「一般・特定」の区別が日本人英語学習者の冠詞習得に果たす役割と冠詞指導への応用
Project/Area Number |
20K00804
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高橋 俊章 山口大学, 教育学部, 教授 (00206822)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 英語の冠詞習得 / コーパス分析 / 特定・不特性区別の役割 / 日本人英語学習者 / ゆらぎ仮説 / 特定・不特定区別の役割 / 言語習得 / 英語習得 / 冠詞 / 特定・不特定 / 習得段階 / 第二言語習得 / 一般・特定 / 不可算名詞 / 唯一性 / 文法指導 / 一般・特定の区別 / 冠詞指導 / 英文法 |
Outline of Research at the Start |
冠詞習得理論で主流な理論によれば、 英語の冠詞選択は「唯一性」の基準に基づいて選択され、「一般・特定」の基準は正しい冠詞使用の弊害と見なされている。本研究では、従来の研究と異なり、「一般・特定」と「唯一性」の判断の両方が冠詞選択に関与している可能性について検証する。また、それらの規準の適用が冠詞の習得段階によって変化するかどうかについて検証する。次に、2つの冠詞選択規準を学習者がどの程度正確に適用できるかによって、冠詞の習得段階レベルを予測可能かどうか検証する。最後に、冠詞選択規準を学習者の習得段階に応じて教授することにより、冠詞指導の効果が高まるかどうかについて検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究では、英語習熟度別に分類されたICNALE(国際アジア英語学習者コーパスネットワーク)(石川, 2013, 2018)のデータを基に、日本人と韓国人英語学習者(大学生)の冠詞習得における発達傾向を分析した結果、名詞の可算性の判断が正確にできるようになるのは、英語運用能力が非常に高くなった段階になってようやく達成されることが判明した。冠詞選択の正確さにおいては、ゼロ冠詞が最も正確に使用される傾向があり、特に一般的なことがらに言及する文脈でそれが顕著なことが判明した。この結果は、第1言語習得に関する先行研究の結果と一致している。定冠詞使用の正確さは2番目に高く、不定冠詞がその後に続く結果となった。これらの結果は、冠詞選択問題のデータを基に分析を行った高橋(2020)の研究と一致している。高橋 (2020) では、一般的(非特定)(general(nonspecific))と特定(specific)な指示言及かという区別が先に発達し、それから定・不定冠詞の区別、そして可算・不可算名詞の識別という発達の軌跡を描くことを決定木分析の結果から明らかにしたが、学習者の現実の言語使用を反映していると考えられるコーパスデータの結果においても、同様の傾向が確認できた。また、分析の結果、「ゆらぎ仮説」(Fluctuation Hypothesis)(Ionin et al., 2004)に反して、特定性 (specificity)と定性(definiteness) の基準が重なっていない場合に冠詞使用の誤りが少なく、むしろ、一般的(general(nonspecific)か特定(specific) か区別ができないことによる誤りの方が多く観察された。これらの結果は、「ゆらぎ仮説」の妥当性に疑問を投げかけるものであり、研究結果は、教育学的な意味を持つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の研究成果を全国レベルの英語教育学会の専門誌に投稿したが、採択とならなかった。内容修正後、『英語と英米文学』に投稿した。また、2022年度の研究とは、全くことなるデータを用い、冠詞の習得の発達傾向を分析する視点を取り入れて研究した成果を2023 年に全国レベルの英語教育学会の専門誌に投稿し、採用され、予定通りの研究成果の公開ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定した研究は、2023年度までにほぼ予定通り終わっているが、2023年度の研究の結果によって明らかになった日本人英語学習者の冠詞選択の発達経路が、提案した通りであるのか、特に名詞の可算名詞の判断と特定・不特定のパターンの判断について再度検証する予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(6 results)