J.ポール・ゲティ美術館の写本Ms.30における細密画を中心とする複合的異界研究
Project/Area Number |
20K00432
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
壬生 正博 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (30249784)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 中世イギリス文学 / 異界 / パラダイス / タンダール / マンデヴィル / ダンテ / 夢幻視 / 聖書 / 夢 / 幻視 / アレゴリー / 旅行記 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、中世イギリス文学の夢幻視物語(dream-visions)が語る地上や天のパラダイスに焦点をあて、当時の文芸作品や視覚芸術に見られる生命観、宇宙観等の深層意識の究明を最大の目的とする。研究では、「タンダールの幻視物語」を取り上げて、カリフォルニア州ロサンゼルスの J. ポール・ゲティ美術館が所蔵する写本 Ms. 30(15世紀フランス語版)の20点の細密画を用いて、中英語版(15世紀)との比較研究を行う。これに付随して、ユダヤ・キリスト教の黙示文書(紀元前2世紀頃~紀元2世紀頃)、「マンデヴィル旅行記」(14世紀)、ダンテの「神曲(14世紀)、更に13世紀頃に作成された世界地図等も取り入れて複合的な異界研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中世西欧の夢幻視物語(Dream-Visions)が語る異界(The Other World)――主として地上や天のパラダイス――に焦点をあて、当時の文芸作品や視覚芸術に見られるパラダイス描写の深層意識の究明を目的としたものである。種々の夢幻視物語から本研究では特に『タンダールの幻視物語』(The Vision of Tundale)を中心に研究を実施している。 平成4年度は、以下の研究等を行った― 1)カリフォルニア州ロサンゼルスにあるJ. ポール・ゲティ美術館が所蔵する写本 Ms. 30(15世紀)の研究書であるThe Visions of Tondal from the Library of Margaret of York (The J. Paul Getty Museum: Malib, California, 1990)は、Ms. 30の古フランス語訳とそのラテン語原典Visio Tnugdali(12世紀)とを比較し、相違点(加筆、省略、誤訳など)を指摘している。そしてこの原典と相違する箇所を、細密画家Simon Marmionがどのように描いたかを解説しつつ、Ms. 30の地獄やパラダイスの構図がどのように原典とは異なる印象を与えているかについて言及している。R4年度は、この相違点をまとめた。 2)上記の相違点を中英語翻訳版(15世紀)の異界描写に広げて、Ms. 30との比較検討する資料を作成した。更に、ユダヤ・キリスト教の黙示文書、ダンテの『神曲』(14世紀)、更に13世紀頃に作成された世界地図(mappa mundi)等との通時的かつ共時的な観点からの複合的研究も継続して行った。 3)R3年度の後半に「中英語夢幻視物語The Vision of Tundaleにおける至高天の三位一体の解釈について」および「パラダイス思想の観点からみる『第4エズラ書」の夢幻視について」というタイトルで論文を作成した。この内、本年度は後者について推敲を進め、総合文化学会(第22回)においてインターネット上でリモート発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・R4年度は、勤務校の業務が大幅に増えたため、研究資料を整理する段階まで進めることができたが、具体的に比較検討する時間を十分に確保できなかった。 ・上記の理由から、補助事業期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として、ラテン語原典Visio Tnugdali(12世紀)、フランス語訳版Ms. 30(15世紀)とMarmionの細密画、および中英語翻訳(15世紀)の3作品のパラダイス描写の比較検討を行い、中世イギリスの夢幻視文学のパラダイス描写の深層心理を探究する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)