Project/Area Number |
20K00347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
梅澤 亜由美 大正大学, 文学部, 教授 (00710427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 志門 東海大学, 文学部, 教授 (00726424)
小林 洋介 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (00757297)
河野 龍也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (20511827)
大原 祐治 実践女子大学, 文学部, 教授 (40554184)
小嶋 洋輔 名桜大学, 国際学部, 教授 (50571618)
井原 あや 大妻女子大学, 文学部, 講師 (30882302)
尾形 大 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00774233)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 私小説 / 自己語り / 自伝的小説 / 国際比較 / 東アジア文学 / 計量的分析 / 日記 / エッセイ / 文学一般 / 日本近現代文学 / 比較文学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、これまで近代日本独特の小説形式とされながら、明確な定義やその特殊性の内実さえ問われてこなかった日本の「私小説」について、以下の2つの方法により検討することで、カテゴリー論的理解を試みる。 ①あるテクストを読み手に「私小説」と認識させる要因を、作者と読者を媒介するテクスト内外の情報に求め、作家横断的にそれらの要素をデータとして集積する。それらを計量的に分析することで「私小説」をプロトタイプ的に定義する。 ②近年世界的に研究が進んでいる〈自己語り〉文学との関係において、東アジア圏・西欧圏の自己を描いた文学と「私小説」を比較・検討することで、その日本的特性や普遍的性格の実態を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、個人による<私小説性>の調査、定例研究会の開催、国際シンポジウムの計画、個人による論文発表などの成果を得た。具体的には、以下3点である。 ①本研究の1つめの柱である<私小説性>の調査については、個々人が継続して調査を続けている。成果データの一部は、「「私」から考える文学史の会」WEBサイト(https://watakushikara.wordpress.com/)にて公開しており、2023年度も新たなデータを追加予定である。また、定例研究会を開催し、〈私小説性〉の調査結果について結果を共有し、ディスカッションを行った。2024年2月12日(月)は、山梨大学の尾形大氏が「戦後雑誌における自伝的言説の共有をめぐる一考察―伊藤整『若い詩人の肖像』と掲載誌『中央公論』を例に―」というテーマのもと、研究発表を行った。2024年3月11日(月)の研究会では、これまで発表された〈私小説性〉に関する研究論文について、合評会を行い、研究の現状を共有した。あわせて最終年度に向けて、科研費メンバーによる公開シンポジウムの開催を決定し、日程やテーマについて準備を進めた。 ②本研究の2つめの柱である<自己語り>文学の国際比較に関して、最終年度に国際シンポジウムを開催することを決定し、その計画を進めた。2022年度に行った3回のシンポジウムの内容をウェブサイト上にて公開し、本研究の成果を共有できるようにした。その上で、国際シンポジウムのテーマ、および日時を決定し、現在は国外の研究協力者とシンポジウムでの発表内容について、協議を進めている。 ③個人による論文等の成果については、雑誌論文10本、学会発表5件、単行本3件と、かなり成果を出すことができた。詳しくは、研究成果欄に記載する。本研究が提示している〈私小説性〉という研究概念は浸透しつつあり、大きな成果であると言ってよい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の進捗状況として、「やや遅れている」を選択した。研究初年度において、COVID-19による研究の遅れがあったことから、1年間の研究期間の延長を行った。研究期間を延長することで、当初の目的を達成したい。各状況は以下の通りである。 ①<私小説性>の調査については、引き続き個人が調査、データ化を行っている。調査したデータについては「「私」から考える文学史の会」WEBサイト(https://watakushikara.wordpress.com/)で公開を行っているが、全集を読み各項目を抽出してデータ化していくいう手間のかかる調査のため、当初の予定よりも公開が遅れている。一方で、科研費メンバー各自が〈私小説性〉のデータを基にした分析による研究論文を発表することで、本研究が提示している研究方法が浸透しはじめている。最終年度に向けて、〈私小説性〉の概念を用いた研究がより広がるよう、科研費メンバーの研究成果を披露する公開シンポジウムの準備を進めている。 ②<自己語り>文学の国際比較に関しては、最終年度の国際シンポジウムのテーマ、日程、登壇者の決定と、開催に向けて具体的に計画を進めることができた。国際シンポジウムのテーマは「引用する<私>、引用される<私>」であり、自作引用や他者の書簡の引用など、〈自己語り〉テクストにおける〈事実らしさ〉の演出について検証を行う。これにあたって、2022年度に開催した西欧圏の研究者を招いての公開シンポジウムの各内容について、ウェブサイト上で公開し、公開シンポジウムに登壇を予定している国外の協力者と研究状況の共有を行った。最終年度に向けて、東アジア圏、西欧圏を射程とした総合的な<自己語り>文学の研究に向けて、準備は整っている。 以上のように、最終年度となる2024年度に向けて、本研究を総括するための2つのシンポジウムを開催する準備ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、本研究のまとめとして、科研費の代表者・分担者による公開シンポジウム1回、国外から協力者を招いての国際シンポジウム1回と、2回のシンポジウムを開催予定である。あわせて、1つめの研究計画の柱である<私小説性>の調査について総括を進めていきたい。以下3点が、具体的な計画の方向である。 ①2021年度より公開を開始した<私小説性>のデータについては、引き続き個人の調査を進め、随時、WEBサイトでの公開を行っていく。また、8月にこれまでの研究成果を総括する公開シンポジウムを開催する予定である。 ③<自己語り>文学の国際比較については、2025年2月に国際シンポジウムを開催する。本研究は、科研費研究「〈私〉性の調査と<自己語り>文学との比較による日本「私小説」の総合的研究」(20K00347)を引き継ぐもので、2019年に東アジア圏の研究者4名を招き、国際シンポジウムを行った。また、本科研費事業では2022年度に西欧圏の研究者3名を招き、3回の公開シンポジウムを行った。2024年度はこれまで研究協力をしてきた7名の研究者を迎え、本研究の大きな目的であった〈自己語り〉文学における国際比較の総括を行う。 ③上記①②についての成果の公開方法について、検討を行う。関連書籍の刊行、報告集の作成、ウェブサイト上での公開と、3つのツールを使い分けることで、有効な成果公開を行いたい。
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