Project/Area Number |
20K00616
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Kokugakuin University (2021-2023) Toyo University (2020) |
Principal Investigator |
水口 学 國學院大學, 文学部, 教授 (90555624)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 併合 / フェイズエッジ / ラベル付け / A'移動 / A移動 / 転送 / 主語 / 抜き出し / 付加詞 / 単純併合 / 節の大きさ / 派生計算 / 決定性 / 拡大投射原理 / 違反 / 曖昧性 / 言語特性 |
Outline of Research at the Start |
現在の研究では、不適格な統語構造物と言語間変異を統語論上や語彙上に何かしらの仮定や取り決めを設けることで解決しようとする試みが行われてきている。しかし、これは以前の統率・束縛理論の記述的な原理群へと逆戻りすることになり、自然界の法則に基づき単純に機能している言語能力という仮説と相反してしまう。従って、この仮説が正しいとした場合、「最適な派生計算とは何か」という根源的な問いに立ち返り、余計な仮定群を一切設けない派生を追及しながら言語の諸特性を考察していく必要がある。本研究は、この問いを(i)節構造、(ii)移動した要素からの抜き出し、(iii)派生の循環性を中心に考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、単純併合仮説を言語能力の中心的演算として位置づける統辞論の枠組みの中で、特に節構造とその中心となる主語を考察の中核に位置づけて、統辞構造と言語の諸特性の関係を最適な派生計算の観点から解明することを目的としている。 本年度の研究では、統辞論の発展に伴うChomsky (2023a,b)の枠組みの中で本研究課題を再考し、主語句を含めたA'移動の研究を進めた。この枠組みでは従来の考えとは異なり、A'移動は最初のフェイズエッジへの一回のみの移動と考えられているが、この考えが極小主義プログラムの構造構築とは相容れないことを示した。極小主義プログラムの構造構築の観点から、概念・意図システムや感覚・運動システムで適切な解釈を受けるには、A'移動は一回の移動ではなく、従来とは別の理由で多重移動が必要になることを示し、当該の枠組みの中におけるA'移動の姿を明らかにした。 また本年度の研究では、昨年度の研究で得られたA移動に関する新たな知見について掘り下げて考察した。昨年度の研究から従来とは異なり、A移動には移動が含まれず、Tの指定辞に主語句が外的併合されるという知見が得られた。この知見は、派生計算における併合の役割、外的併合と内的併合の選択の問題や意味の二元性とも関わっており、昨年度の段階ではこうした点が検討課題として残っていた。今年度の研究では、こうした検討課題を含めて議論を深化させ、内的併合の役割を考察した。 加えて、昨年度の当該研究を発展させる形で内的併合におけるMinimal Yieldについて考察し、併合が満たすこの条件が第3の要因から動機づけられる演算によって保証されることを明らかにした。 今年度の研究から得られたこうした成果は、ラベル付けやフェイズ不可侵条件、転送などに対して更なる考察を促すことになり、次年度以降の研究の中で取り組むべき課題として残った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の計画を立案した当時から統辞論は進展しており、研究を進めるにあたり本研究課題の当初の研究計画をこの進展の中で見直しながら研究を進めている。必ずしも当初の研究計画通りに進んでいるわけではないが、本研究課題には沿ったものであり、研究課題としては問題なく研究が進んでいると考えている。本研究課題に関連して、それ以前の研究も見直しながら進めていることもあり、また研究成果の発表や研究に関わるフィードバックに遅れが生じている状況であることから、全体としては少し遅れ気味であるかもしれないが、研究課題全体の進捗に大きな影響を及ぼすようなものではない。従って「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの報告の中でも述べているが、統辞論は日々発展している。そのため、本研究課題を進めるにあたっては他の研究成果を無視することができず、それも踏まえながら本研究課題に沿って今後の研究を進めていくことになる。またこれまでと同様に、実際に研究を進めていく中で解決しなければならない問題がでてきたり、以前の研究を見直す必要が出てくることが見込まれる。更に単年度の研究では十分な成果に至っておらず、もう少し時間をかけて検討しなければならない研究もある。こうした新たな問題や十分な成果を得られていない研究は、本研究課題全体を推進する上でも重要になるので、前年度までと同様に本研究課題に沿って研究を進めながら柔軟に対応し、今後の研究を進めていくつもりである。
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