生物進化・文化進化の理論を応用した言語の拡散・分布の解析
Project/Area Number |
20J13493
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 拓也 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2020: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 文化進化 / 言語地理学 / 言語系統 / 集団遺伝学 / ネットワーク理論 |
Outline of Research at the Start |
方言は同一言語内における語彙・構文・語形態の差異であり、ヒトとヒトとの接触・相互作用によって広まっていく。本研究では都市や集落といったヒトの集団同士の相互作用を考えて、方言がどのように空間的に拡散していくかを数理モデル及び実証データを合わせて解析する。 数理モデルに関して、集団の人口が大きいほど、また集団同士が近づいているほど言語的な相互作用は大きくなるという理論がある。これに基づいて複数の集団における言語の伝達率を計算し、それに基づいた都市ネットワーク上の方言の拡散を調べる。 実証データは日本語・イギリス英語・フランス語の言語地図を用いて行い、モデルのデータと比較する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヒトの集団同士の接触や移住の効果を考慮した上で文化形質(技術・音楽・知識・言語・民話といった、ヒトからヒトへと世代を超えて模倣や教示によって伝達する形質のこと)の系統関係を推定する手法を開発した。この手法は基本的には生物進化の分野で使われてきた系統樹推定の手法を文化形質へと流用したものであるが、地理的な接触によってヒトからヒトへ形質が伝播する効果を考慮できるように系統推定用の統計モデルを拡張した。 この手法は文化形質の地理的分布をプロットした地図データを元に解析を行うことを念頭に開発しており、対象となる地図を細かなメッシュに区切って分割し、そのメッシュ間の形質の伝播をネットワークでモデル化する。この際に、地理的に近い集団同士ほど文化形質が伝達しやすい、人口の大きな集団ほど周囲から模倣されやすい、といった仮定を置くことによって現実的な文化形質の伝播とそれによって生じる空間的(地理的)分布をモデル化した。 この手法の数学的な正当性を確認した上で実装を行い、シミュレーションで正確性を確認した。さらに日本語方言の研究者との共同研究を行い、同研究者が先行研究を調査することで作成した日本語アクセントの地図データに基づいて、各地の方言の系統関係を推定し、さらにアクセント型の間の推移率を推定を試みた。またイギリス英語の言語地図のデータベースの調査を行い、主に語彙のデータに対して本モデルを適用する検討を行った。 現在のところ、本手法における理論の枠組みは多くの実証データを取り込むことができず、したがって日本語アクセントの系統に関しても精度の高い推定ができていない状態にある。本手法は未だ改善点が多くあると見られ、今後の研究では多くのデータを取り込めるようなモデルの拡張を行う予定である。また言語以外のヒトの文化形質に対して本手法を適応して、言語学に留まらない応用を行うことも必要である。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)