植民地期インドをめぐる思想の諸相:ヨーロッパの視点とインドの視点の交差
Project/Area Number |
20K00926
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | Kanazawa University (2021-2022) Kansai University (2020) |
Principal Investigator |
苅谷 千尋 金沢大学, 高大接続コア・センター, 特任助教 (30568994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 信彦 関西大学, 経済学部, 教授 (40309208)
角田 俊男 武蔵大学, 人文学部, 教授 (20227458)
安川 隆司 東京経済大学, 経済学部, 教授 (40230213)
長尾 明日香 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (90758319)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | ブリテン / インド / 文明と野蛮 / 教育 / 国際法 / 通商 / 貧困問題 / 富の流出 / 功利主義 / 貧困 / 国際秩序構想 / 植民地 / ヨーロッパ / 思想史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ヨーロッパの諸思想が、17-20世紀にわたる植民地期インドにおいてどのように利用、受容され、変容していったのかを解明する。 近現代インド史を牽引してきた、ケンブリッジ学派、サバルタン研究共に、実態に重きを置くが故にヨーロッパ思想がインドに与えた影響を十分に考察していない。一方で、イギリス思想史研究は、個々の思想家のインド理解を考察するに留まる。本研究は、Bayly (2012) に代表される受容史の研究動向を強く意識しながら、政治・経済・国際思想の3つのレイヤー毎に、ヨーロッパ思想の受容史を描く。また思想が植民地統治の諸政策に与えた影響、逆に実態が思想に与えた影響についても解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イギリスを代表とするヨーロッパの諸思想が、17-20世紀にわたる植民地期インドにおいてどのように利用され、受容され、変容していったのかを明らかにするものである。 2022年度の主要な成果の一つに、中澤らによる、”T. R. Malthus’s Investigation of the Cause of the Present High Price of Provisions (1800) and Amartya Kumar Sen”(マルサス『食糧高価論』とアマルティア・セン)がある。中澤らは、センがマルサスから受けた影響と両者の相違点を明らかにすることを通して、ヨーロッパの経済思想がインドの文脈にあわせて理解された様を描いた。また、本研究プロジェクトには、ヨーロッパ思想を研究するインド人の知見も不可欠だが、本報告にあたっては、招聘したAlex Thomas(Azim Premji University)から多くのコメントを得ることができた。 もう一つの主要な成果である、角田の「東インド会社論争とロバートソン『インド史論』」は、ロバートソンが交易史に着目することによって、インドを野蛮とする解釈を退け、インドを啓蒙の文明社会史に包摂できたと解する。このような解釈は、インド側の著作を読み解く、新しい参照軸となりえる。 この他、メンバーの知見を共有するために、2022年8月25日に研究会を開いた。安川は、ボンベイ知識人を中心にインドにおけるミル父子受容の実相について解明した。苅谷は、ジェームズ・マッキントッシュがインドに与えた影響についての、インド人研究者による新しい研究動向を紹介した。長尾は近年のインド史にかかわる研究動向を整理するとともに、引き続き、教育という観点から、インド側のヨーロッパ思想の受容を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各自の研究は、海外調査を除けば、おおむね予定通り、実施できており、その成果は学会や紀要などで公表できた。また、過年度は、メンバー間の交流もオンラインに限られたが、2022年度は、対面での意見交換をおこなうことができたため、プロジェクトの全体像のなかに個々の研究を位置づけるような、話し合いをおこなうことができた。 一方で、2022年度も、過年度に引き続き、緩和されたとは言え、新型コロナウイルスへの対応を要し、申請時のエフォートに従った研究活動を行なうことが困難だった。特に、当初予定していた海外調査を実施できていない。また、個々の研究成果を踏まえた、総合的な知見のとりまとめを急ぐ必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
メンバーの研究成果が出始めているため、2023年度は、各レイヤーの特徴を整理するとともに、ヨーロッパとインド間の応答、視点の交差という観点から、各研究をまとめたい。また、これまで延期を余儀なくされていた海外調査をおこなう予定である。また、当該分野の学会のセッションに応募し、メンバー外の専門家からコメントを得て、最終成果に向けた方向性を確定させたい。
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Report
(3 results)
Research Products
(19 results)