Project/Area Number |
20K00282
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01080:Sociology of science, history of science and technology-related
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
武田 裕紀 追手門学院大学, 共通教育機構, 教授 (50351721)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | ポール・ロワイヤル論理学 / 観念の判明性 / 観念の明晰性 / デカルト / アルノー / パスカル / 方法 / 数学的帰納法 / デカルトの方法 / パッポス / クラヴィウス / 解析幾何学 / ディアレクティック / imaginabilis / フォンセカ / マテーシス / 科学的方法 / 17世紀 / ホッブズ |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、歴史的にマテーシスと呼ばれる領域の学問が、17世紀の科学革命期において、論証的・形而上学的にいかに確保されたのか、そしてそれが自然を対象にしていかほどの力を発揮したのか、多角的ではあるが総体として研究することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
アルノーとニコルによる『ポール・ロワイヤル論理学』における、観念の「明晰性」と「判明性」を取り上げた。このいかにもデカルト的な、そしてアルノーにとっても基軸的な用語は、果たしてデカルトが自身の体系の中で意義付けたような仕方で、『ポール・ロワイヤル論理学』の中でも機能しているのだろうかという問題について、デカルトとの対決という契機から解明した。 研究の成果は以下のとおりである。第一に、観念が明晰であることすなわちそれ自体はっきりと認識できること、および観念が判明であることすなわち他の観念と区別できること、この二つの事項を検討することで、『ポール・ロワイヤル論理学』においては、デカルトとは異なり、観念の判明な把握が観念の明晰性の確保に先行すること、そして判明に確保された諸観念の妥当な系列が事物の明晰な認識へとつながることが分かった。第二に、かようなプライオリティを帯びた判明性を、観念の「区別」の観点から検討した。そこでは、まずデカルトにおける実在的区別、様態的区別、およびそれらの区別をなすための精神の操作である「排除」と「抽象」について確認したのち、『ポール・ロワイヤル論理学』が「排除」による「実在的区別」を受け入れていることを明らかにした。これらの検討の結論として、精神の抽象による様態的区別をデカルトから形式的には受け継ぎつつも、その操作によって実体への考察抜きで様態を切り出すことが可能になること、切り出された様態の観念が判明であるかぎりにおいて明晰な観念を構成するための要素とみなしうること、この二点において『ポール・ロワイヤル論理学』がデカルトから隔たっていることを示し、ここにアルノーたちの独自の立ち位置を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料調査や論文執筆は順調に進んだが、コロナ禍の余波で、国際的な活動が制約された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はパスカルを中心とした研究を行う。 ひとつは、幾何学の問題として『デトンヴィルの手紙』においてルーレットの予備的考察とされている蹄状体を取り上げる。この考察を通して、ギリシア数学とパスカルの数学との距離を測定する。というのも、この蹄状体の求積は、アルキメデスによってすでに解決されていたからである。両者の方法を比較することでパスカル於いて、近世数学の発展を読み取りたい。 もうひとつは、『幾何学的精神について』における「名称の定義」と「原始語」の理論を中心とする科学的認識と論証の問題である。そして、『幾何学的精神について』の中では大枠が素描されているにとどまっている幾何学的論証のあり方が、わずかなりではあるが具体的な仕方で実現されている「幾何学序論」を分析する。 これらの研究成果は、2025年10月刊行予定の『パスカル読本』において公表される予定である。
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