中世の修道院における歌唱習慣―ソルミゼーション・シラブルにおける新たな側面―
Project/Area Number |
20K00158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Musashino Academia Musicae |
Principal Investigator |
隈 晴代 (宮崎晴代) 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (10622061)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ソルミゼーション / イントナツィオ定型 / ノエアネ / ノエアギス / アウレリアヌス・レオメンシス / レギノ・デ・プリュム / スコリカ・エンキリアディス / ムジカ・エンキリアディス / フクバルド / グイド・ダレッツォ / 11世紀 / 13世紀 / ソルミゼーション・シラブル / 西洋中世音楽 / 音名 / 音楽教育 |
Outline of Research at the Start |
11世紀の音楽理論家グイド・ダレッツォに由来する「ウト(ド)・レ・ミ」という音の名前(ソルミゼーション・シラブル)の伝承過程で、イタリアを中心に「トリ・プロ・デ・ノス・テ・アド」というシラブルも使用され、その使用期間は500年以上にも及んでいた。 本研究はこのシラブルに着目し、それが①どのような文脈で使われたのか、②「ウト(ド)・レ・ミ」というシラブルと、いかに使い分けられていたのか(修道院会派や理論体系の違いなど)、③500年の間にその使われ方がどのような変化したのか(音組織や演奏習慣など)について調査し、ソルミゼーション・シラブルの伝承形態を解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、2021年度に続いて、本研究のテーマであるソルミゼーション・シラブルのうち、ビザンツ聖歌由来のシラブル「ノエアネnoeane・ノエアギスnoeagis」に注目し、これらがどのような経緯をたどって、西洋世界のグレゴリオ聖歌に取り入れられたのかという部分を研究した。具体的には、2021年度には考察できなかった理論書3点を考察し、ほぼすべての当該時代の理論書を網羅することができた。その結果として、9世紀の間に書かれた音楽理論書では、例外なくこのシラブルについて触れているが、その中でこの「ノエアネ」シラブルの用法が、2つの潮流に分かれることが明らかとなった。一つはビザンツ聖歌の伝統からグレゴリオ聖歌の伝統に変容させられていった流れ、もう一つはビザンツ聖歌の伝統を受け継いでいる流れである。前者は一つのフレーズ全体に対して当てられていた「ノエアネ」という言葉を、1音1シラブルという方法に変化させたこと、またその過程で、特定のシラブルに半音を当てるという、ソルミゼーション唱法の原点である「半音の認識」へとつながっていた。この研究成果は、2022年12月9日~11日に、イタリアのブレシアで行われた国際学会、Early Music Pedagogy Then and Nowにおいて口頭発表した。また本学会では、同じ研究領域の研究者たちと活発な意見交換を行い、さらに新しい知見を得ることができた。 またこのイタリア行きでは、ミラノのアンブロジオ図書館を訪問し、写本を直接調査することができた。その結果、デジタル画像ではわからなかった紙そのものへの細工を発見することができた。まだその意味は不明であるものの、大きな成果として位置づけることができる。 2023年度はこの成果を基に、最終的なまとめに入りたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの感染拡大が終息しなかったため、海外への渡航が遅れており、12月の調査で明らかになったことの裏付け調査と、もう1か所の写本調査が終わっていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度として、これまでに実施した写本調査のまとめを行い、理論書の訳出と合わせて論文の形で発表したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)