Project/Area Number |
20K00405
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
吉川 史子 広島修道大学, 商学部, 教授 (50351979)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 中世 / 神秘主義 / ジャンル / 文体 / ジェンダー / 写本 / 語用論 / メタファー / 中英語 / 談話ストラテジー |
Outline of Research at the Start |
本研究は、中英語期後期の14世紀にその萌芽が見られる女性神秘家による宗教散文の文体と、その作品中の対話に見られる彼女たちの発話で用いられる談話ストラテジー、それらとほぼ同時代の男性神学者による宗教散文の文体と彼らの対話に見られる談話ストラテジーを、語用論的な視点から比較分析し、当時の女性による神学的散文の文体に見られる特徴を明らかにするものである。 さらに、現代の女性の言語について特徴を考察した先行研究の成果と比較し、中世の女性の文体や、テクスト中に現された女性の発話に目立つ特徴と、現代の女性の文体や発話に目立つ特徴との間に共通点や相違点があるか否かを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本研究課題に大きく関わる女性神秘主義者が語った内容を筆記したテクストThe Book of Margery Kempeにおいて、日時や場所を表すことばと一緒にどのような内容が描写されているのか調査分析し、その結果明らかにになったことをまとめて英国オックスフォード大学St John’s Collegeに於いて行われたMystical Theology Network Conference 2024のSession 4: Literary and Philosophical Approaches to Mysticism and Actionのセッションで2024年3月20日に ‘On Dates and Places in Margery Kempe’s Actions and Contemplations’の題目で口頭発表した。The Book of Margery Kempeは神秘主義テクストとして分類されるのが常だが、その内容や文体には旅行記や日記といったこの時代から発達していく新しいジャンルに近い部分が多く、他の神秘主義のテクストとは異なる性質を多く併せ持つ。旅行記では、しばしば、テクストの参与者が時間の経過とともに移動する場所を表す副詞句が、時間を表す副詞と同じ機能を示すことから、本研究では、このテクストの章や段落の始まりに位置する文のはじめに現れる副詞句を抽出し、その文、もしくは、その文ではじまる段落の内容を分析した。その結果、祭日を表す副詞句が文頭に来ている場合には、その祭日の意義と関連する内容がしばしば語られること、祭日はまたMargeryが記憶をたぐりよせるきっかけとなっている可能性があることを明らかにすることができた。また、非特定の日時を表すOn a tyme, another tymeといった副詞句が特定の場所を表す副詞句や、主たるテクストの参与者を三人称で表すthis creaturという表現と併せて用いられている箇所で話題転換が行われていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、本プロジェクトを始めて以来、オンラインでなく初めて海外に出向いて国際学会で発表することができた。また、2022年度と2023年度は時間をかけて本プロジェクトに取り組んだが、プロジェクトを始めた頃に、新型コロナウイルス感染拡大のためにオンラインの授業準備に忙殺され、海外の図書館に調査に出向くこともできず、海外の仲間の研究者と直接会ってじっくり情報交換することもできなかった期間に滞った研究の遅れを十分に取り戻すには至らなかった。 また、円安の影響で航空運賃や宿泊代が非常に高くなり、写本を所蔵する図書館に以前のように長期休暇ごとに出向いて調査することが経済的に難しくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は本プロジェクトの最終年度となるため、ノース・ダコタ大学の Michelle M. Sauer 教授の助言に基づいて進めてきた femininity に関する論文の執筆を仕上げたいと考えている。これまでの研究の過程で、神秘主義作品を残した中世英国の女性たちの文体に反映されている当時の女性達が受けた社会的な制約に類似する例が、英国だけでなく、東西の他の文化にも見られることに気がついたので、今年度は他文化における女性によるテクストとの比較研究を行なって、本研究をさらに発展させたいと考えている。 また、宗教改革の影響で大陸に渡ってきた修道女たちによってノリッジのジュリアンのテクストが写されたという事実も、女性によるテクストの伝播という観点から見て興味深いと考えているので、彼女たちが写した現存する写本のもとの写本はどのようなものであったのかを明らかにする研究にも残りの期間で取り組んで、今後さらに研究を発展させられればと考えている。
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