海外の日本語教員養成課程修了生のキャリア選択に関する文化心理学的研究
Project/Area Number |
20K00702
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02090:Japanese language education-related
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
西野 藍 国際基督教大学, 教養学部, インストラクター (60837425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪根 由香里 大阪観光大学, 観光学部, 教授 (80327733)
八田 直美 専修大学, 国際コミュニケーション学部, 特任教授 (20573736)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | タイの日本語教員養成 / 複線径路・等至性アプローチ(TEA) / 文化心理学 / キャリア形成 / ノンネイティブ日本語教師のキャリア選択 / 復線径路・等至性アプローチ / 海外の日本語教育支援 / ノンネイティブ日本語教師 / タイ / 中等教育 / 複線径路・等至線アプローチ(TEA) |
Outline of Research at the Start |
海外の日本語教育を支えるのは日本語を母語としない現地教員である。特に、中等教育機関の教員は次世代の若者と日本を取り結ぶ貴重な「日本語人材」であり、その育成と成長を支援する重要性が高まっている。本研究では、タイの大学の日本語教員養成課程を修了し、中等日本語教員となった者のキャリア形成の過程を描くとともに、その選択に影響を与えた要因を探り、可視化する。そのために、文化心理学を理論的枠組みとする複線径路・等至性アプローチ(TEA)を方法論として用いる。さらに、キャリア形成における意識の変容を環境(タイの教育政策や日本からの公的支援)との関係で捉え、それらの影響についても分析を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はタイの大学の日本語教員養成課程を修了し、中等日本語教員となった者のキャリア形成の過程を描くとともに、選択に影響を与えた要因を探り、可視化することである。具体的には、文化心理学を理論的枠組みとする複線径路・等至性アプローチ(TEA)を用い、キャリア形成における意識の変容をタイ社会との関係で捉える。分析には歴史・社会・文化的な観点が必要であることから、1.文献調査、2.機関調査、3.インタビュー調査という3つの研究活動を柱としている。 タイの入国制限緩和を受け、2022年8月に現地での調査活動を再開した。その一つが2021年度の実施を見送った2名へのインタビュー調査(研究活動3)であり、もう一つがタイで唯一日本語教員養成課程がある大学での資料収集とフィールドワークである(研究活動1、2)。研究活動1、2の成果は研究論文にまとめられ、「タイの教員養成制度改定から見えてくるものーこれからの中等の日本語教員に求められるコンピテンシーとはー」というタイトルで国際基督教大学グローバル言語教育研究センター『ICU日本語教育研究』第19号に掲載された。加えて、タイ国日本語教育研究会第35回年次セミナー(バンコク開催)において、「タイの中等日本語教員養成における教育実習ー求められるコンピテンシーと評価の観点からー」というタイトルで口頭発表を行い、現地の日本語教育関係者に得られた知見を共有した。 研究実施計画において「現地機関との良好な関係を継続し、特に新しい教員養成制度(4年制カリキュラム)についての最新情報の収集を進める。ここで得られた知見は、タイの教員養成の現場及び海外の日本語教育支援の現場に還元する」ことを目標の一つとしていた。この点は2022年度をもって達成できたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【研究実績の概要】に記した通り、2022年度に予定した研究活動は概ね計画通り進めることができた。インタビュー調査に関しては、特に前半は海外渡航に厳しい制約(帰国前72時間までのPCR陰性証明等)があり、現地を訪問できる日程に限りがあったが、一人あたり計3回のインタビュー調査のうち、1回目は対面で実施し、その後はオンラインで実施するなどの工夫を重ね、研究を進めることができた。ただし、2021年度に実施を見送った2名に加え、さらに2名の調査を行うことは日程的に不可能であったため、「2022年度までの3年間で6名にインタビューを実施してデータを収集する」という当初の計画は達成できなかった。 2022年度も一定の進捗と成果がみられたが、インタビュー調査の目標人数に達していないことから、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
分析対象に関し、TEAでは1名で径路の深みを、4(±1)名で径路の多様性を追い、9(±2)名では径路が類型化できるという「1/4/9の法則」を提案している。本研究では9名のデータを用いて分析を行うことを最終的な目標としており、現時点において7名の分析を概ね終えている。 2023年度は最終年度にあたるが、まずは残る2名へのインタビュー調査を集中的に行う。そして、全てのデータが揃った後に、それらを統合した分析を開始する。その際には、これまでの文献調査や機関調査で得られた資料や知見もまた、分析のための資料となる。「タイの大学の日本語教員養成課程を修了し、中等日本語教員となった者のキャリア形成の過程を描くとともに、選択に影響を与えた要因を探り、可視化する」という本研究の最終成果に向けて更なる研究を進める。 しかしながら、全員の径路を統合した分析は相当な時間を要するため、2023年度中に最終成果を国内外の学会で発表することは困難だと予測される。これは新型コロナウィルスの世界的なパンデミックによる長期間の入国制限に起因するものであることから、その対応策として研究期間を1年延長し、2024年度を最終年度として研究活動を行う方策を検討している。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)