the Bible as the voice of God according to the Cappadocian fathers
Project/Area Number |
20K00087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
土井 健司 関西学院大学, 神学部, 教授 (70242998)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 声 / 神の声 / ニュッサのグレゴリオス / 『雅歌講話』 / エペクタシス / ナジアンゾスのグレゴリオス / バシレイオス / テイア・フォーネー / 聖書 / カッパドキア教父 |
Outline of Research at the Start |
ニュッサのグレゴリオスをはじめ、カッパドキア教父が聖書を「神の声」として捉えるその思想について考察し明らかにする。まずはカッパドキア教父の著作における「神の声」(テイア・フォーネー)という概念の用例と用法を、言語学や修辞学における「声としての言葉」の研究成果とともに検討し、次に「神の書」(テイア・グラフェー)といった近接概念との比較を通してその思想を構成する。 続いて旧約の「雅歌」について、特に「雅歌」に描かれる、姿の見えない神の声だけが響くというテクストに対する彼らの解釈を考察し、聖書に現われる「声」、また「声」としての聖書を彼らがどのように考えていたのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度まででカッパドキア教父における「神の声」(テイア・フォーネー)という概念についてその用例と用法について研究を実施したが、今年度は研究テーマを拡大して広く「フォーネー」(声・音)という概念をニュッサのグレゴリオスについて研究を実施することにした。ただその用例数はTLGを検索すると1018箇所もあるということなので、対象著作を限定することにして、主要著作の一つである『雅歌講話』について研究を遂行した。 TLGを使って調べると『雅歌講話』全体でフォーネーの用例数は163例見いだされる。これらを一つひとつ確認し、ある場合はその意味を、ときに文脈のなかでの用法を確認していった。その結果は以下となる。 1)『雅歌講話』においては、直接的、間接的、積極的、消極的など多様な仕方ではあるが、「フォーネー」はすべて聖書と関連付けて用いられている。ここから、「声の神学」と呼ぶべき思想が存在するのではとの予測が成り立つ。 2)「声の神学」として具体的に以下が確認された。①旧約の預言者は神の「声」として、新約における御言葉の受肉と対比的にとらえられている。②伝道者という人間の「声」を神は用いる。③声、とくに神の声には「力」(デュナミス)がある。④「声」は神に向かった不断の進行、グレゴリオスの根本思想であるエペクタシス論にかかわる。つまり神の本質、その「御顔」を観ること、捉えることはできないとしても、その「声」(聖書の言葉)に導かれて止まることなく神に向かって前進するという。 以上の結果を得て、とくにエペクタシス論との関連から、『モーセの生涯』におけるフォーネーの用例と用法の研究に進む必要がでてきた。最終年度の前半期はこの研究を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請研究の後半(2022年度と2023年度)は、『雅歌講話』を対象とする予定であったが、具体的に「フォーネー」の用例全体を調査することができた。「神の声」(テイア・フォーネー」の用例に限定して研究した結果と比べると、「神の声」という概念だけでなく、もっと広く「フォーネー」を調査することで、そもそもニュッサのグレゴリオスが「声の神学」というべきものを構想していたのではないかとの予測が得られた。これは研究当初の目論見を超える成果だと言える。 なおこの研究は、「ニュッサのグレゴリオスの『雅歌講話』における「声」の神学」と題して、京都大学キリスト教学会編『キリスト教学研究』に投稿し、採択が決まっている。目下(23年5月)印刷中である。 予定ではカッパドキア教父のうち、バシレイオスとナジアンゾスのグレゴリオスについてもそれぞれの雅歌の解釈を考察するものであったが、ニュサのグレゴリオスと異なって『雅歌講話』といった著作がなく、それぞれの著作全体からテクストを選定する必要があり、これは23年度前半期の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度までの研究実績を受けて、今後の研究の方向性は、「神の声」だけでなく、何か「声の神学」と呼ぶべきものがどのように構想されているのかを様々に検討することが必要となろう。とは言え最終年となっているので、研究対象を『モーセの生涯』に限定して遂行してみたい。この著作は『雅歌講話』と並んでグレゴリオス晩年の著作とされており、もし「声の神学」をグレゴリオスが構想していたとすれば、当然この著作においても何かしらそれが確認されるはずだからである。 もう一つはバシレイオス、ナジアンゾスのグレゴリオスについてそれぞれの雅歌の解釈を確認し、「フォーネー」について何か見るべき思想があるのかどうかを確認、考察したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)
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[Book] 「人間の尊厳」とは2023
Author(s)
香川知晶、土井健司、他
Total Pages
236
Publisher
日本学術協力財団
ISBN
9784990997267
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[Book] 教父学入門2022
Author(s)
土井健司
Total Pages
260
Publisher
新教出版社
ISBN
9784400227557
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