Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
2020年度は、博士予備論文(修士論文に相当)までの蓄積を投稿論文・学会発表という形で還元することを目指す。また、不足している歴史的事実の分析および理論形成に関して、文献調査(史料、二次文献、今までの現地調査で得たデータ)に力を入れ、博士論文の執筆にとりかかる。2021年度は、主にフィールドワークを中心に、研究対象数を増やし、対象と地域社会との関わりを調査、分析していく。2022年度は、前年度に得られたデータを元に、考察、理論を強化し、学会発表や投稿論文で還元する。また、博士論文の執筆に本格的に取りかかる。
本研究はインド・ケーララ州の文脈に基づき、スペシャル・スクールの「包摂性」を明らか にしようとする研究である。特に、スペシャル・スクールに通学する、障害者を含む様々なハンディキャップをもつ人々をとりまく網の目のような相互行為に着目し、そこから導出されるスペシャル・スクールの可能性を論考している。本研究の特色としては、例えば低カーストの障害者や障害女児は、高カーストの障害者や障害男性よりも差別的扱いを受けやすいなど、インドの文脈に基づき、障害の意味が個人の属性との連関において流動的になる点を民俗誌的に描こうとしている点である。そのため、現地での長期調査を予定していたが、2020年度より新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、長らく調査に行くことができずにいた。しかし、新型コロナウイルス感染症感染防止の措置が緩和され始めた今年度は、インドへの渡航を再開することができた。まだ調査の途中ではあるが、現在はスペシャル・スクールの「学級活動」に焦点を当て、障害児・者がいかに学級活動へ参画していくのか/制約を受けるのか、を中心に調査をしている。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当初より博士論文の執筆を延長するに至ったが、甚大な影響を考慮したとしても順調に研究が進んでいると考えられる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。