Project/Area Number |
20K00049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01020:Chinese philosophy, Indian philosophy and Buddhist philosophy-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 紀寿 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (40431829)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 転法輪経 / スリランカ / パーリ仏典 / 大寺 / サンスクリット・コスモポリス / 上座部 / 仏教 / パーリ・コスモポリス / ブッダゴーサ / サンスクリットコスモポリス / サンスクリット |
Outline of Research at the Start |
4世紀から13世紀にかけて、サンスクリット語が南アジアと東南アジアにおける普遍語の地位を確立したサンスクリット・コスモポリスの時代にあって、聖なる言語としてのパーリ語の地位を確立(しようと)したのが、スリランカの大寺という仏教僧院を拠点とする一派である。本研究では、大寺派が創造し、伝承し、サ ンスクリット・コスモポリスが終焉を迎えた13世紀以降に東南アジア大陸部で飛躍的に広がったパーリ語世界を準備した諸言説を対象として、パーリ語文明の形成にかんする思想史的研究を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度前半には、パーリ語世界の形成にかんする研究を進める過程で、パーリ語世界でもっとも重視された経典の一つ、『転法輪経』の成立にかんする研究成果を挙げた。本経は、上座部大寺派の『律蔵』『相応部』、化地部の『五分律』、法蔵部の『四分律』、説一切有部の『雑阿含経』『四衆経』『十誦律』『根本説一切有部律』、大衆部の『大事』に収録されるため、これら諸部派でほぼ同じ内容が共有されていたことが分かるが、アショーカ王(在位前二六八頃ー前二三二頃)のサールナート石柱を検討するなら、『転法輪経』の内容を前提としていることが判明する。したがって、前三世紀中頃までに、鹿野園でブッダが四聖諦の知という法輪を転じたことを説く『転法輪経』の原形が成立したことを明らかにした。本研究成果「『転法輪経』とアショーカ王」を『東方学』第46輯で発表した。 2023年度後半には、本科研費での研究成果を英語で行った。2023年10月4日には、ハーヴァード大学のBuddhist Studies Forumで招待講演を行った。また、同年11月10日には、ナポリ東洋大学で講演を行い、同年12月7日にはヘンリールース財団助成研究プロジェクト"Chinese Buddhism in Globalization"でのオンライン招待講演を行った。2024年1月27日には北京大学でのオンライン招待講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
パーリ世界の形成を研究するに当たり、当初まったく想定していなかった成果を挙げて、東洋学で最も厳しい査読誌である『東方学』に論文を発表できた。また、海外の大学で講演する際に、各大学の研究者と交流して、新たな知見や研究動向を知ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
『転法輪経』の研究を通して、考古資料が文献研究に重要な情報をもたらすことが分かり、今後の研究の指針となった。欧米では、グレゴリー・ショペン以降、伝世資料によって仏典の形成史を論じるという研究方法そのものに対して懐疑的な見解を表明する文献学者が増えているため、今後、考古資料を用いた研究が重要になると考えている。
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