Project/Area Number |
20J22044
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 35010:Polymer chemistry-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大平 征史 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | ゲル / DNA / 小角中性子散乱 |
Outline of Research at the Start |
生体内の細胞は生体分子が物理結合によって架橋された物理ゲル内に存在している。このように物理ゲルは我々の身近に溢れているにも関わらず、高度に架橋制御された物理ゲルの理論的研究は殆ど無かった。これは、物理結合自体の分子認識力が低いために、不均一な網目構造を有していたためである。本研究では二本鎖DNAを架橋点に用いて、空間と時間が制御されたゲルの創製し、それを多角的な評価を行う。これらの実験により、従来の不均一を内包した物理ゲルでは不明であった微細な結合状態と巨視的な機械的強度の関係が明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は二本鎖DNAの解離挙動が塩基配列で調製できることに注目して、粘弾性を予測・制御可能なハイドロゲルの創成を目的としている。昨年度は、ポリエチレングリコール(PEG)に末端にDNAを修飾する反応条件の検討をし、適切な条件を確立した。 本年度は昨年度で確立されたPEG-DNA修飾法を用いて、実際にハイドロゲルを合成することに成功した。合成されたゲルの粘弾性挙動と二本鎖DNAの解離挙動の関係性を評価した。粘弾性挙動の評価には回転式レオメータ、二本鎖DNAの解離挙動の評価には蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に伴う蛍光強度の変化を利用した。ゲルの粘弾性挙動は瞬間的に一定ひずみを与える測定(step-strain test)と、正弦波ひずみを与える測定(oscillatory test)の二つの手法を用いた。これらの手法を組み合わせることによって、幅広い時間スケールの粘弾性挙動を正確に評価することが可能である。ゲルの粘弾性は最も単純な粘弾性要素であるMaxwell要素一つのみで記述ことが判明し、粘弾性挙動を表現する時定数である、応力緩和時間τRは10度の温度差で二桁以上の変化を見せた。二本鎖DNAの解離挙動はFRETを用いた蛍光分光法により評価した。具体的には二本鎖DNAの5’末端に蛍光色素(FAM)とクエンチャー(BHQ1)を修飾し、蛍光強度の時間変化を利用し解離挙動を評価した。解離反応の時定数(解離反応速度定数の逆数)と等しく、二本鎖DNAの解離挙動が均一な網目構造を通して粘弾性挙動に反映していることが判明した。 これら一連の結果は、国際科学雑誌に英語原著論文として掲載された。また、国内外の複数の報道機関で当研究結果が取り上げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
均一な網目を有するDNAゲルの合成に成功し、分光的手法的によりゲル内のDNAの分子挙動を直接観測した。ゲルの粘弾性を種々の温度条件で測定することにより、ゲル内のDNAの分子挙動を粘弾性挙動は密接に関係していることが判明した。さらに、小角中性子散乱を用いたゲル網目の構造解析も実施し、ゲル網目が極めて均一な構造を有することが判明した。 本年度確立した合成・解析スキームはDNAの塩基配列を変化せでも有効であり、DNAゲルの理解を大きく進めたために、現在研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、DNAの塩基配列を変化さえることにより、ゲルの粘弾性の制御を目指す。
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