Project/Area Number |
20K00548
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
|
Research Institution | The University of Kitakyushu (2021-2023) Kyushu University (2020) |
Principal Investigator |
團迫 雅彦 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (50581534)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 言語獲得 / 生成文法 / 主語 / 格 / 副詞節 / ラベリング / 刺激の貧困 / 構造依存性 / モダリティ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、入力に含まれない統語範疇に言及した統語的制約が関与した現象を用いて、構造依存性に関する言語知識を子どもが有するかどうかを明らかにすることで、生成文法理論の理論的前提である「刺激の貧困」の妥当性を検証することを目的とする。主に、「日本語の主格主語はそれを認可する節内に留まらなければならない」という統語的制約に着目し、副詞節における主格主語の解釈に関する文の理解実験を行う。従来の構造依存性の獲得研究が持つ、要素間の線形順序という統語情報を用いた類推による規則の一般化の問題を回避できる。抽象的な言語知識を豊かな入力に帰す主張を生成文法理論の立場から反証し、言語理論の飛躍的発展に寄与する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、入力に含まれない統語範疇に言及した統語的制約が関与した現象を用いて、構造依存性に関する言語知識を子どもが有するかどうかを明らかにすることで、生成文法理論の理論的前提である「刺激の貧困」の妥当性を検証することを目的とする。これにより、従来の構造依存性の獲得研究が持つ、要素間の線形順序という統語情報を用いた類推による規則の一般化の問題を回避できる。2023年度は、前年度に引き続き、以下のような研究を中心に進めた。具体的には、(1) 副詞節と主語の発話データの収集と分析、(2) 「日本語の主格主語はそれを認可するTP内に留まらなければならない」という統語的制約に着目し、TPを含むかどうかにより副詞節における主格主語の解釈が異なる文の理解実験の準備、(3) 発話コーパスを用いた副詞節および主格主語の入力の質的・量的分析、(4) 養育者の言語入力が子どもの発話にどのような影響を与えるかを考察するために、日本語の副詞と基本・派生語順についてのコーパス調査を行った。(1)-(3)については、2023年7月にProceedings of the 47th annual Boston University Conference on Language Developmentに論文として発表した。(4)については、2024年3月に『福岡言語学会50周年記念論文集』に論文として発表した。本年度の研究の意義は言語獲得における副詞節と主語の関連性について研究を進める上で必要な準備を進めることができたことと、養育者の言語入力と子どもの発話に注目し研究を進めることができた点にあるといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、実地調査は困難であったが、調査に向けての事前準備、コーパスデータの整理は進んだため、おおむね順調に進展したと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染が5類指定を受けたため、当初予定していた計画を感染に注意しながら進めることができると考えている。最終年度となるため、十分に準備を整えたうえで、調査に臨む。 (1) 調査の被験者について:理解実験は、実験のキャラクターが状況に合った正しいことを話したかどうかを被験者に問う真偽値判断課題(Truth Judgment Task)を採用するため、被験者には大きな負担はないように思われる。ただし、感染の状況次第では、保育施設と相談し、十分配慮を行った上で調査を行いたい。 (2) 副詞節と主格主語(あるいは「ハ」を伴う主題)の入力の頻度を、発話コーパスであるCHILDES (MacWhinney 2000) を用いて調査する。入力の質的・量的分析により、副詞節の場合に「刺激の貧困」が確率論的に成立しうるかを考察する。 (3) 子どもが自然発話として、どの時期に副詞節を産出できるようになるのかをCHILDES を用いて調査する。 (4) 分析および報告:SPSSなどの統計分析ソフトを利用して、コーパス調査・実験結果の分析を行い、研究成果を随時、学会や研究会などで発表する。その場でいただいたコメントおよび質問を参考にして、追加実験や今後の研究に役立てていく計画である。
|