アピカル膜へのスフィンゴミエリンの輸送を制御する分子機構の解明
Project/Area Number |
20J10229
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 44010:Cell biology-related
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 由美子 九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2021)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2020: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | スフィンゴミエリン / 上皮細胞 / Lysenin / 細胞内輸送 / アピカル膜 / 形質膜 / 浸透圧ストレス / mTORC2 |
Outline of Research at the Start |
生体膜を構成する脂質分子の中で、スフィンゴミエリンは極めてユニークな脂質分子である。先行研究により、スフィンゴミエリンは微絨毛などの上皮細胞膜構造に豊富に存在することが報告されている。このようにスフィンゴミエリンは形質膜の構造形成に必要なリン脂質である一方、リポソーム等の人工膜を用いた研究では、スフィンゴミエリン量が増加すると、相分離がおこり、巨大な膜ドメインが形成される。このため、形質膜に存在するスフィンゴミエリン量は厳密に制御されなければならない。本研究は、どのようにしてスフィンゴミエリンはアピカル膜へ輸送されているのか、アピカル膜のスフィンゴミエリン量の恒常性制御機構の解明を目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞は体表や臓器の表面に位置し、様々な浸透圧溶液に曝されている。消化管上皮細胞においては、アピカル膜側の管腔を流れる唾液(30 mOsm/L)や真水などの、極めて浸透圧の低い溶液に曝されている。低浸透圧環境下で、上皮細胞内に水分子が流入すると、細胞の体積が急激に増加するため、生じた膨圧により形質膜の緊張が高まる。したがって、その弾性限界を超えた膨張は、細胞の破裂を引き起こしてしまうため、形質膜には膜脂質が迅速に供給される必要がある。しかし、このような環境下で細胞膜の張力を一定に保つ分子機構は不明である。 本研究では、低浸透圧溶液に曝された上皮細胞において、急速にアピカル膜のみが選択的に拡大するという現象を見出した。さらに、独自に考案した内在性スフィンゴミエリンの可視化プローブを用いて、細胞内のスフィンゴミエリンが輸送される様子を観察することに成功した。このプローブを用いた解析の結果、低浸透圧刺激時にはmTORC2経路が活性化され、アピカル膜の主要な脂質であるスフィンゴミエリンを含む分泌小胞の輸送が促進されることを明らかにした。さらに、mTORC2-Rab35 経路は、アクチン皮質の形質膜への係留に必要な細胞膜脂質であるPI(4,5)P2の分解を介して、アピカル膜のアクチン皮質を減少させて、形質膜の張力を低減させることを見出した。本分子機構は、生体内で上皮細胞が頻繁に対峙する低浸透圧環境において、スフィンゴミエリンを含む小胞のアピカル膜へのテザリングを促し、形質膜の緊張を緩和することで、細胞の破裂による細胞死を回避していることを示している。
|
Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Report
(2 results)
Research Products
(5 results)