Project/Area Number |
20K00131
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
|
Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
高橋 葉子 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 客員研究員 (20766448)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
|
Keywords | 謡の呂律 / 祝言・亡臆 / 塵芥抄 / ツヨ吟発生のメカニズム / 橋本市左衛門伝書 / 定家・芭蕉の太鼓 / 世阿弥音曲伝書の再読 / 座敷謡と能謡 / 祝言と闌曲 / 能における呂律 / 葛野流小鼓 / 音曲伝書の系統的研究 / 音曲伝書項目の体系的整理 / 音曲伝書用語用例集作成 / 音曲用語の学際的解読 / 謡伝書の項目分類 / 音曲用語索引の作成 / 謡と囃子の理想像 / 音曲伝書のデータ化 |
Outline of Research at the Start |
能の舞台に接した人の多くが、そこに深い精神性を感じると言う。それは能の何に由来するのだろうか。謡や囃子の演者たちはどのような音楽を理想とし、どのような演奏を心掛けているのだろうか。本研究は従来敬遠されがちだった能の音曲伝書の読解と学際的に活用できる音曲用語事典の作成を目標としている。伝書の言葉は芸える言葉である。それらが歴史的な意味の堆積を経て、現在の音楽をどのように形作っているのか、現行の演奏に即しながら能の音楽の内的構造を解き明かそうとするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
①前年度から調査をしている「永正元年観世道見在判伝書」の全体的な解題と素翻刻を終え、同書の呂律論を中心に、東洋音楽楽会第73回大会(2022年11月)において発表を行った。またこの発表を改訂補足し、所属する京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターの紀要に論文を提出した(掲載予定)。この伝書において呂の声とは、世阿弥が主張する祝言の声ではなく、人間的な心情を表す亡臆の声調であり同時に技巧的な声とされている。拙稿では、こうした技巧的表現の追及が、音階構造と旋律からの逸脱というツヨ吟独自の特徴を生み出したと推論した。報告者は前年度に、世阿弥の音曲論の再読を通じて、非風を是とする闌曲を謡の最高位とする思想がツヨ吟の母体となった可能性を論じたが(2022.3能楽学会口頭発表、2022.12『能と狂言』)、闌曲と呂の声とは、等しく亡臆(非祝言)を表現するものであり、技巧を行う点でも性格を同じくしている。次年度は、祝言をツヨ吟の母体とする従来説および謡における祝言の歴史を再検討し、ツヨ吟発生過程の解明に向けて研究を集約していきたい。 ②関連研究として、神戸女子大学古典芸能研究センター謡伝書研究会(代表者樹下文隆)において『塵芥抄』の翻刻を共同で行った(2022.6、同研究センター紀要)。『塵芥抄』は室町末期の謡の構成音を記す重要文献であり技法研究の貴重な資料だが、従来音階資料として扱われるのみで、伝書の全貌については殆ど研究されていない。報告者は翻刻作業に続いて、同書の典拠の一つである『混沌懐中抄』との具体的関係を調査を行った(同紀要次号に掲載予定)。 ③関連研究として、江戸期の太鼓伝書と福王系の謡伝書に基づき、極めて珍しい太鼓による〈定家〉〈芭蕉〉の伝承を武蔵野大学能楽資料センター紀要に紹介した(2023.3)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究の中心とした「永正元年観世道見在判伝書」については既存の研究がなく、基礎的な資料情報の把握から始めざるを得なかったが、予定通り異本調査と全文翻刻を行い、全体的解題と同書の呂律論についての論考を発表することができた。本書は成立年代未詳だが、室町末期の代表的謡伝書『塵芥抄』(天正11以前)の影響を受けておらず、古色と独自性の認められる伝書である。また本書は、報告者が翻刻解題作業に参加する『謡鏡』(寛文2年刊の謡伝書。研究会代表者藤田隆則)の典拠の一つでもある。『謡鏡』をはじめいくつかの伝書との比較研究を通じ、中世から近世への謡の変化が読み取れる資料としての本書の歴史的重要性をさらに認識することとなった。ただし難解記事が多く読解の不十分な部分も残しているため、科研費研究を一年延長し、引き続きこの伝書の研究を行うこととした。具体的には、分量的に過半を占める「音曲十五之大事」を中心とした研究発表を行う方針である。全文の翻刻は23年度に京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター伝音アーカイブスに掲載するが、形態について検討中である。また、研究期間全体を通じて行っている主要謡伝書の索引作成に向けたデータ化作業は、各伝書の条目一覧と比較表の形で、同じく23年度に公開する方針とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
①京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター伝音アーカイブスに『永正元年観世道見在判伝書』の全文翻刻を掲載する。前項に言及した『謡鏡』の研究成果が同アーカイブズに公開される予定であり、これと連動するものでもある。②との併用で研究に利用されることを目的としている。 ②主要伝書(八帖花伝書・永正元年観世道見在判伝書・音曲玉渕集・謡之秘書・塵芥抄・謡鏡)の条目一覧表を作成、上記アーカイブズに公開する。目的は、伝書間の項目比較を容易にし、広く謡伝書研究の便宜をはかるためである。
|
Report
(3 results)
Research Products
(10 results)
-
-
-
-
-
-
[Book] 能と狂言 202022
Author(s)
能楽学会
Total Pages
140
Publisher
ぺりかん社
ISBN
9784831516275
Related Report
-
-
-
-