Project/Area Number |
20K00370
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02020:Chinese literature-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川島 優子 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (30440879)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 評点本 / 明代 / 水滸伝 / 李卓吾 / 凌濛初 / 批評 / 文選 / 李卓吾批評 / 金瓶梅 / 合評選詩 / 中国通俗小説 |
Outline of Research at the Start |
明清時代に刊行された通俗小説の多くは、本文が単独で読まれるのではなく、「批評」とセットで読まれることが常であった。小説を読むという行為は、「作品と読者」の二者間ではなく、「作品と批評と読者」という三者間で繰り広げられるものだったのである。本研究は、明清時代に作られた通俗小説の評点本を中心に、従来はある意味「おまけ」として等閑視される傾向にあった批評そのものに焦点を合わせ、その意味を問うと同時に、通俗小説の誕生、出版、受容に関する研究に新たな視座を提示しようと試みるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に続き『水滸伝』の評点本、なかでも現存する最も古い完本である容与堂刊『李卓吾先生批評忠義水滸伝』(以下、容与堂本とする)に見られる評語について考察を加えた。容与堂本における批評については基礎的な調査を終え、一文字批評の中で最も出現数の多い「画」についてはすでに論文を発表しているが(容与堂刊『李卓吾先生批評忠義水滸伝』の評語に関する考察―「画」を中心として―」『東方学』136号、2018年)、本年度は「画」に次いで多く見られる「妙」を中心に評点全般に考察を進め、「画」とあわせて考えることで、「『李卓吾先生批評忠義水滸伝』における評語「妙」に関する小考」(『明清文学論集 その楽しさ その広がり』東方書店、2024年)を発表した。 凌濛初が編纂した評点本についても引き続き考察を行っている。昨年度までに発表を行った『合評選詩』に代表される評点本において(「凌濛初編『合評選詩』考(一)」〈『中国中世文学研究』74号、2021年〉、「凌濛初編『合評選詩』考(二)」〈『中国中世文学研究』76号、2023年〉)、凌濛初はあくまで「既存の評を集める」形を取っていたが、「二拍」については凌濛初自身のものとされる評点が付されており、そこには明らかに前者と異なる態度が見受けられる。その態度は、容与堂本に代表される李卓吾の批評とも相通じるところがある。次年度はこの点を中心に考察を進める。 また、本年度は国際学術検討会(廣島大學中國文學語學研究室「中古文本の生成と流傳」國際學術研討會曁第十三届周秦漢唐讀書會)を開催し、国内外の研究者との意見交換、学術交流も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も、特に前半期は新型コロナウィルス感染症の影響により、国内外の所蔵機関へ赴いて現物を調査することが難しかったため、基本的には影印本およびオンラインで公開されている画像データを中心に調査を行った。また、明末には小説に限らず様々なジャンルの評点本が刊行されており、そうした出版文化の中で小説批評も考える必要がある。そのため、昨年度から従来の計画をいささか軌道修正して研究を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、小説(『水滸伝』、李卓吾批評本、「二拍」を中心に)の批評を中心に考察を進める一方で、それらが明末の(小説以外のものも含む)評点本の中にどのように位置づけられるのか、また特に小説(評点本)の読者にどのような需要が存在しており、それに応えるためにどのような工夫がなされたのかについても考察を加える。これらの研究については、次年度中の学会発表を計画している。
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