Project/Area Number |
20K00889
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka Prefecture University (2020-2021) |
Principal Investigator |
藤岡 真由美 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 教授 (40351572)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 学術目的の英語 / ライティング指導 / ライテイング教師 / 自己開発 / 成長支援 / 教師アイデンティティ認識 / ライティング / 教師の成長 / 教師支援 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、日本の大学で「学術目的の英語(English for Academic Purposes)」(以下 EAP)ライティングを教えている教師による、変革する大学の現状に対応した自己開発の実態および、必要な成長支援の内容を明らかにする。研究方法として、大学EAPライティング教員へのアンケートとインタビューを実施する。 マクロ的な視点からのEAP教員に必要な資質の解明や枠組みの開発に対し、本研究では個々の教員に焦点をあてたミクロ的視点からの研究となる。本研究の成果を通じて今後の日本の大学 EAP教育向上の一端に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本の大学で学術目的の英語(English for Academic Purposes)(以下EAP)ライティングを教えている教師たちが、何を教え、どのような支援を必要としているかを明らかにすることである。EAPライティング教師への深い探求の一環として、教師のアイデンティティ認識が重要であることが分かった。また海外のEAP教師研究と比較することにより、日本の教育コンテクスト独自の課題も明らかになった。 欧米ではEAP教師は語学教員とみなされ高等教育機関の周縁部に位置づけられるのに対して、中国やイランではEAP教員は正規教員として研究・教育を求められる。いずれの国、地域においてもEAP教員という枠組みが明確にされているのに対して、日本はそうではない。日本の文脈でのEAPの定義が定まっていないため、教師のプロフェッショナルなレベルでのアイデンティティ認識も多様である。 本研究では、EAPライティングを研究し教えている日本の大学専任英語教員5名へのインタビューの結果、アイデンティティ認識は(1)EAP教師としての、または非EAP教師としての明確な認識、(2)EAP教師への不確かな認識、(3)EAP教師としてのアイデンティティの高まり、の3つにカテゴリー化されることがわかった。本結果を2023年度は国内の研究講演会、および海外での学会で発表することができた。 教師のアイデンティティ研究と並行して、日本でのEAPを明確にするために、アカデミックイングリッシュの構造を体系化したSystemic Functional Linguistics (SFL) という分野が鍵となることもわかった。SFLの概念をもとに、学部・大学院での英語ライティング教育を論じ、研究ノートとして発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビューの結果にもとづいた論文を国際学術誌に投稿予定であり、2023年度に執筆を終える予定であったが、以下の理由により遅れている。論文執筆のために海外の最新研究を調べたところ、予想以上に新たな研究論文や研究書が出版されていることがわかった。さらに、2023年度に研究成果を国際学会で発表した際にも、他者の研究発表を聞き、また自身の研究について受けた助言から、執筆中の論文をよりレベルの高い内容にするために修正する必要に迫られた。 さらに、研究概要の実績に述べたSFLの概念・理論的枠組みが、本研究で目標としている日本のEAPライティング教師への支援として一つの鍵になることに気が付いた。SFLの理論的枠組みをより深く理解し、教育への応用・実践を考えることに追加の時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を考える際に、明らかになっていることは以下の3点である。(1)インタビュー結果から、日本の文脈におけるEAPの定義が定まっていないこと、およびEAPライティングを教えて研究をしている教師であっても、EAP教員としての認識が十分でないこと。こうした状況は、日本のEAP研究の発展と大学英語教員の成長にとって望ましくはなく、改善に向けての方策が必要である。(2)日本では大学学部レベルと大学院レベルをつなぐ有機的な英語アカデミックライティングの指導体系が確立されていないこと。(3)指導体系の確立とライティング教師への支援の一環として、SFLの理論が役立つ可能性のあること。 以上を踏まえて、本研究での残り1年間で以下の項目を達成することを目標とする。(1)インタビューの結果にもとづいた論文の国際学術誌への投稿を完了する。(2)本研究の成果特にSFLの理論にもとづいたライティングの指導書を作成する。その際に、より幅広い英語教員に対してEAPライティングの知見をアクセス可能にすることを目的として「英語アカデミックライティング」という言葉を用いる。指導書は、学部レベルと大学院レベルの両方を対象とし、二つのレベルを有機的につなぐ方法についても含む。また、指導書の形態は、教員へのアクセスをより容易にするために、電子版での出版を検討する。 以上のとおり、本研究の研究結果を国際学術誌に投稿・出版し世界に発信することにより、将来の日本のEAP研究の発展と大学英語教員の成長に向けた議論の始まりとする。さらに、EAPライティングの指導書を出版することにより、日本でEAP教育に従事し、また今後従事する教師たちにとって、職能開発の一助となることが期待される。
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