Project/Area Number |
20K00443
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中村 麻衣子 東京都立大学, 大学教育センター, 准教授 (50780615)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 英文学 / アイルランド文学 / ナショナリズム / セクシュアリティ / クィア |
Outline of Research at the Start |
アイルランド出身の活動家ロジャー・ケイスメント(1864-1916)は現代ではアイルランド以外の地域でも英雄的存在と目され、今なお文学・芸術作品の主題となっている。そうしたイメージがいかにして創造、受容されてきたかを文学、歴史、報道資料など多様なメディアを通時的に調査、分析し多角的に検証する。 単なるナショナリズムの枠組みに収まることのない、よりグローバルでクィアな存在としてのケイスメント像を再構築することで、伝記文学や偉人像の創造のあり方、アイルランドにおいてのセクシュアル・マイノリティ表象への影響についても考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、19世紀から20世紀アイルランド出身の活動家で現在では建国の英雄のひとりと目されるロジャー・ケイスメントが、(1)いかにその英雄としてのイメージを確立し、現代まで受容されてきたのかを一次資料分析を通じて明らかにすることと、(2)未だに大きな存在としてアイルランドのみならず、さまざまな世界の文学作品などに再生産され続けているのはなぜなのかという問いを考察すること。そして単なるナショナリズムの英雄として、自己犠牲をものともしないヒロイズム礼賛にとどまらないケイスメントの人物造形を明らかにし、偉人のイメージ創造のあり方を発展的に検証することである。 令和5年度も(1)の研究の基盤であるイギリス、アイルランドでの一次資料収集と現地調査がかなわなかた。そのため、これまでも行ってきた(2)のケイスメントをテーマ、もしくはモチーフとした文学や芸術作品の分析を引き続き実施した。(1)の資料調査と研究が難航している点をふまえ、令和4年度に実施した研究で、ケイスメントと同時代の詩人で友人のエヴァ・ゴア=ブースによる定期刊行物『ユーレイニア』の研究でケイスメントと重なり合う点を見出すことができた成果を発展させ、ケイスメントをクィアの歴史の中に位置付ける試みを課題として新たに加えることにした。そのため20世紀初頭のアイルランドやイギリス以外の地域でのセクシュアルマイノリティの文化表象やクィア理論についての研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
イギリスやアイルランドの図書館やアーカイブでの調査が行えず、予定の変更を余儀なくされたことにより遅れが生じており、予定していたエフォートを割くことが困難であった。またより効果的な研究にすべく新たな試みを加えたため、遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
現地での資料調査ができないままで一時資料分析という点に関しては大幅に遅れてしまっているため、当初の研究計画とはずれが生じる恐れはあるが、これまで実施してきた文学作品についての研究をまとめると共に、『ユーレイニア』に関する資料分析をさらに深め、クィア文学や表象の歴史にケイスメントをしっかりと位置付けたい。また投稿を行ったが掲載に至らなかった論文が学術雑誌に掲載されるよう努力したい。
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