社会主義期ポーランドにおけるカトリック教育とその現在への影響:公共宗教論再考
Project/Area Number |
20K00076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | Yamato University (2022) Tokyo University of Foreign Studies (2020-2021) |
Principal Investigator |
加藤 久子 大和大学, 社会学部, 教授 (10646285)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 東欧 / ポーランド / カトリック / 社会主義 / 人間形成 / 生政治 / 現代史 / 東欧史 / 宗教社会学 / 教育社会学 / 歴史社会学 / 政教関係 / 第二バチカン公会議 / ユダヤ教 / 学校外教育 / 公共宗教 |
Outline of Research at the Start |
先行研究では、「民主化の第三の波」におけるカトリック教会は、反体制運動の主体として扱われてきた。これに対し申請者の研究の特徴は、党と教会の間での妥協や合意形成を中心に政教関係を再検討してきた点にある。 本研究においては、この点においてさらに歩を進め、妥協や合意形成といった自覚すらないままに進展する「人間形成(全人格的な人の育ち)」というプロセスに焦点を当てることで、社会の内部で宗教的価値と、それを否定する価値が対立や相克、融合などを繰り返しながら、どのように定着して行ったかという点を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、応募時において、公文書を中心とする一次資料の分析、1940~50年代生まれのインフォーマントへの聞き取り調査を中心とする実証研究を目指していたが、コロナ禍およびウクライナでの紛争の影響から、文献調査や理論的枠組みの検討を中心に研究を進めている。 研究成果については、東欧史研究会・小シンポジウムにおいて、「社会主義期ポーランドにおける人間形成――『宗教』と『世俗』のはざまで」として口頭にて報告し、これをまとめた論文を『東欧史研究』第45号において発表した。ここでは、社会学理論を下敷きとして、社会主義イデオロギーの伝達が、古くからの習俗やヴァナキュラーな生活文化を「上書き」する形で行われた結果、両者が併存するシンクレティズムに類する状況が生まれたこと、また社会主義国特有の社会現象と考えられているものの中に、戦後の重工業化や都市化による「西側」諸国の社会変動と重なる部分が大きいことを指摘した。 また、社会主義の記憶が現代政治に与える影響について、日本政治学会・2022年度研究大会「現代欧州における価値対立と政治」パネルにおいて、「ポーランドにおける価値の政治:人工妊娠中絶の政治争点化を中心に」と題する報告を行った。同分野については、アメリカを事例とした研究が盛んであることから、これらの研究のポーランドへの適用可能性や、ポーランドの選挙において同政策が争点化するメカニズムや特徴を明らかにした。 類似の研究課題に関心を持つ研究者の交流の場として、東欧近現代史の研究者を中心とするラウンドテーブル・ミーティングを開催し、中井杏奈氏(中央ヨーロッパ大学)、山本悠太郎氏(京都大学大学院)を発題者として、ポーランドの政治思想史についての検討を行ったほか、所属大学における公開シンポジウム「いま、ウクライナ情勢を考える」に参加し、「戦場化するウクライナと東欧社会」と題する講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍やウクライナでの紛争、所属機関の異動により、現地調査が困難になるなか、当初の計画どおりには研究が進捗していないものの、文献調査を中心に、当初設定した研究課題についての探求を進めている。研究手法の大幅な変更により、初年度~二年度目については十分な研究成果が発表できない状況であったが、今年度より、複数の主題について研究成果を発表できていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は短期(2週間程度)の現地調査を行うことを計画しているが、ウクライナ情勢などによっては回避する必要が出て来る可能性もある。 いずれの場合においても、二次文献とオンライン公開されているメディア資料などを用い、当初の研究課題について引き続き研究を進めていきたいと考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)