謝霊運の詩文における「景」「情」相関と仏教・道教思想
Project/Area Number |
20K00368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02020:Chinese literature-related
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
堂薗 淑子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (80514330)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 謝霊運 / 山水詩 / 慧遠 / 感応 / 「遊廬山詩」 / 「遊石門詩并序」 / 賞 / 玄言詩 / 「遊石門詩」 / 仏教思想 / 楚辞 / 仏教 / 道教 / 景 / 情 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、眼前の景物と詩人の心情が相互に関わり合うことで現出する「風景」を描く作品がどのような文学的・思想的文脈のもとで生まれ、また発展してきたかを解明するため、晋宋期の山水詩の確立者であり、仏教・道教との関わりが深い謝霊運の詩文を取り上げるものである。「景」と「情」が相互に作用し合うありさまを描く謝霊運の作品を、当時の仏教・道教思想の表現と照らし合わせながら考察することによって、個として景物と相対するという態度が宗教意識とどのように関係するのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、主に廬山慧遠集団と謝霊運の詩文の関係性について考察を進めた。 5月には「山水と「一悟」のあいだ―慧遠らによる「遊廬山」「遊石門」詩と謝霊運の山水詩」と題する研究報告を行い、衆生が「感」じて仏が「応」じるという「感応」の表現に特に焦点を当てて分析を行った。慧遠の弟子の作と推測される「遊石門詩并序」は、その序文において遊行の時節・目的・同行者・行程・天候を具体的に叙述し、さらにその一回の遊行において超越者の“応現”をどのように知覚認識し、自身の心境がどう変化したか、その体験の後いかなる考察を経てどのような悟りに至ったのかを詳細に叙述している。この叙述の流れを謝霊運「従斤竹澗越嶺渓行」詩の展開と対照させてみると、「激しい身体動作」―「動作中に捉えた景物」―「前触れ」―「応現」―「その後の心境」―「応現の作用に対する考察」―「(言葉で)説明する難しさ」―「真の悟りへ」という流れが共通していることが確かめられた。「遊石門詩」の序には、山水の景と自身の心との相互作用を描こうとする意識が確かに認められ、このような慧遠集団の山水詠が謝霊運の山水詩制作に直接的な影響を与えた可能性があることを学会発表し、さらに論文にまとめた。 また7月には「独遊する山水―廬山慧遠と謝靈運の詩をめぐって」と題する研究発表を行った。慧遠「遊廬山詩」と謝霊運「於南山往北山経湖中瞻眺」詩がいずれも“独り”での山水遊行を強調していることを指摘し、慧遠が描く「独冥遊」―「感応」―「理」の悟得という過程は、謝霊運が描く「孤遊」―「賞」―「理」の悟得という流れと極めて近いことを論じた。さらに謝詩の「賞」「賞心」「心賞」の解釈について、先行研究の見解を整理しながら私見を述べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、東方学会国際東方学者会議(東京会議)シンポジウム「哲理と自然―六朝山水詩の成立」、および京都大学中国文学会第三十七回例会で研究報告を行い、前者の発表内容の一部を“Nature and Enlightenment”と題する論文にまとめるなど、順調に研究を進めることができた。ただし令和2年度のコロナ感染拡大の影響による遅れを完全に取り戻すまでには至らず、口頭発表した内容のすべてを論文にまとめるにはもう少し時間が必要である。そのため「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、慧遠と謝霊運の詩文に共通して認められる“独りで山水と向き合う”という意識が、「景」と「情」の相関を描くこととどのように関わるのかを明らかにするため、自己と景物との距離感や関係性を示す表現に着目しながら分析を進める。謝詩に見られる自己と対象との特異な関係性は、「賞」「賞心」「心賞」の語や『楚辞』に基づく表現を分析することで明らかになってゆくと考えられるが、これらの表現は先行研究において解釈が分かれている部分も多い。謝詩全体の中で「賞」「賞心」「心賞」をどのように解釈し位置づけるか、一定の方向性を示したい。 また、「心賞」の語がある謝霊運「石室山」詩と「賞」の語がある「登江中孤嶼」詩については、以前も論じたことがあるが、道教・仏教思想との関わりから再度検討を加えたいと考えている。「登江中孤嶼」詩の先行研究では、神仙表現を用いながら仏教世界を描いているとする小川環樹の見解がおおむね支持されているが、同様に神仙表現を用いて対象との交わりを描く「石室山」詩とはいったい何が異なるのか。「石室山」詩が表す世界は具体的にどのような思想に基づいているのか。この点を軸に考察を進めたい。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)