、果実での有色体分化に異常が生じる”葉化果実”トマト系統を中心的な材料として”葉化果実”の形成メカニズムを研究することで、植物の器官ごとに多様な色素体が分化する仕組みを理解することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでに“葉化果実”トマト系統の果実緑化形質には、SlBLH7遺伝子の発現抑制による色素体数の増加とクロロフィル含量の増加が関与していることを明らかにしてきた。本年度は、SlBLH7とそのパラログで機能冗長が示唆される2遺伝子の多重変異体を作出した。また、SlBLH7と相互作用すること見出しているBIF1との二重変異体も作出した。今後、これらを詳細に解析することで、SlBLH7を中心とした色素体発達制御における役割と関係を明らかにできると考える。SlBLH7とそのパラログに関連した内容で学会発表をした。
“葉化果実”トマト系統とBIF1ノックアウト系統の若齢果実のトランスクリプトームデータの比較解析、共通の発現変動遺伝子の転写調節領域の配列解析などから、SlBLH7およびBIF1が共通で直接制御する標的候補遺伝子を選抜した。プロトプラストを用いたトランジェントアッセイにより、葉緑体発達を促進することが報告されている転写因子や植物ホルモンの代謝に関わる酵素遺伝子などがSlBLH7とBIF1によって直接的に発現制御される可能性が示唆された。以上の結果は、SlBLH7とBIF1が複合体として共通の下流遺伝子の発現制御をすることで果実の”葉化”を抑制する制御機構が存在する可能性を支持するものである。
トマトのBLH(BELL)遺伝子(SlBLH1-SlBLH14)とKNOX遺伝子(SlKN1-SlKN8)の網羅的な相互作用解析や発現解析から、果実を含む複数の組織でのBLH-KNOX間相互作用ネットワークを明らかにした。AlphaFold-multimerを用いたBLH-KNOX複合体の構造予測と相互作用実験から、BLH-KNOX複合体形成と親和性の決定へ関与することが示唆されるアミノ酸残基とリンカー領域を新たに同定した。以上の結果は論文として国際誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、“葉化果実”トマト系統の果実緑化形質への関与が示唆されたSlBLH7が直接的にする制御する標的遺伝子の同定とSlBLH7による下流遺伝子の制御機構の解明を中心に取り組んだ。前者に関しては、“葉化果実”トマト系統やSlBLH7の相互作用因子BIF1のノックアウト系統のトランスクリプトームデータの比較解析やプロトプラストを用いたトランジェントアッセイなどでいくつかの標的遺伝子を同定することができた。後者に関しては、プロトプラストを用いたツーハイブリッドアッセイ(P2H)系を構築し、SlBLH7がパラログと比べて強くBIF1と相互作用することを明らかにすることができた。さらに当初の計画にはなかったが、P2H系を用いてBLH遺伝子群と共同で機能することが知られるKNOX遺伝子群との網羅的な相互作用解析を実施し、SlBLH7と共同で働くことが示唆される複数のKNOX遺伝子を新たに同定できたことに加えて、トマトのBLH-KNOX相互作用ネットワークを新たに明らかにすることができた。 以上を踏まえて、本研究は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに同定したSlBLH7の標的遺伝子のコーディング領域を狙ってマルチプレックスゲノム編集を行い、それらの標的遺伝子が実際に果実での色素体発達へ関与しているかを検証する。また、標的遺伝子の転写調節領域内にあるSlBLH7結合配列近傍をゲノム編集により改変することで、当該SlBLH7結合配列が標的遺伝子の発現制御に関与しているかを検証する。なお、マルチプレックスゲノム編集や転写調節領域の改変が可能であることは今年度中に検討済みである。 これまでにSlBLH7とそのパラログの機能冗長の可能性が示唆されているため、今年度に作出した多重変異体の果実形質の解析を行い、色素体発達制御における機能冗長性の有無を検証する。また、SlBLH7とBIF1の2重変異体も同様に解析し、色素体発達制御におけるSlBLH7-BIF1転写複合体の役割をさらに明らかにする。
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