Project/Area Number |
20K00077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
津曲 真一 大東文化大学, 文学部, 教授 (20615033)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ポン教 / シェンラプ・ミボ / チベット / ネパール / 宗教学 / 儀礼 / 神観念 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、チベットの伝統宗教であるポン教の祖師シェンラプ・ミボの伝記を取り上げ、その校訂と翻訳を行い、更にポン教寺院でフィールド調査を通じて、同祖師伝に記される儀礼の実践の様子の撮影、また神々の図像の撮影・蒐集を行い、ポン教の信仰体系に於ける儀礼実践やパンテノンの構造について視覚化を行うものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、今年度もポン教の祖師伝および関連するポン教儀礼について、現地調査と文献研究を実施した。調査は2023年8月14日から8月28日と、2024年2月16日から26日の2回、ネパール・カトマンズ市内のポン教寺院ティテン・ノルブツェ寺で行われた。8月の調査では、ポン教僧の指導のもとで祖師伝の読解を学びつつ、同寺院で同時期に行われていたポン教儀礼の観察および儀礼具の撮影・調査を4日間にわたって実施した。この調査を通じて、該当する儀礼が災害除去を目的としており、その儀軌がポン教の開祖とされる人物によって考案されたと考えられることが明らかになった。また、儀礼の中で用いられる儀礼具の多くはポン教独自のものであり、それらの形態や機能については、ポン教の祖師伝にも記述が見られることを確認した。 2024年2月の調査では、引き続きポン教僧の指導を受けながら、祖師伝の読解を進めるとともに、儀礼の中で使用される儀礼具の名称や機能について詳細な聞き取り調査を行った。これにより、儀礼具の製作方法やその象徴的な意味、使用方法について詳しく知ることができた。2回のポン教僧との密接な交流を通じて、儀礼具の歴史的背景や現代における使用状況、及び祖師伝の記述との関係についても貴重な知見を得ることができた。 なお、今年度の調査成果として、以下の3つの研究成果を発表した: ①「『セルミク』訳注(2)」『大東文化大学紀要』第62号(2024年2月、pp. 95-112)、②『光の少年:チベット・ボン教の二つの図像から読み解く秘密の口承伝統』(サムテン・ギェンツェン・カルメイ著、津曲真一訳、ナチュラルスピリット、2023年11月)、③「『頓悟大乗正理決』叙と蔵文資料」『大東文化大学漢学会誌』第63号(2024年3月、pp. 121-141)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、最初の2年間はフィールド調査が実施できず、現地でのデータ収集や聞き取りが制限された。しかし、前年度と今年度は現地調査に重点的に取り組み、ポン教僧からの聞き取り調査を含む包括的な調査を実施したことで、研究の遅れをほぼ取り戻すことができた。特に、ポン教僧との交流を通じて得られた現地の知識や儀礼具に関する詳細な情報は、研究の質を高めるために重要な役割を果たした。 一方、研究成果の発表については、情報の整理と分析に時間を要しているため、当初2023年度に発表する予定だった成果の提出がやや遅れている。現地で得られたデータは豊富であり、全体の統合と分析には慎重を期す必要がある。そのため「やや遅れている」とした。2024年度は、昨年度までに得られたデータを丁寧に分析・整理し、最終的な研究成果を発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度までに得られたデータを分析・統合し、ポン教の祖師伝に登場するポン教独自の用語やその意味について最終的なチェックを行う。また、現在のポン教寺院で行われている儀礼の起源・目的と祖師伝の記述を照らし合わせ、儀礼とその目的が祖師伝の中でどのように表現されているかを精査する。これにより、ポン教の儀礼の意義やその発展過程について検討する。そのうえで、人名・儀礼具・宗教用語の索引を付したポン教の祖師伝の翻訳研究をまとめる。
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