慣用化表現における情報処理過程のモデル構築と外国語教育への応用
Project/Area Number |
20K00801
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松野 和子 静岡大学, 大学教育センター, 准教授 (80615790)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 慣用化表現 / 言語情報処理過程 / 心的表象 / レキシカルフレーズ / formulaic language / 主観的認識 / 反応時間 / prefabricated chunks / multi-word units |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、日本語を母語とする英語学習者における慣用化表現の情報処理過程モデルを構築することである。文法と単語を組み合わせて新規に創造される表現に対して、慣用化表現では予め定まっている語が繰り返し使用される。母語話者が言語の産出や理解を行う際は慣用化表現を用いて流暢な言語操作を可能とさせていることが分かっている。本研究は、慣用化表現について(1)脳内に記憶された表現パターンへアクセスしているか、(2)表現パターンにアクセスする場合も、他の言語情報(例: 単語情報・表現の文法情報)へアクセスするか、(3)どの情報にいつアクセスするかを調査し、心的な処理過程の観点から言語習得について考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本語を母語とする英語学習者を対象に慣用化表現に対する多元的な情報処理過程を明らかにすることである。その手法として、2020年度から始まった本研究の当初の予定では反応時間測定を用いて調査することを計画していた。しかしながら、2020年から新型コロナウィルス感染が広がり、2020年度と2021年度では、新型コロナウィルスに対する感染拡大防止や実験参加者の安全・安心を最優先とし、当初に予定されていた調査手法である反応時間測定に代わり、質問紙を用いて処理過程への主観的認識を調査した。 2022年度では、(1) 2021年度に実施した質問紙によって得られたデータの分析と考察をおこなった後、(2) 当初の予定になかった質問紙調査を実施したことによって得られた分析結果と反応時間測定による分析結果を比較できるよう実験計画を再考し、(3) 新型コロナウィルス感染拡大防止対策を講じつつ、再考した実験計画に基づく予備実験を実施した。質問紙を考察した際は、習熟度(上級・中級・基礎)ごとに、理解と産出の場合に分けて、実験項目となる慣用化表現それぞれを対象に、(a) 複数の語が連結して記憶された脳内の情報へアクセスしていると主観的に認識しているか、(b) 表現を構成する単語情報へアクセスしていると主観的に認識しているかを分析した。また、当該の分析結果を用いて再考された実験計画に基づく予備実験を通して、本実験を遂行する手筈が整えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度から始まった本研究では、新型コロナウィルスに対する感染拡大防止や実験参加者の安全・安心を最優先にし、当初に予定されていた調査手法である反応時間測定実験を延期した。そのため、反応時間測定実験の進捗が遅れている。一方、反応時間測定に代わり、質問紙によって処理過程の主観的認識を調査することで研究を断念することがないよう工夫した。反応時間測定実験の進捗は遅れたが、当初は予定していなかった質問紙調査を本研究の分析に加えることができ、質問紙に基づくデータと反応時間測定に基づくデータの両方に基づいて、本研究の分析をおこなうことができるようになったため、当初の予定に比べてさらに細密に慣用化表現の情報処理過程を考察することができるようになったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度では、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行したため、延期していた反応時間測定の本実験を実施する計画である。実験を実施する際は、新型コロナウィルスに対する情報を注視しつつ、実験参加者が安全かつ安心して参加できる環境を整える。本実験の後、これまでの本研究の成果として得られている質問紙による主観的意識のデータと反応時間測定によるデータを比較して、日本語を母語とする英語学習者を対象に慣用化表現における情報処理過程を明らかにする予定である。その際、処理の形式(理解処理と産出処理)、表現の属性、学習者の習熟度に着目して考察をおこなう。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)