Project/Area Number |
20K01057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生田 美智子 大阪大学, 大学院人文学研究科, 名誉教授 (40304068)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 日ソ戦争 / 樺太残留日本人 / 樺太残留朝鮮人 / 民族の融合 / 日本の植民地支配 / 引き揚げ / 国境の植民地 / 多層移住民 / シベリア抑留 / 女性部隊 / 女性の戦争動員 / 東西冷戦 / 分散移動 / 特別病院 / ジェンダー / 戦場の性暴力 / 抑留 / ナホトカ / 引揚げ / 女性抑留者 / 民主運動 / 逆コース / 引揚 |
Outline of Research at the Start |
日本敗戦の結果、ソ連軍により約60万人の日本人が満洲などからシベリアに抑留され、約6万人が命を落とした。抑留者の無念の思いは強く、約2000冊の回想記が出版されている。そのほとんどは男性が書いたものである。女性の引揚者は口を閉ざしたので、抑留者の中に女性が混じっていたことはほとんど認識されてこなかった。彼女たちはなぜ沈黙したのか。語られなかったことにこそ、当時の社会背景や価値観、現代に続く様々な課題が隠されている。日本帝国崩壊により起こった大規模な人口移動がもたらした異文化接触や地域関係再構築の有り様、およびそれらの今日的意義を社会史、ジェンダー史の見地から明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
シベリア抑留からの引揚者は100歳近くになっており、探し出すのが容易ではない。読売新聞に利尻島在住の96歳の男性抑留体験者のことが掲載されていたので、新聞社に連絡をとり、事情を話して、抑留体験者の連絡先を教えていただき、利尻島に出張した。残念ながら、引き揚げ体験女性を利尻島で探したが見つけることが出来ず、男性の抑留体者に聞き取り調査を行うことができ、有益であった。 週刊誌にサハリン残留日本人のことが掲載されていたので、名前をたよりにサハリン日本協会に国際電話をかけて、残留日本人と元日本国籍・残留朝鮮人の連絡先を教えていただき、国際電話をかけてアポイントを取ったうえで、ユジノサハリンスクに出張した。 日ロ関係悪化の影響で、普通なら2時間半で行けるユジノサハリンスクへのフライトが中国経由の便しかなく、2日かかってユジノサハリンスクに到着した。 ガイド付きの車を雇い、ユジノサハリンスクに残る日本統治時代の痕跡地を訪れ、真岡神社跡や破壊された忠霊塔、日本人の犠牲になった朝鮮人の慰霊碑、対日戦の戦士の記念碑を見学し、保存状態から軍国主義時代に日本に対する感情を読み取ることが出来た。 聞き取り調査に関しては、ホテルに残留日本人、元日本国籍の残留朝鮮人ご夫妻に来ていただき、聞き取り調査を行うことが出来た。現在のユジノサハリンスクでは混血があたりまえなので、日本人、朝鮮人、ロシア人だという認識はほどんどなくみんな同質になっているとのことであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
利尻島への出張では残念ながら対象となる女性抑留体験者がいないとのことで、聞き取り調査を行うことがかなわなかったが、男性抑留者に聞き取りをおこない、女性抑留者の状況をうかがうことができたのは有意義であった。 サハリンのユジノサハリンスクへの出張ではサハリン残留日本人、ならびに元日本国籍の朝鮮人ご夫妻に聞き取り調査を行い、貴重な体験談をうかがうことができた。 ホルムスクやコルサコフでは日本統治時代の半壊になった忠霊塔や日本人街の跡地を見ることが出来、当時の現地の人の日本人に対する感情をうかがい知ることができた。 日本時代の建造物からは、かつて中国でみた日本統治時代の建造物との類似性を見ることが出来たことも有益であった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きシベリア抑留からの引き揚げ女性からの聞き取り調査を実施したい。 しかし、昨年末に以前から聞き取り調査をさせていただいたジャムス第一陸軍病院の女子挺身隊員(当時10代)だった最後の生存者の方が死去されたので、体験者からの聞き取り調査がかなり難しい状況になっているのは、いなめない。 引き続きシベリア抑留体験者本人を探し出して聞き取り調査をするよう努力するとともに、抑留体験者が書き残した手記などからその実態をうかびあがらせる。
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