記憶固定化を可能にする複数の神経細胞の膜電位動態の解明
Project/Area Number |
20J22732
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 47040:Pharmacology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 朝子 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 海馬 / 記憶固定化 / リップル波 / 膜電位 / 抑制 |
Outline of Research at the Start |
記憶を司る脳領域である海馬において記憶固定化のメカニズム解明を行う。特に記憶固定化に重要な脳波であるリップル波(100-250 Hz)中の神経活動に焦点をあてる。学習時に活動した海馬の細胞は、睡眠や安静時のリップル波中に再び同じ順序で発火し記憶固定化に寄与するとされる。しかし一連の発火を示す細胞間にはほとんど結合が無く、発火の順序が決まる機序は不明である。私は各細胞が発火に至るまでの過程である膜電位に着目し、この仕組みの解明を目指す。自ら確立した記録系を用いることで初めて本課題への挑戦が実現する。順序立った発火の鍵となる特徴を膜電位から抽出し、その特徴を説明する因子を分子レベルで明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、記憶を司る海馬において記憶固定化の機序解明を目指してきた。学習時に活動した海馬錐体細胞の発火パターンは、休息時に生じるリップル波(100-250 Hzの脳波)とともに再生され記憶固定化に寄与するとされるが、その発火の順序が決まる機序は不明であった。申請者は、神経細胞が発火に至るまでの過程である膜電位に着目し、独自の実験技術により初めて海馬錐体細胞の発火の順序が決まる過程を捉えた。その結果、リップル波の直前に錐体細胞が一時的に抑制され、この抑制が大きいほどリップル中の発火タイミングが遅いことが分かった。また複数の細胞間でもこの抑制が小さい細胞から先に発火しやすいことを示した。従って、リップル波直前の抑制性神経細胞の活動がリップル波中の錐体細胞の発火タイミングを制御することが示唆された。そこで、抑制性神経細胞の一種でありリップル波中に活動を上昇させるパルバルブミン陽性インターニューロン(PV)の活動を光遺伝学的に阻害した。その結果、PVの活動をリップル波直前に阻害すると過分極が減弱し、リップル波中の錐体細胞の発火タイミングも早まることが示唆された。以上より、リップル波直前のPVの活動がリップル波に伴う錐体細胞の発火の順序を制御し、その時空間的な多様性が豊富な発火シークエンスを生み出すことを提案した。 最後にこうした抑制性入力による発火タイミングの制御が生後発達期にどのように成熟するのかを検証した。リップル波が観測され始めた生後16日齢以降のマウス海馬錐体細胞の膜電位を初めて記録した。生後16日齢では錐体細胞への抑制性入力が小さく、リップル波直前の過分極とリップル波中の発火タイミング制御も不十分であった。こうした抑制性入力および錐体細胞の発火タイミング制御の成熟はPVの機能的な成熟時期と一致し、リップル波に伴う錐体細胞の活動の時間的制御へのPVの寄与を裏付けている。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(3 results)
Research Products
(16 results)