Project/Area Number |
20J11470
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 90120:Biomaterials-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千釜 広己 東北大学, 歯学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2020: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 生糸織物 / セリシン / カルシウム担持 / 骨芽細胞 / 分化 / 細胞適合性 / 抗菌性 / 水分活性 |
Outline of Research at the Start |
病気や怪我によって大きく骨を損傷すると、患部に人工骨を埋入する手術が施される場合がある。現在では、比較的大きな塊状や小さい顆粒状の材料が患部の状態によって使い分けられているが、ドクターの取り扱いやすさと複雑な骨欠損部への形状適合性という点では課題が残る。そこで、本研究では柔軟性に富んだ織物状の材料(生糸織物)で上記の課題解決を目指す。さらに、生糸織物に金属イオンを担持させることで、骨形成の促進や、術後感染の予防を同時に行う材料の創製を目指す。材料の創製にあたっては、擬似体液や動物を用いた生体内外での骨形成能の評価、大腸菌などに対する抗菌性、骨芽細胞様細胞への影響という観点から評価を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カイコ由来の生糸織物に金属を担持させることで、複雑な形状の骨欠損部への高いフィット性、早期の骨組織の修復、および手術部位の菌感染症の予防を同時に行える高機能な骨補填材料の創製を目指した。これまで、カルシウムを担持した生糸織物が、織物特有の自在な変形能に加えて、骨との馴染みの向上、大腸菌に対する抗菌性を示したことから目的の要件を満足し得ることが明らかになっていた。さらに、同材料の抽出物は、前骨芽細胞の増殖を大きく阻害しなかったことから、人体に埋入された際に、周辺組織に深刻なダメージを与える可能性が低いことも示唆された。本年度は、細胞の増殖だけでなく、機能についても注目し、特に材料が前骨芽細胞の分化に与える影響について調べた。 一般に、前骨芽細胞は分化を経て成長し骨組織の成熟に寄与するが、その初期過程において、アルカリフォスファターゼ(ALP)を産生する。そこで、まずは、同材料の抽出物が細胞のALP産生に与える影響について調べた。その結果、カルシウムを担持させた生糸織物の抽出物は、細胞のALP産生を著しく阻害しなかった。さらに、生糸織物表面の主成分であるセリシンが前骨芽細胞のコラーゲンおよびオステオカルシンの産生に与える影響についても調べた。これらも、ALPと同様に、前骨芽細胞の分化過程で産生される物質である。その結果、興味深いことに、セリシンは100 μg/mLの濃度において、細胞のコラーゲン産生を阻害することなく、オステオカルシンの産生を有意に促進することが分かった。これは、セリシンが、前骨芽細胞の分化後期過程を促進し、骨組織を早期に治療し得ることを示唆している。以上の結果により、カルシウムを生糸織物に担持すれば、周辺組織に大きなダメージを与えることなく、目的とする高いフィット性、早期の骨組織修復、菌感染症の予防を同時に成し得る材料が実現できることが分かった。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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